ダッソー・システムズが航空宇宙分野に3Dユニバースを展開
ジグラー副社長が日本の取り組み強化、万博フランス館でイベント
2025.09.18−ダッソー・システムズは10日、大阪・関西万博のフランスパビリオン館内の施設を利用し、国内の航空宇宙関係者を招いて「Space Event(スペースイベント)」を開催した。同社がフランスパビリオンのシルバーパートナーであることから実現したもよう。イベントに合わせて来日したデイヴィッド・ジグラー(David Ziegler)航空宇宙・防衛バイスプレジデントに、航空宇宙産業の動向や日本での事業戦略などを聞いた。
航空宇宙産業は大きな変革期を迎えているという。「航空機はますます複雑化し、関係する企業は多くなり、サプライチェーンも長大化する傾向にある。法規制も厳しくなるため、複数のバーチャルツインを活用する必要がある」とジグラー氏。現在の小型旅客機では燃料効率の20%向上、月産70機以上の生産効率が必要になるともいう。
こうした問題を解決できるのが、同社が提唱している“3D UNIV+RSES”(3Dユニバース)。単に航空機をデジタル設計するだけではなく、工場の最適なレイアウト、生産スケジュールのための諸要素の調和、予測的なメンテナンスなど、各領域をカバーするバーチャルツインが連携し合う“3Dユニバース”の導入が不可欠になると強調した。各バーチャルツインにおいては、人工知能(AI)エージェントの働きが人間をアシストすることが重要になるようだ。
「顧客の中にも、これまでのやり方では通用しなくなるという認識があると思う。3Dユニバースのような進化したテクノロジーを使用する必要がある。例えば、自動車産業で起こっていることも参考になるはずで、そうした他産業の情報を共有することも当社の役割だと考えている。電気自動車(EV)開発は驚くほど短期間で行われ、柔軟なソフトウエアなど新しいイノベーションが次々に取り入れられている」とジグラー氏。
日本に対しては、「次世代航空機向けの新しい素材の開発、また従来の航空燃料ではなく水素や電気などで駆動する航空機も有望であり、そうした技術開発において日本の航空宇宙関連産業に期待している。サプライチェーンも変わってくるはずだ。MBSE(モデルベースシステムエンジニアリング)も含めて、われわれも協力して仕事をしていきたい」とした。
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ダッソー・システムズ(航空宇宙・防衛産業向けページ)
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