CCS特集2025年夏:パトコア

基盤モデルからAI開発、自律的に専門的タスク実行

 2025.06.24−パトコアは、ケムインフォマティクスの専門的知見とCABC'S(カブクス)グループの高度なソフト開発・運用力を融合し、専門性の高いアプリケーション開発を実現。創薬プラットフォーム、化学物質管理システム、知的財産ソリューションなどの展開に力を入れている。

 同社はこのほどホームページを刷新し、顧客に対する情報発信に力を入れていく。ブログ記事を増やし、創薬関連技術や動向を巡るさまざまな話題を取り上げるほか、オンデマンドウェビナーなどの配信も通して、ユーザーとのコミュニケーションを図っていく考えだ。

 製品面では、化学物質や特許情報に強い人工知能(AI)エージェント「Eureka」の普及を狙う。これは、特許情報ソリューションを提供しているシンガポールのPatsnap社が基盤モデルから開発した生成AIを組み込んだサービスで、学習内容が専門特化されているためハルシネーション(事実と異なる回答)が非常に少ない。特許や生物医学、化学を含む20の専門領域にわたる20億以上の高品質データポイントを処理する4段階のデータパイプラインを実装しており、エージェントとして目標を追求し、タスクを自動的に完了させる機能を持つ。推論、計画、記憶を示し、意思決定や学習、適応を行う自律性を持っている。

 具体的には、96億以上の生物学的配列、19億件以上の特許、2,760万件以上のニュース、27億以上の化学構造、12万以上の新薬、9億以上の学術論文、7,000以上の専門書などの情報で訓練されている。製品は用途ごとに分かれており、「Eureka IP」は特許出願に際しての先行技術調査や出願書のドラフト作成、「Eureka R&D」は技術的な質問への調査・回答、ソリューション探索、「Eureka Materials」は求める特性範囲に合う材料の発見、合金組成の研究、「Eureka LS」は医薬品研究開発動向や競合情報の分析、市場調査、新規化合物のマルクーシュ構造記述と特許請求項の作成、抗体と標的の関係を検証してのスクリーニングと候補選定−などの機能を提供できる。サービスは5月から順次スタートしており、日本では今夏から本格的なプロモーションを開始する。利用料金はおおよそ1ユーザー当たり年間60万〜200万円。

 そのほか、自社製品の法規制チェックシステム「CRAISチェッカー」は、クラウド版が再構築されて「CRAISチェッカーAir」に生まれ変わった。コンテナ技術や自動スケーリングなどを取り入れたほか、データ構造を変更したことでさまざまな法令間での整合性が維持されメンテナンス性も高まった。APIの強化によって、外部ソフトとの連携もスムーズになっているという。

 また、ハンガリーのケムアクソン製品に関しては、創薬デジタルプラットフォーム「DesignHub」に注力している。昨年、ケムアクソンは米サターラに買収されたが、それ以前から両社は提携関係にあり、「DesignHub」を中心にしてサターラの生成AI技術や、ADMET関連ソフトとの連携が深まってきている。


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