CCSニュースファイル
   2006年1−3月

  • 米トライポス:ディーター・シュミットベイゼ上級副社長インタビュー
     2006.01.21−米トライポスは、創薬支援を専門とするIT(情報技術)ベンダーで、コンピューターケミストリーシステム(CCS)分野で最も古い企業の一つ。シミュレーションや解析を中心とするドライ系の技術と、実際に化合物を合成したりスクリーニングを行ったりするウェット系の技術の両方を持ち、それを両輪として事業を発展させてきた。今年はそれぞれの分野で新製品展開を本格化させたいとするワールドワイドセールス担当のディーター・シュミットベイゼ上級副社長に事業の現状や今後の戦略を聞いた。
  • FQSが薬物経皮吸収予測ソフトSKIN-CAD4.1を発売、DDS研究に威力
     2006.01.24−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、バイオコム・システムズ(本社・福岡県飯塚市、森大輔社長)が開発した経皮治療システム開発のための薬物動態解析ソフト「SKIN-CAD」の最新版4.1を販売開始した。消化管からの吸収は海外のソフトで例があるが、経皮吸収に特化したソフトはほかにはないという。FQSは、これまで新薬の探索のフェーズに焦点を当てた研究支援ソフトをそろえてきたが、今回の製品の投入により、幅広いレンジでのソリューション提供が可能になった。
  • ヒューリンクスが結晶構造グラフィックソフトCrystalMaker最新版1.3発売
     2006.01.28−ヒューリンクスは、英クリスタルメーカーが開発した結晶構造グラフィックソフト「CrystalMaker」Windows版の最新バージョン1.3を新発売した。複雑な結晶構造を簡単にモデリングし、写真品質のカラー画像を作成することができる。洗練されたユーザーインターフェースとそれにともなう使いやすさが特徴だが、今回の最新版ではムービー作成などの機能が追加されている。価格は12万8,000円(アカデミック8万8,000円)。
  • ヒューリンクスがGaussian03Wの並列版を新発売、PCサーバーSMP対応
     2006.02.07−ヒューリンクスは、Windows向け非経験的分子軌道法プログラム「Gaussian03W」のマルチプロセッサー対応版を新発売した。価格はオープンで、シングルマシンライセンスとサイトライセンスが用意されている。分子軌道法は計算量が大きいため、2ウェイ/4ウェイなどのPCサーバーで並列計算を利用したいという声が高かった。
  • 富士通がMOPAC2006を製品化、たん白質の励起状態が計算可能に
     2006.02.10−富士通は、半経験的分子軌道法ソフトウエアの最新版「MOPAC2006」を開発、販売開始した。並列処理機能を強化したことで計算速度が大幅に向上したほか、たん白質を含めた系の励起状態が計算できるようになるなど、バイオ・医薬分野の研究への応用が可能になった。実際、網膜で光を感じるレチナールたん白質の働きを、分子・電子レベルで解明する研究に役立った事例がある。Linux/UNIX向けのソルバープログラムとして提供され、価格は60万円から。2006年度末までに国内・海外を合わせて150本、約2億円の売り上げを見込んでいる。
  • NECソフトがプロテオミクス研究支援ツールBioWorkbench2.0を発売
     2006.02.11−NECソフトは、プロテオミクス研究を効率化する研究支援ツール「BioWorkbench 2.0」を開発した。同定した大量のたん白質に対し、モチーフ情報や相互作用情報などを公共データベース(DB)から自動的に検索・取得し、情報整理とマイニングを行うことができる。表形式でたくさんの情報を一覧でき、さまざまな切り口で簡単に考察することができるため、目的のたん白質に対する理解が深まる。個人の研究内容に合わせて柔軟にカスタマイズして提供する予定で、価格は50万円。
  • インフォコムがNMRデータから代謝物を同定・定量化するChenomx製品
     2006.02.14−インフォコムは、尿や血液に含まれる生体内代謝物を同定し、定量解析を行うことができるソフトウエア「Chenomx NMRスイート4.0」の国内販売権を取得した。試料を測定したNMRデータをもとに、そこに含まれている代謝物とその量を正確に読み取ることが可能。投薬の効果や影響を調べる臨床研究、および薬効と安全性の高い薬物開発を目指す創薬研究に利用できる。ソフト価格は教育機関向けの永久ライセンスで95万円から。企業向けの年間ライセンスは200万円から。
  • 米シミュレーションズプラスが創薬支援クラスタリングツール最新版
     2006.02.21−米シミュレーションズプラスは、新薬候補化合物のスクリーニングデータを解析し、活性の高い化合物の開発に役立てることができるソフトウエアツール「ClassPharmer 4.0」を開発した。昨年11月に買収したバイオリーズン社の製品だが、やはり同9月に買収したセージインフォマティクス社の技術を統合し、最新バージョンとして製品化したもの。機能とスピードが大幅に向上したことが特徴となっている。国内では、2月末からノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)を通して発売。ソフトの年間使用料金は300万−800万円。
  • 富士通が化学者向けデスクトップスイートChemOffice最新版を発売
     2006.03.01−富士通は、化学研究者向けデスクトップスイート製品の最新版「ChemOffice 2006」を4月1日から発売する。米ケンブリッジソフト(CS)が開発した製品で、構造式作画、分子モデリング、化学情報データベース(DB)、電子実験ノートなどのさまざまなツールがセットになっている。同社では、とくに個人向けから企業ユースまで充実したサポート力を武器に、年間3億円の売り上げを見込んでいる。
  • ベストシステムズがMolWorksにグリッド対応機能を付加、今夏から無償提供
     2006.03.02−ベストシステムズ(本社・茨城県つくば市、西克也代表取締役)は、グリッドコンピューティング環境への対応を実現した国産コンピューターケミストリーシステム(CCS)として、今年の夏を目標に「MolWorks+G」を開発する。処理の重い量子化学計算などをネットワーク上で分散させることによって、計算速度を大幅に高めることが可能。化学系研究者の身近なツールとしての普及を優先させるため、無償のソフトとして公開する。グリッド対応で使い勝手が良くなるため、幅広いユーザーの注目を集めそうだ。
  • スペインのプロウスサイエンスが日本法人を設立、日本語コンテンツ拡大
     2006.03.07−新薬開発のための総合情報プロバイダーであるスペインのプロウスサイエンスは、3月1日付で日本法人「プロウスサイエンスジャパン」を設立した。代理店のユサコと協力して、ポータルサービス「インテグリティ」の普及を推進することに加え、本社で展開している医師向けの教育事業や製薬会社向け創薬支援事業の立ち上げにも取り組み、2010年には本社と同様に三本柱での事業基盤を確立する。また、日本法人をアジア地域の拠点として、韓国や中国などへも事業を広げていくことにしている。
  • CTCLSが英インステムのGLP支援システムProvantisを発売
     2006.03.08−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は7日、伊藤忠商事とともに、英インステムLSS(フィル・リーズンCEO)と日本における販売代理店契約を締結し、グローバル対応のGLP(医薬品安全性試験)支援システム「Provantis」の販売を開始したと発表した。国内の法規制に準拠した自社開発の「TOXstaff21」や「ADMEstaff」と合わせて、国内製薬企業の需要に幅広く対応できるようにした。新製品の販売目標は、3年間で4億円。
  • NECがMDサーバーの1号機を三和化学研究所に納入、prestoXを稼働
     2006.03.14−NECは、新薬開発を支援する分子動力学法(MD)計算専用サーバー「Express5800/MDサーバー」の第1号機を三和化学研究所(本社・名古屋市)に納入した。設置したのはラックマウント型1台だが、通常のPCクラスター250台分の性能を発揮する。三和化学研究所は糖尿病関連を中心とする医療用医薬品メーカーで、今回のMDサーバーを創薬ターゲットたん白質の立体構造解析や、医薬候補化合物との結合シミュレーションなどに利用していく。
  • 米ケンブリッジソフトが対日戦略強化、アジア太平洋統括副社長を任命
     2006.03.17−米ケンブリッジソフトが対日戦略を強化し、日本事務所の体制を強化した。もと日本MDLインフォメーションシステムズの宇佐明人統括本部長を、アジア太平洋地区統括副社長として起用。既存の販売代理店と協調しながら主に企業向け市場の開拓に拍車をかける。とくに、電子実験ノートブックやアッセイデータ管理システムなど化学・生物学実験分野を中心にしたソリューションを売り込んでいく。
  • 富士通がCACheの最新バージョン7を発売、計算エンジンを強化
     2006.03.27−富士通は、汎用分子設計支援システム「CAChe」の最新バージョン7を開発、きょう27日から販売開始する。計算エンジンを機能強化しており、富士通研究所で開発された可視光・紫外線の吸収波長計算プログラム「MOS-F」を新たに搭載したほか、たん白質分子全体の構造最適化を高速に行える独自の「CAChe LocalSCF」も計算できる対象を広げた。きょうから30日まで千葉県船橋市習志野台の日本大学理工学部船橋キャンパスで開催される日本化学会春季年会の付設展示会で初公開する。来年3月末までに国内・海外合わせて3億円/160本の販売を見込んでいる。
  • FQSがADMEデータベースサービスのコンテンツを拡充、新たに4酵素
     2006.03.28−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は27日、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)形式で提供しているADME(吸収・分布・代謝・排出)データベース検索サービスのコンテンツを拡充し、バージョン2として4月3日から提供開始すると発表した。これまでのチトクロームP450とトランスポーターたん白質情報に加えて、新たに4種類の酵素情報を追加している。新薬開発に役立てることができ、利用料金は10ライセンスまでのフルコンテンツ同時使用権で157万5,000円。今後1年間に30件の新規契約を見込んでいる。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • 日本オラクルが化学物質統合データベース管理基盤、法規制対応に威力
     2006.01.12−日本オラクルは、化学物質の国際法規制対応に向けたIT(情報技術)基盤づくりを実現する「オラクルケミカルデータベースソリューション」(OCDB)を開発、大手から中堅大手の化学・素材メーカーを対象に提案活動を開始した。化学物質データ、法規制データ、安全性データなど、製品や原材料にかかわるさまざまな情報を全社横断的に一元管理し、ますます厳格化する内外の法規制に柔軟に対応できるようにする。オラクルのデータベースとミドルウエアを活用したソリューションで、既存のアプリケーションを生かしながらシステム化するため、短期間で導入でき、投資対効果が大きい。欧州REACH規制やグローバルなGHSなどへの対応が課題とされるなか、今回のソリューションは広く注目を集めそうだ。
  • アップルコンピュータがインテルCoreDuo搭載の新iMacを発表、ノート型も
     2006.01.12−アップルコンピュータのスティーブ・ジョブズCEOは、10日からサンフランシスコで開催されている「マックワールド2006」の基調講演で、今年6月までに発売が予定されていたインテルプロセッサー搭載の新型マッキントッシュを前倒しで完成させ、即日販売開始すると発表した。まずはディスプレー一体型のiMacとノート型のMacBook Proを売り出すが、年内に全機種をインテル搭載機に切り替える。ここ数年はiPodで話題を振りまいた同社だが、今年は本業であるパソコン市場でも躍進が期待される。
  • マイクロソフトがHPC市場に新規参入、年内にクラスター専用OS提供
     2006.01.21−マイクロソフトは19日、昨年11月に米国で開催された「スーパーコンピューティング2005」においてビル・ゲイツ会長兼チーフソフトウエアアーキテクトが公表した「Windowsコンピュートクラスターサーバー2003」についての報道関係者向け説明会を開催した。同社が初めてハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)市場に進出するための戦略製品であり、エンジニアリングワークステーションからのレベルアップを狙ったエントリー市場、または64ノードほどの構成を中心としたミッドレンジ市場をターゲットにしたもの。Linuxクラスターに対して、構築の容易さや管理性の高さ、Windows環境との親和性などのメリットを訴えていく。すでにベータ版(英語)が提供開始されているが、正式版は今年の半ばを目標にしながら、少なくとも年内には登場する模様。
  • 富士通が三次元CADソフトのオンデマンドサービス、柔軟な顧客対応
     2006.02.03−富士通は2日、業務アプリケーションをインターネット経由でサービスする“アプリケーションオンデマンド”事業を本格的にスタートすることとし、第1弾として三次元CADソフト「SolidMX」を提供開始すると発表した。同社の「オンデマンドアウトソーシングサービス」は、サーバーやストレージ、ネットワークなどインフラ系の資源をオンデマンドサービス化することで成長してきたが、今回はその発展形としてアプリケーションまでもメニューに加えた。顧客のきめ細かな要求にこたえる点で、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)よりも柔軟なサービス実現を目指していく。
  • セールスフォース・ドットコムがオンデマンドサービスに無制限版を追加
     2006.03.10−オンデマンド型CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)サービスプロバイダーのセールスフォース・ドットコムは、サードパーティー製のさまざまなアプリケーションコンポーネントを含む「AppExchange」の機能をフルに活用するための新しい料金コースとして、「アンリミテッドエディション」を追加し、販売開始した。ユーザー独自のアプリケーションを開発して組み込むことも可能になるため、CRMにとどまらず、ERP(エンタープライズリソースプランニング)も含めたあらゆるビジネスアプリケーションをオンデマンド型で利用できるようになる。
  • サービス型ソフトの米ネットスイートが日本市場に進出、6月からサービス
     2006.03.14−オンデマンドで業務アプリケーションを提供する米ネットスイート(本社・カリフォルニア州、ザック・ネルソン社長兼CEO)が、全額出資で日本法人を設立、本格的な事業を開始した。6月をめどに日本語版のサービスを開始する。ERP(エンタープライズリソースプランニング)とCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)、eコマース機能をシングルデータベース(DB)環境で統合しており、インターネット経由のサブスクリプション方式で利用できるため、導入コストや管理コストがほとんどかからない。新しいソフトウエアのビジネスモデルとして米国では急成長しているが、これが日本市場でも定着するかどうか注目されるところだ。

 

 


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