CCSニュースファイル
   2009年4−6月

  • 富士通九州システムズがADME関連システム2製品を機能強化
     2009.04.09−富士通九州システムズ(FJQS)は、化合物の体内動態を調べるADME(吸収・分布・代謝・排出)関連システムをバージョンアップし、あらためて販売開始した。数学モデルによってADME特性を予測する「ADMEWORKS」は機能強化されてバージョン5に、オンラインで利用できるADMEデータベースサービスはコンテンツを拡充してバージョン14となった。これらの製品は富士通九州システムエンジニアリング(FQS)が開発したものだが、4月1日付けで九州のSE会社3社が合併してFJQSが発足したため、現在はFJQSのテクノロジーソリューション本部が扱う体制となっている。
  • ケンブリッジソフトがラクオリア創薬にELNワークグループ版を導入
     2009.04.14−米ケンブリッジソフトは、中堅製薬業向けの電子実験ノートブック「E-Notebookワークグループ版」の国内第1号ユーザーとして、ラクオリア創薬(本社・愛知県知多郡)でシステムが本番稼働に入ったことを明らかにした。化学合成部門を中心に約30ユーザーの規模で導入したもの。ラクオリアは、新薬の導出を行うことがビジネスモデルであるため、システム化に当たっては知的財産やデータの信頼性が担保されることが最大の要件になった。さらに、研究員の情報共有を促進する戦略ツールとしての役割も重要視したという。これを機に、ケンブリッジソフトはビジネスパートナーの富士通と協力し、ワークグループ版の国内での普及をさらに加速させる。
  • 菱化システムがマルチスケール材料設計支援で新ソフト、メソ領域に対応
     2009.05.26−菱化システムは、オランダのシュルギ社(代表=ヨハネス G.E.M. フライCSO)と代理店契約を結び、材料研究のためのマルチスケールシミュレーションソフトウエア「CULGI」(シュルギ)の販売を開始した。時間的・空間的に幅広いメソスケールを網羅する解析ツールが揃っており、ツール間の連携によってマルチスケールの問題を扱うことも可能。システムは、ライブラリーとGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)から構成されているため、利用するためには若干のプログラミングの知識が必要とされる。価格は年間ライセンスで、1台の使用権が315万円、サイトライセンスは1,050万円。
  • ケンブリッジソフトがアスビオファーマにELN、非合成部門含め導入展開
     2009.05.30−米ケンブリッジソフトはこのほど、同社の電子実験ノートブック(ELN)システムをアスビオファーマが導入し、非合成部門を含めた運用が拡大していることを発表した。もともと実験ノートは、合成実験の手順や結果を記録することによって、特許などの知的財産の管理に結びつけることが大きな役割のひとつで、ELNも製薬会社の合成部門での導入が中心となっている。欧米では非合成部門での利用例も徐々に増えているが、日本の製薬会社で非合成部門も含めて導入展開しているのは、今回のアスビオファーマが初めての事例になるという。
  • JSOLがJ-OCTAのパッケージ販売を再開、サービスパックも提供へ
     2009.06.10−JSOLは、経済産業省プロジェクトの開発成果をベースに製品化した材料設計支援システム「J-OCTA」のパッケージ販売を再開した。昨年末に事業方針を転換し、受託での解析サービスを中心に据えてきたが、商用パッケージを求める声が根強いため、新規の注文に応じることにしたもの。
  • 米CASが一般向けの化学物質検索サービスを無料で提供開始
     2009.06.12−米ケミカル・アブストラクツ・サービス(CAS)が一般向けの無料情報検索サービス「コモンケミストリー」を公開した。化学物質名あるいはCAS登録番号で、その物質に関する情報を引き出すことができる。データベースは定期的に更新されるが、当面は英語だけのサービスとなっている。
  • NECソフトが科学技術計算専門ASPサービス、ABINIT-MPなど提供
     2009.06.24−NECソフトは、自動車や医薬品などの新製品開発をはじめとする産業界のコンピューターシミュレーションを支援するため、科学技術計算専門のASPサービス「HPC OnLine」をスタートさせた。ユーザーはハード・ソフトを社内に設置することなく、データセンターの高速な計算環境を自由に使用することができる。一時的に大規模な計算をしたいなどの計算量の変動にも柔軟に対応することが可能。基本サービスの年間使用料は160万円から(定額)で、今後3年間に50社からの受注と約4億円の売り上げを見込んでいる。
  • 山口大学発ベンチャーTransition State Technologyが正式に設立
     2009.06.24−山口大学発ベンチャー、Transition State Technology(TSテクノロジー)が23日、正式に設立された。山口大学大学院理工学研究科の堀憲次教授の研究室で開発された化学物質の遷移状態データベース「TSDB」を利用し、コンピューターによる有機合成支援をサービスとして提供する。科学技術振興機構(JST)の独創的シーズ展開事業「大学発ベンチャー創出推進」(07〜09年度)に採択され、本格的な事業化にこぎつけた。計算化学と情報化学を融合した量子化学計算を合成経路開発に応用する堀教授らの研究は世界的にもユニークで、今後の推移が注目される。
  • CTCLSが印GVKおよび東京大学と共同研究、GPCR関連フラグメント解析
     2009.06.26−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、東京大学および同社が代理店を務めるインドのGVKバイオサイエンスとで共同研究を開始する。標的たん白質と化合物との間に活性や選択性が発生する要因を解明する目的で、化合物のフラグメント解析を実施するもの。GVKが日本の大学と共同研究を行うのは初めて。まずは2年間の予定でプロジェクトを進める。
  • 富士通九州システムズが液晶化合物DB最新版、個人データ追加登録も
     2009.06.30−富士通九州システムズ(FJQS)は、液晶化合物データベース(DB)の最新版「LipCryst 4.8」を7月1日から発売する。独ハンブルグ大学のフォルクマル・フィル教授のグループが開発したDBで、同社がアジア総代理店を努めている。最新版では約3,000件の新規化合物情報が追加され、トータルでのデータ量は約9万6,000件に増加した。価格は168万円(大学向け88万円)で、年間100本の販売を見込んでいる。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • 富士通が法規制対応のための化学物質情報管理システム
     2009.04.09−富士通は、化学・素材メーカーのレスポンシブル・ケア活動の基本を総合的に支える化学物質情報管理システム「McConcierge」(エムシーコンシェルジュ)を製品化し、9日から販売開始した。化学物質の情報を一元管理するデータベースを基盤に、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)対応のMSDS(化学物質等安全データシート)を自動作成したり、原料や製品に含まれる化学物質を素早く検索したりする機能を持つ。今後の法規制の強化にも柔軟に対応できるシステムとして、向こう3年間に30システムの受注を見込んでいる。
  • AMDが初の40ナノプロセスを採用した新型GPU、スイートスポット戦略
     2009.04.29−日本AMDは28日、40ナノメートルプロセスを世界で初めて採用した最新グラフィックプロセッサー(GPU)として、「ATI Radeon HD4770」を発表した。高性能ながら109ドル(メーカー希望オンライン小売価格)価格帯のメインストリームクラスの製品で、同社の“スイートスポット戦略”の中核を占める。低価格帯に革新的な製品を投入することで、市場リーダーとしての地位をさらに高めたいという。
  • マイクロソフトがWindows7のパッケージ価格を発表、キャンペーンスタート
     2009.06.27−マイクロソフトは26日、デスクトップOS(基本ソフト)の次世代製品「Windows7」のパッケージ価格を発表した。発売日はまだ決まっていないが、パソコンメーカー各社と協調して26日から優待アップグレードキャンペーンを開始する。WindowsVistaマシン購入者は、各メーカーの定める条件でWindows7へのアップグレードが可能。また、オンラインストアとの協力により優待価格でアップグレードパッケージを早期予約できる「Windowsありがとうキャンペーン」も開始した。「本日をもって、ビジネスの主軸をVistaからWindows7へ移行させる」(堂山昌司代表執行役副社長)計画であり、結果的に不発に終わったVistaの巻き返しがなるか注目される。

 

 


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