CCS特集2025年夏:ドットマティクス
ソリューションを再構築、データと各種ツールが連携
2025.06.24−ドットマティクスは、Databricks基盤上でソリューションの再構築を進めており、新しい統合製品体系を「Dotmatics Luma」として推進している。ラボ内の各種機器・装置からファイル形式に関係なく自動的にデータを吸い上げ、一元化することにより、研究データのユニークなパターンを理解し、予測することが可能。ノーコードの基盤がデータ探索の複雑さを軽減し、科学者が研究プロセスの早い段階で適切な狙いを定めることを支援することができる。欧米のメガファーマ向けに順次リリースが始まっているという。
同社は、インサイトパートナーズのもとで、バイオ研究ソフトウエアベンダーの多くを買収し、グループ化した。Prism、Geneious、SnapGene、Lab Archives、nQuery、Protein Metrics、EasyPanel、OMIQ、FCS Express、Soft Genetics、M-Star、Virscidian、BioGlyph−の13ブランドが結集している。それぞれLuma上への移植が進められており、将来的にはLumaを基盤にして、あらゆるデータと多くの解析ツールを連携してシームレスに利用できる統合環境が実現する。
電子実験ノートや化合物の登録・管理などのプラットフォーム製品群は継続して機能拡張を実施しており、Lumaへ連携する機能も順次提供されてきている。最近では、化学・材料系の企業が使用できる機能強化が進み、非製薬業での導入実績も出てきている。また、製薬業向けでも他社製電子ノートからのリプレースが進んでいる。同社のプラットフォーム製品は、オンプレミスでもクラウドでも共通に利用できることが評価されているようだ。
同社の日本法人では、既存ニーズをサポートするとともに、Lumaで製品展開が先行している「Luma Lab Connect」の紹介に力を入れる方針。350社/2,000種類の機器と接続できるコネクターを持ち、1日に26万ファイル、1.4テラバイトのデータをセキュアに転送した実績があるという。データをラボ内から自動的に収集し、クラウドへアップロードして、データ処理・解析のワークフローと連携させる。データ品質の向上やコスト削減などの効果もあり、細胞解析のフローサイトメトリーに強いことが特徴となる。すでにLumaに対応しているバイオ解析ソフト群を活用できる。
同社では、Luma Lab Connectに関して、ユースケース探索のための30日間のPoV(価値実証)プログラム、社内データで検証する60日間のファストスタートプログラム、さらに実際の導入に向けてのパイロットプログラムを特別パッケージとして用意している。日本でもこれらの提案を進めたいという。
なお、同社は今年4月にインサイトパートナーズから離れ、独シーメンスに51億ドルで買収された。シーメンスのデジタルツインおよび人工知能(AI)技術を組み合わせることにより、イノベーションを加速できるとしている。現在、規制当局の承認を待っていう段階で、年内には今後の詳細な方向性や戦略が明らかになる見通しである。