日本IBMが材料研究DXの統合支援サービス
AI活用でデータ駆動研究を実現、IBMリサーチの情報資産活用
2025.12.18−日本IBMは16日、材料開発に特化した研究DX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する統合サービス「IBM Material DX」を日本向けに提供開始すると発表した。材料科学に長年の蓄積があるIBMリサーチの情報資産と、コンサルティング、最新ITテクノロジーを組み合わせて、データ駆動型の材料研究手法を顧客内に根づかせるために、伴走的で全方位的なサービスを提供する。とくに、人工知能(AI)やデータ科学の活用を主眼としており、研究開発の期間とコストを10分の1以下に削減することが目標になるという。
同社はこの十数年にわたり、材料開発を行う企業と個別のプロジェクトを実施してきたが、そのために必要な諸要素を取りまとめてパッケージ化するのは、今回の日本が初。世界の中でも材料研究が活発な日本でこそニーズがあると判断した。化学物質に関する法規制が年を追って厳しくなるリスク、原材料の調達難などの地政学的リスク、AIや量子技術などのデジタル覇権競争が国際的に強化されているリスク−などに日本の材料産業がさらされており、研究DXへの取り組みを通して、急激な変化に対応できるR&D体制を構築することが喫緊の課題になっていると分析している。
「IBM Material DX」は、IBMの“リサーチ”、“コンサルティング”、“テクノロジ−”が一体となって、ユーザーを伴走支援できることが特徴。実際の材料研究を高度化・高速化させるAI技術を提供するほか、次世代AIや量子コンピューターなどの未来技術を含めて活用するための長期的な組織づくり・体制構築などをコンサルティングで支援する。また、規制化合物の使用などのESGリスクを避けるための判定サービスも行う。
具体的には、「データマネジメント」として、実験ノートなどからの知識抽出を支援するとともに、IBMリサーチが蓄積した文献情報を活用できるようにする。また、「AI・基盤モデル」として、IBMリサーチが10億個の化合物で事前学習させた大規模言語モデル(LLM)を利用し、物性予測や候補材料のスクリーニング、配合・処方設計、実験プロセスの最適化などを行う。LLMの活用には対話型のインターフェイスを用意しており、材料科学向けのAIエージェントが質問を理解してサポートしてくれるので、データ科学の専門知識がなくても容易に利用できる。さらに、システムのインフラ整備も任せることができ、高安定性・高信頼性の運用環境を用意できるほか、柔軟で費用対効果に優れたクラウド利用でも、強固なセキュリティを確保できるオンプレミス利用でも、どちらでも対応が可能。共同研究や人材育成などのニーズにも応じる。
計算化学やシミュレーションの利用は当面のスコープに入っておらず、AIやLLM、データ駆動型研究のプラットフォーム構築が主要な内容となっている。量子コンピューターについても、いまのところ直接利用するケースは想定されておらず、将来の活用に備える段階ということのようだ。
一方、ESGリスクを判定するのは別メニューとなっており、専用のソフトウエア「IBM Safer Material Advisor」を利用する。現時点では、PFASに関係したリスクに絞って製品化されており、製品データシート(SDS)を入力として、そこに含まれる原材料を遡って、PFASが使用されているかの判定や、規制リスクの分析などを行う。PFAS関連の物質情報や各国の法規制情報を学習したLLMが使用されている。
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https://www.ibm.com/jp-ja
日本IBM(AIソリューションのページ)
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