CCS特集2025年夏:POLYMERIZE

インド国立化学研と連携、オールインワンでMI実施

 2025.06.24−POLYMERIZE(ポリマライズ)は、シンガポールを本社に置くマテリアルズ・インフォマティクス(MI)専門のスタートアップで、事業体制を急ピッチで拡大させている。MIを実施するためのプラットフォーム製品を提供するほか、データ生成を含めて最初から最後までワンストップで支援するサービスも今年から開始した。

 同社は、日本のほか、中国と韓国、中東のカタールに子会社を置いている。今年2月に初めてのグローバルユーザー会を開催したが、6ヵ国から60人以上の参加があり、盛況に行われたという。現時点で日本企業の利用者が最も多いため今回は東京での開催となったが、次回(来年)は海外で開く予定。MI関連ユーザー同士が国際色豊かに議論しあえる機会はほかではあまりないため、同社としてもユーザーコミュニティづくりを後押ししたいとしている。

 現在、同社では、MIのための人工知能(AI)管理プラットフォームとしてフルに機能を備えた「Polymerize Labs」と、実験データの管理に特化した「Polymerize Connect」の2つのクラウドサービスを提供中。ただ、実際にプロジェクトを進めるに当たっては、最初に学習用のデータを用意する段階で難しさを感じるユーザーも多い。そこで、プロジェクト全体を支援するオールインワン型プロフェッショナルサービス「Polymerize One」をスタートさせた。材料の試作や評価試験を受託し、データを生成・管理・分析・AI解析までを一気通貫に行う。ソフトウエア開発拠点を構えているインドにおいて、国立のナショナルケミストリーラボラトリー(NCL)と連携しており、ポリマーや触媒など各種材料について少量の合成や分析に対応できる。

 「Polymerize Labs」を利用して取得したデータから予測モデルを構築し、目標特性を満たす実験条件を逆解析。実験を繰り返してモデルを改善していく。最終的に目標特性を満たした材料が提供され、ユーザーはそれを評価するかたちになる。蓄積・構築されたデータやAIモデルは、ユーザー側の資産としてトランスファーされるという。ユーザー側でもともとの実験データが不足しており、試作・試験する環境やキャパシティも不足、MIを実施するための専門ノウハウに自信がないといった場合に有用なサービスとなっている。

 かねて同社はMI活用を伴走的にサポートすることに力を入れており、これまでのプロジェクトにおいてもサービスの姿勢や技術力を高く評価するユーザーが多かった。日本法人の技術スタッフも拡充されており、今回の「Polymerize One」によって、国内のMIの利活用がさらに進むと期待される。

 一方、「Polymerize Labs」の機能面は、画像・波形・化学構造などを含む非構造化されたデータに対するマルチモーダル解析力を強化してきている。多次元データを扱うためのユーザーインターフェースも改善され、使いやすさも向上した。年内には大型のアップデートも予定されているという。今年10月にドイツで開催される国際プラスチック・ゴム産業展「K 2025」に出展する予定でもあり、会場での反響も注目される。


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