CCSニュースファイル
   2019年4−6月

  • CTCが自然言語のテキストから知識を引き出すAIプラットホーム
      2018.04.02−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、米Quid(本社・カリフォルニア州)とパートナー契約を結び、自然言語からなるテキスト情報を読み込んで分析できる人工知能(AI)プラットホームの提供を開始した。テキストの関連性の特定と分析を行い、それをネットワークマップとして視覚化することが可能。経営判断や事業戦略の策定、商品開発における市場や競合の研究、M&Aやアライアンスを目的とした企業調査、マーケティングでの消費者動向の把握など、さまざまな用途で活用できる。とくに、製薬業での事例が豊富なようだ。
  • 京都コンステラ・テクノロジーズが新体制へ、インテージヘルスケアが始動
      2019.04.03−独自のインシリコスクリーニング技術などを特徴とする京都コンステラ・テクノロジーズが、4月1日からインテージヘルスケア(仁司与志矢社長)に統合され、新体制に移行した。これは、CRO事業などを展開するアスクレップと、医療市場調査・マーケティングリサーチなどを行うアンテリオが経営統合した新会社で、京都コンステラは親会社だったアスクレップに吸収合併されるかたちで、新しい組織に融合された。これまで行ってきた創薬支援事業、医薬品情報事業はそのまま新体制の中で継続されるという。
  • スウェーデンのMonoclが日本でサービス伸張、AI利用しパートナー探索
      2019.05.25−スウェーデンに本拠を置くMonocl(本社・ヨーテボリ、ビヨン・カールソンCEO)のサービスが日本でも伸びてきている。AI(人工知能)を利用して世界中の医師・研究者350万人をデータベース化しており、メディカルアフェアーズ、研究開発、マーケティングなどの目的で、パートナーとしてふさわしい外部の専門家を効率良く探し出すことが可能。サービス開始は2016年からだが、これまでに120社以上と契約。日本でも昨年から本格的に紹介をはじめており、すでに数十社のユーザーを獲得している。
  • アフィニティサイエンスが分子記述計算の新ソフトを発売、約5,000種類
      2019.05.29−アフィニティサイエンスは、伊アルバサイエンスが開発している分子記述子計算ソフトウエア「alvaDesc」の取り扱いを開始した。物性予測や機械学習に利用できることから注目度が高い。同社は、同様の機能を持つ伊コデの「DRAGON」を販売してきたが、開発元の都合によりこれが販売中止となるため、事実上の後継製品として「alvaDesc」を国内のユーザーに提供していくことにした。新しい方が機能や計算精度が向上しているため、切り替えを促していく。
  • ダッソー・システムズがAI創薬プロジェクト、BIOVIAでコンソーシアム
      2019.05.31−ダッソー・システムズは、AI(人工知能)創薬に関連したプロジェクトをスタートさせる。BIOVIAブランドの新たな取り組みであり、人間とコンピューターが共同でクリエーティブな設計作業を行う“ジェネレーティブデザイン”の考え方を創薬研究に適用するもの。「ジェネレーティブ・セラピューティック・デザイン」(GTD)の名称で参加企業を集め、コンソーシアム方式でユーザーニーズを反映させつつ、先端のアカデミックグループの知見を取り入れて開発を進める。6月4日からサンディエゴで開催するBIOVIAユーザーコンファレンスの中でキックオフミーティングを行う予定で、当日は日本の製薬企業も何社か参加するという。
  • 富士通九州システムズがADMEWORKSをリニューアルへ、共創モデルで
      2019.06.05−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬理活性/薬物動態/毒性スクリーニング統合システム「ADMEWORKS」をリニューアルする。産官学連携などの共創モデルの構築によるビジネス創出を狙うもので、日本医療研究開発機構(AMED)が実施しているプロジェクトの成果などを商用版に反映させ、2020年度初旬でのリリースを目指す。ADMEWORKS自体が最初に製品化されたのは2004年で、プログラム中にレガシーな部分も残っているため、この機に刷新を図り、新しい製品として生まれ変わらせる予定だ。
  • アークスパンがブルカー傘下で再スタート、NMRなど機器事業とシナジー
      2019.06.05−アークスパンが、大手分析機器メーカーであるブルカーのもと、新たな組織体制で事業展開を進めている。ブルカーはソフトウエア事業への進出を図り、昨年12月にスペインのMestrelab(メストレラボ)に過半数株主として資本参加したのに続き、今年3月にアークスパンを買収したもの。当面はアークスパンブランドでこれまで通りの活動を継続するが、今後合併のシナジーが図られていくとみられる。
  • FJQSが富士通からSCIGRESSのビジネス移管、フォーラムも再開へ
      2019.06.06−富士通九州システムズ(FJQS)は、計算化学ソリューション「SCIGRESS」を富士通からビジネス移管され、今年度から本格的に銅製品の事業体制を再構築した。移管が進行中だったため昨年は実施されなかったユーザーフォーラムも今年から再開するとともに、新規ユーザーの開拓を兼ねた無料体験ワークショップも7月から再スタートさせる。製品の機能強化も引き続き行う計画で、とくにマテリアルズ・インフォマティクス(MI)との連携を見据えたQSAR/QSPR(構造活性相関/構造物性相関)機能の拡充を図る。
  • 英CCDCの結晶データベースが100万件に到達、研究基盤データ充実
      2019.06.21−英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)は、ケンブリッジ結晶構造データベース「CSD」に登録されているデータ数が100万件に達したと発表した。これは、N複素環式化合物で、複数の反応段階を順次活性化するカルコゲン結合触媒を用いて得られたもの。「CSD」は有機化合物・有機金属化合物の結晶構造データベースで、分子の立体構造を正確に知ることができるため、医薬・農薬の研究開発でよく利用されている。最近では、電池・塗料・顔料・染料などの材料研究、ガス貯蔵物質やテーラーメード触媒開発などの分野での利用も増えているという。
  • FJQSがDDI Simulator最新バージョン2.6、肝臓OATPs阻害モデル搭載
      2019.06.21−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物相互作用シミュレーションソフト「DDI Simulator」の最新バージョン2.6を開発、7月18日から販売開始する。医薬品開発過程で利用できるソフトで、薬物の併用投与時に薬効・副作用発現の変動を引き起こしうる薬物動態学的相互作用の程度を、薬物動態パラメーターの情報に基づいて予測することができる。とくに、今回の最新版はトランスポーター関連機能が強化されており、肝臓OATPs(organic anion transporting polypeptide)阻害モデルを商用ソフトとして世界で初めて搭載したという。同日には、新バージョン体験セミナーを都内で開催する。
  • JSOLが「J-OCTA」に機械学習機能を搭載、MI研究ニーズに対応
      2019.06.26−JSOLは、材料物性解析ソフトウエア「J-OCTA」に機械学習に対応した機能を追加し、提供開始した。ユーザーの間で関心が高まっているマテリアルズ・インフォマティクス(MI)への取り組みを後押しするもので、高分子の分子構造と材料物性との関係を機械学習し、予測モデルを構築することができる。手持ちの材料データやJ-OCTAの計算結果を学習に利用することができるほか、密度やガラス転移温度などの学習済みモデルも内蔵されている。将来的には別売りオプションとすることを検討しているが、ユーザーは当面無償でこの機能を利用することができる。
  • 化学情報協会が機械翻訳サービスに新メニュー、化合物名を正確に和訳
      2019.06.27−化学情報協会(JAICI)は、中国語/英語特許・文献調査支援サービス「JAICI AutoTrans」に新しいメニューを追加した。「DocSpread翻訳」と呼ばれ、PDF、Word、Excel、PowerPointの英語ファイルを和訳するサービス。文書中の図表、上付き/下付き文字、段落にまたがる文章の連結など、原文そのままのレイアウトを保ったままで翻訳される。とくに、化学系の論文・技術文書の翻訳に強いのが特徴。これにより、翻訳機能は全部で6種類となり、研究者らの幅広いニーズに応えることができるようになった。
  • NIMS・統数研・東工大のグループがMIで高熱伝導性高分子を発見
      2019.06.27−物質・材料研究機構(NIMS)、統計数理研究所、東京工業大学の共同研究グループは26日、少数のデータで効率良く機械学習を行う“転移学習”と呼ばれる解析技術を利用し、従来の高分子に比べて約80%高い熱伝導率を持つ新規材料を発見・合成したと発表した。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の実用化を目指す「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ」(MI2I)の支援のもとで推進された研究で、機械学習が自律的に設計した高分子が実際に合成・検証された初の事例になるという。学習用のデータが不足している領域におけるいわゆるスモールデータ問題の克服に寄与する成果としても注目される。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • PreFEEDがエンジニア教育事業にフォーカス、実務対応のコンサルも
      2019.04.05−PreFEED(熊谷善夫社長)は、化学工学エンジニア向けの教育事業を強化する。日本の化学産業がファイン化/スペシャリティ化の推進による成長戦略を志向するなか、国内でのプラント建設機会など経験を積む場が減少していることや、IT化にともなう技術のブラックボックス化など、技術力の低下が懸念されているため。同社はこの分野で十数年の実績があり、個々のエンジニアに向けた講座や実務教育の実施、実際の業務課題に対するコンサルティングなど、幅広いサービスを提供している。最近では海外での化学工学教育にも乗り出した。
  • AJSがAIベンチャーのクロスコンパスと資本業務提携、予知保全など
      2019.04.06−AJSは3日、プラントの異常検知・予知保全を実現する目的で、ディープラーニングを得意とする人工知能(AI)ベンチャーのクロスコンパス(本社・東京都中央区、鈴木克信社長)と資本業務提携を結んだと発表した。製造業を対象に、ビッグデータ解析やAIの活用に向けたソリューションを企画・構築・導入できる体制を整えた。
  • 米アルテリックスが日本オフィス開設、データ分析統合プラットホーム
      2019.04.16−米アルテリックス(Alteryx)は15日、東京に日本法人を設立し、既存顧客へのサポートの充実や新規顧客の開拓を図るなど、対日戦略を強化すると発表した。ビッグデータを基礎としたデジタルトランスフォーメーションを支援するベンダーで、データ分析のための統合的なプラットホームを提供している。代理店を通して、すでに国内に100社近くの顧客がある。日本法人は10人でスタートし、1年後に25人まで増員したいとしている。
  • 富士通がポスト「京」開発の最新状況を公開、CPU量産を開始
      2019.05.16−富士通は、毎年恒例の「富士通フォーラム」で次期スーパーコンピューター『ポスト「京」』の開発状況を公開する。「富士通フォーラム2019」は17日に開催されるが、14日の内覧会で報道陣に披露された。昨年の展示と変わった点は、CPUの製造が実際に開始されているため、回路を形成したシリコンウエハーが初公開されたこと。展示中のCPUチップ自体もおそらく実物だと思われる。今月末には、理化学研究所からポスト「京」の正式名称も発表される予定となっている。
  • Appierが創造的に振る舞うAIを解説、コンテンツ制作と解決策の探索
      2019.05.23−AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア)は22日、「AI」の創造性は人間を超えるのか? Creative in AI の最前線」という主題で報道関係者向けセミナーを開催した。同社のチーフAIサイエンティストであるミン・スン(Min Sun)氏は「(最近の研究の進歩により)AIが創造的に振る舞うことは可能になった」とし、研究事例などを紹介した。

 

 


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