CCSニュースファイル
   1998年7−9月

 1998.07.06−富士通は、新薬探索の新手法として注目されているハイスループットスクリーニング(HTS)システムの普及を促進させるため、ウィンドウズNTで動作するコンパクト型のパッケージを製品化し、スイスのアッセイロボットメーカーであるテカン社の小型HTSロボットとの高度な統合を実現させた「RS3(キューブ)HTS・フォア・テカンワークステーション」(商品名)の提供を開始した。HTSは、欧米の大手製薬会社が4−5年前から一斉に導入をはじめた技術で、国内でも大手メーカーにはほぼ需要が一巡しつつあり、中堅クラスへの普及・浸透が懸案となっていた。同社では、今回の製品を研究室レベルでも利用可能なミニHTSシステムとして売り込んでいく。

 1998.07.27−デジタルウェア(本社・東京都新宿区、田中健悟社長)はこのほど、ベストセラーの分子軌道法プログラムの最新バージョン「GAUSSIAN98」の国内販売を開始した。同社が科学者・技術者向けのインターネットサイトとして運営している「ネットサイエンス」(http://netscience.digitalland.ne.jp)を通して発売する。今回の最新版は、巨大分子の電子構造を効率良くシミュレーションできるのが特徴で、計算の適用対象と応用領域が広がった。

 1998.08.03−ソニー・テクトロニクスはこのほど、英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)の分子設計支援システム「CAChe(キャッシュ)」のフローティングライセンスの提供をはじめた。ネットワーク上のパソコンに無制限にソフトをインストールしておき、ライセンス数だけのユーザーが同時にソフトを使用できるというもので、トータルコストを抑えつつ効率良くライセンスを購入できる利点がある。

 1998.08.18−帝人システムテクノロジー(TST)は、新薬開発のためのコンピューターケミストリーシステム(CCS)製品のラインアップを強化し、新たに米シミュレーションズ・プラス社(本社・カリフォルニア州、ウォルト・ウォルツ社長)と代理店契約を締結し、薬物の消化器系での吸収を予測するソフトウエア「GastroPlus」(商品名)の独占販売を開始した。新薬開発の前臨床段階において薬物動態試験に役立てることができ、候補化合物を効率よくふるいにかけて開発をスピードアップするだけでなく、ムダな動物実験を減らすなどの効果をもたらす。ウィンドウズおよびNT上で利用でき、ソフトウエアの年間使用料は最初の1年間は700万円、2年目以降は500万円。初年度1億円の売り上げを見込んでいる。

 1998.08.27−富士通は、パソコン版の分子軌道法ソフトウエア「WinMOPACバージョン2.0」(商品名)に関して、このほど欧米での販売チャンネルを確立し、本格的な海外ビジネスをスタートさせた。米国ボストンで開催中のアメリカ化学会(ACS)で明らかにしたもので、販売は北米地域を富士通システムビジネスオブアメリカ(FSBA)、欧州はFQSポーランドが担当。また、ワールドワイドの販売代理店として英シノプシス社と契約した。コンピューターケミストリーシステム(CCS)は、国内市場でもほとんどが海外製品で占められており、日本の製品が海外で販売されるケースはめずらしい。その意味からも、事業の行方が注目されるところ。

 1998.09.02−MSDS(製品安全データシート)の自動作成など環境安全管理システムの大手ベンダー、加エイトリオン社のブルース・ジョンソン社長が2日、都内で会見し、次期製品戦略などについて語った。ジョンソン社長はとくに、「環境問題に関する関心が世界的に高まるなか、化学品をグローバルに扱う企業にとって、柔軟に法規制に対応することが、ビジネスチャンスを拡大するための大きな要素になっている」と述べ、開発中の新システムの導入効果を強調した。会見要旨は以下の通り。

 1998.09.09−世界に通用する国産コンピューターケミストリーシステム(CCS)開発を目指す通産省工業技術院の大学連携型産業科学技術研究開発制度による「高機能材料設計プラットホームの開発」プロジェクトがいよいよ本格的に始動した。プロジェクトリーダーを務める名古屋大学の土井正男教授のもとに参加企業などからの出向研究者16名が参集、研究拠点も確立され、設備の設置も完了した。プロジェクトでは、高分子材料の設計支援システム体系の確立を目指しており、欧米の後追いではない日本独自の国産CCSが初めて生まれる期待から関係各方面の注目を集めている。

 


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