CCS特集2025年夏:コンフレックス

ペプチド医薬開発に焦点、標的タンパクにドッキング

 2025.06.24−コンフレックスは、自社開発の配座探索・結晶構造探索ソフト「CONFLEX」を5月末にメジャーバージョンアップし、最新版「CONFLEX 10」として販売開始した。同時に、基質タンパク質に対してドッキング解析を行い、ペプチド医薬品が配位する位置を予測する「CONFLEX DOCK 1」を新製品として発売した。ドッキング機能はもともと海外のユーザー間で要望が高かったもので、中分子医薬品の研究を加速させることから、海外からの反響も期待される。

 同社は設立25周年を迎えている計算化学専門ベンダーで、米ガウシアンの分子軌道法ソフト「Gaussian」、米カリフォルニア大学の分子動力学法ソフト「Amber」、米レビティの化学者向け研究ツール「ChemDraw」といった定番の製品群を取り扱っている。

 なかでもCONFLEXは自社製品であり、海外での実績も多い。米国には支社も構えて、学会などでの展示などプロモーションにも力を入れている。今回のCONFLEX DOCK 1は、ペプチド医薬の開発に焦点を当てた製品で、基質となるタンパク質に対してペプチド鎖がどの位置に配位し、それぞれの配位箇所でどの程度の親和性を有するかを予測することができる。タンパク質−ペプチド間の相互作用の詳細を解析することで、標的タンパク質に対して有効な薬剤分子を設計するための有用な情報が得られると期待されるという。

 親和性の評価には、実験構造データベースをもとに、アミノ酸残基を粗視化して求めた4体ポテンシャルを用いている。計算速度と計算精度のバランスに優れ、巨大なタンパク質でも高速かつ網羅的に探索することが可能。またドッキングポーズは、溶媒効果を求める際に用いられる表面積計算手法を適用して配置したタンパク質表面上の探索点をもとに求める。

 CONFLEX 10と共通のユーザーインターフェースを備えており、使い方も簡単。細かな設定も可能だが、タンパク質の3次元構造が既知の場合はプロテインデータバンク(PDB)などのデータを読み込み、ペプチド薬のアミノ酸配列を入力するだけで結果が出る。ペプチドの配位位置を決めたあと、その場所での分子の安定な配向をCONFLEX 10を使って探索することもできる。

 海外での販売は、今年の夏から本格的に開始する。動作環境は、Windows、macOS、Linuxで、価格は企業向けでCONFLEX 10 Basicが100万円から、CONFLEX 10 Proは200万円から、CONFLEX DOCK 1は100万円からとなっている。

 そのほかの製品では、ChemDrawの人気が高い。とくにオンライン講習会は満席となり、追加での開催も決めた。管理者向けの講習会も計画中だという。


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