CCSニュースファイル
   2019年10−12月

  • CTCが製薬業向けにAIソリューション戦略を強化、大量の情報から洞察
      2019.10.10−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、ライフサイエンス事業で人工知能(AI)ソリューションの提供に力を入れる。人の目でチェックしきれない大量の情報から有用な知識を引き出すもので、活用できる業種や業務は幅広いが、欧米では製薬業などライフサイエンス分野での導入実績が目立つことから、国内製薬業においても注目度が高い。具体的には、米Quidおよび仏シネクアが開発したシステムで、どちらも昨年に販売権を取得してビジネスを進めてきているが、この9月に2週連続でイベント開催し、マーケットに対するプロモーションを強化している。
  • 医薬健栄研らの開発プロジェクトに明治薬科大学が加入、予測機能拡充
      2019.10.16−医薬基盤・健康・栄養研究所(医薬健栄研)と、理化学研究所、富士通九州システムズ(FJQS)は15日、共同開発中のインシリコ統合解析プラットフォームについて、この構築および商用化に明治薬科大学が加わることになり、あらためて4者で覚え書きを締結したと発表した。開発を進めてきた薬物動態と心毒性に関する予測機能に加え、肝毒性を予測する機能が新たに追加されることになる。2020年度初旬に、FJQSから製品版がリリースされる予定。
  • マイクロソフトとノバルティスがAI活用で協業、新薬開発のプロセス変革
      2019.10.17−マイクロソフトとノバルティスが、新薬開発への人工知能(AI)適用で協業した。創薬研究や臨床試験、製造、運用、財務など、医薬品開発のさまざまな段階に潜む課題に対処する方法を、AIを応用することで模索することが狙い。データサイエンティストではないノバルティス社員が自在にAIを駆使し、大量のデータに隠された洞察を得ることができるようにするという。新薬開発領域で具体的な三つのターゲットも定めており、その成果が注目される。
  • アドバンスソフトが「Advance/NanoLabo」をクラウドサービスへ対応
      2019.10.17−アドバンスソフトは、ナノ材料解析統合GUIソフト「Advance/NanoLabo」のクラウド対応を推進する。現在、米エクサバイト社のSaaS型材料モデリングサービス「Exabyte.io」(エクサバイト・アイオー)で利用することができるが、来年春には新たに米リスケールの「Rescale ScaleX Platform」を利用して高速にシミュレーション演算を行うことができるようにする。それぞれ、異なるユーザー層が想定されるため、具体的な活用が進むと期待される。
  • LINCがAI創薬システム群の開発状況を報告、共有知識ベースの必要性
      2019.11.10−ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)の活動が最終年度に入り、“AI創薬”を具体化するためのシステム開発も佳境に入ってきた。10月2日と3日に大阪で開催された「2019年度第1回報告会」では、進行中の約30件のプロジェクトのうち、「AIによる病理画像処理」「膨大な論文データより共同研究者を発掘するAIの創成」「ドラッグリポジショニング」「AIによるドッキング計算高度化」「結晶形予測」「アウトカムリサーチ(HERO)/医療技術評価(HTA)」「知識データベースの構築」「調剤ロボティクス 付着粒認識AI」の8プロジェクトが開発状況を発表した。その後に行われたパネルディスカッションでは、学習のためのデータ不足、AI技術者の育成などの課題について議論されたほか、来年秋以降のポストLINCの活動イメージについても話し合いが行われた。
  • 米タイオガが対日市場展開で新戦略、シスターカンパニー提案
      2019.11.14−皮膚に使用する医薬品や化粧品を専門とする米国のCROであるタイオガリサーチ(本社・カリフォルニア州サンディエゴ、ジョン・ニューサムCEO)は、日本市場における事業展開を強化するための新戦略として、姉妹会社(シスターカンパニー)についてのプロポーザルを開始した。いわゆる姉妹都市をヒントに考えたもので、緩やかな結びつきによる友好的な関係のもとに、お互いの国内市場への進出を支援し合う。同様の市場領域を狙いつつ直接競合しない企業同士での関係構築が理想だという。当面、サンディエゴと姉妹都市を結んでいる横浜市内のライフサイエンス企業に提案を行っている。
  • 富士通九州システムズが「SCIGRESS」事業を軌道に、来年度にMI対応
      2019.12.03−富士通九州システムズ(FJQS)は、今年度に富士通からビジネス移管された計算化学統合プラットフォーム「SCIGRESS」の事業を軌道に乗せつつある。移管を前に前年度は開催を控えていた計算化学セミナーや体験ワークショップを再開させ、年度内にはマイナーバージョンアップも実施。さらに来年4月、バージョン3に機能強化し、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)への応用を想定したQSPR(構造物性相関)機能を搭載する。
  • 英ケンブリッジ・クオンタム・コンピューティングが日本進出、量子化学など
      2019.12.25−英ケンブリッジ大学発ベンチャーで、量子コンピューティング技術のソフトウエア企業であるケンブリッジ・クオンタム・コンピューティング(CQC、イリアス・カーンCEO)は19日、日本市場に本格進出すると発表した。今年1月に設立していた日本法人の体制を整備し、新社長に結解(けっけ)秀哉氏を招き、本格的に事業を開始したもの。5人体制でのスタートだが、営業活動と並行して国内の大学・研究機関との共同研究を行い、量子科学の知識を持つ研究者・技術者を雇用していきたいとしている。当面、サイバーセキュリティ、量子化学、量子機械学習の分野をターゲットにしていく。
  • NTTコミュニケーションズが製薬業向けAI自動翻訳サービスを強化へ
      2019.12.26−NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は19日、みらい翻訳(本社・東京都渋谷区、栄藤稔社長)および翻訳センター(本社・大阪市、二宮俊一郎社長)と共同で推進している「製薬カスタムモデル共同開発」の取り組みにおいて、新たな製薬企業メンバーの公募を開始したと発表した。このプログラムに参加した企業は、NTT Comが提供しているAI翻訳プラットフォームサービス「COTOHA Translator」上で、製薬関連文書に特化した高精度の自動翻訳(日英および英日)を利用することができる。すでに、第1期メンバー12社を集めてクローズドテストを行ってきており、さらなる翻訳精度の向上を目指してメンバーを追加することにした。
  • インフォコムが独バイオマックスの研究データ解析プラットフォーム
      2019.12.26−インフォコムは19日、独バイオマックス・インフォマティクス(本社・プラネック、クラウス・ヒューマンCEO)と契約し、ライフサイエンス領域のデータ解析プラットフォーム「BioXM」の販売を開始したと発表した。論文や実験データ、化合物データ、遺伝子データなど社内外の研究データを検索・抽出・解析し、データ間の因果関係を視覚的に表現し知識として活用することができる。オンプレミスおよびクラウド形式での販売・サポートを行い、今後3年間で20社の導入を見込んでいる。
  • インテージヘルスケアらがAI創薬プラットフォーム、武田薬品と実証研究
      2019.12.28−インテージヘルスケアと理論創薬研究所、アフィニティサイエンスの3社は、人工知能(AI)創薬プラットフォーム「Deep-Quartet」によるサービスを本格的にスタートし、実際に武田薬品工業との間で共同検証プロジェクトをスタートさせたと発表した。3社は、ディープラーニングなどのAI技術に基づく化学構造のde novo(デノボ)デザインについて、Gタンパク質共役受容体(GPCR)などで成果を出しており、共同で学会発表も行っている。今回のプロジェクトは、その技術を現実の創薬課題に実践投入するかたちとなる。
  • TSテクノロジーがMI受託研究サービス、計算化学で学習データ作成など
      2019.12.28−山口大学発ベンチャーのTSテクノロジーは、このほどマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を対象にした受託研究サービスを提供開始した。機械学習のためのデータセットを計算化学で創出したり、実際に機械学習を実施して人工知能(AI)モデルを構築したり、ニーズに合わせて要望に応える。山口大学との共同研究など、産学連携で培った技術力を強みにしていく。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • 米アスペンテック:モールスディレクターインタビュー、化学産業のDX加速
      2019.10.02−アスペンテクノロジー(アスペンテック)は、化学産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を加速させる。企業経営においてSDGs(持続可能な開発目標)が重要視されるようになる中、持続可能性と収益のバランスを最適化することが注目されているため。同社が得意とするアセットパフォーマンスマネジメント(APM=資産最適化)を中心にソリューションを提供していく。同社の化学産業マーケティング担当ディレクター、ペイジ・マリー・モールス氏は、デジタル化の最終局面では人工知能(AI)の応用がカギになるとしており、AIベンダーの買収を進めていることを明らかにした。
  • 富士通がスーパーコンピューター「富岳」の納入を開始、商用機の販売も
      2019.12.04−富士通は2日、次期スーパーコンピューターのフラッグシップ「富岳」の出荷を開始したと発表した。製作は富士通ITプロダクツ(石川県かほく市)で行われており、「富岳」を構成するコンピューターラックの1号機が出荷され、設置場所である理化学研究所・計算科学研究センター(神戸市)に納入された。
  • マカフィーが2019年十大セキュリティ事件と来年の脅威動向を予測
      2019.12.25−マカフィーは、2019年の十大セキュリティ事件ランキングと、2020年の脅威動向予測について発表した。とくに、クラウドが普及したことで主要な攻撃対象として注目されたほか、スマートフォンやSNS利用が一般化したことにより新たな脅威が拡大した1年だったという。また、キャッシュレスサービスが攻撃を受けたことを教訓にセキュリティを見直し、より強固なサービスに生まれ変わるという逆転現象もみられた。来年については、偽画像や映像を作成するディープフェイクを利用した事件が増加するとともに、クラウド関係を狙った脅威がさらに高まると予測している。

 

 


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