CCSニュースファイル
   2018年7−9月

  • CASの「SciFinder-n」が国内でも本格展開、関連度の高い検索結果標示
      2018.07.24−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)が提供している研究者向け科学情報検索ツール「SciFinder」のプレミアム版として開発された「SciFinder-n」(サイファンダー・エヌ)の採用が広がってきている。海外ではすでに数百社が新サービスに移行、国内でも総代理店の化学情報協会(JAICI)が東京・大阪でリリースセミナーを開催するなど、本格的な紹介活動を開始している。具体的に、大日本住友製薬が全社レベルの利用での5年契約を結ぶなど、着々と成果があがりつつある。
  • アドバンスソフトがナノ材料解析のための統合GUIソフト、MI研究に照準
      2018.07.26−アドバンスソフトは、マテリアルズインフォマティクス(MI、材料インフォマティクス)の活用など、材料研究に役立つ統合GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ソフトを開発、「Advance/NanoLabo」の商品名で販売開始した。MI向けデータベースの検索から、結晶構造などのモデル化、計算用の入力ファイル作成、計算結果の解析まで、一連の処理をGUIで行うことができる。QuantumESPRESSOやLAMMPSなどのオープンソースソフト(OSS)に対応している。価格は年間ライセンスで50万円から。出荷開始は8月1日で、初年度200本の販売を見込んでいる。将来は海外での販売も視野に入れる。
  • 結晶構造データを登録・検索する統一ポータルサイト、英CCDCなど開設
      2018.08.02−英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)と独FIZカールスルーエは、両機関に対する結晶データの登録および検索・閲覧を一括して行える共通ポータルサイトが完成し、このほどサービスを開始したと発表した。利便性を高めることで、世界中の研究グループから集めるデータを増やすのが狙い。有機物・無機物を気にかけることなく、結晶構造を登録したり検索したりできるため、結晶学データを必要とする幅広い研究分野に恩恵となるという。
  • 日本マイクロソフトがヘルスケアクラウドで攻勢へ、3年後に売上1.5倍
      2018.09.04−日本マイクロソフトは4日、ヘルスケア(医療・製薬)分野における取り組みについて、都内で記者説明会を開催した。「マイクロソフトが提供するヘルスケアクラウド」として、セキュアで国内法規に対応したクラウド基盤を整備するとともに、医療現場の働き方改革を支援する各種ツールの提供、人工知能(AI)活用など先端技術の医療・創薬への活用など、ヘルスケアのさまざまなニーズにマッチしたソリューションをパートナーとの連携によって実現していく。現在、同社のヘルスケア領域におけるクラウド化比率は約4割だが、3年後にこれを7割に高め、全体の売り上げを1.5倍に拡大させる目標を立てている。
  • CTCが沢井製薬にGxPコンプライアンス関連文書管理システムを導入
      2018.09.19−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は12日、沢井製薬にGxPコンプライアンス関連文書管理システムを導入したと発表した。ダッソー・システムズの「QUMAS DocCompliance」を活用したシステムで、今年3月から沢井製薬の全国7工場すべての製造拠点で利用が開始されている。
  • NVIDIAが富士フイルムにDGX-2スーパーコンピューター、AI活用促進
      2018.09.19−NVIDIA(エヌビディア)は13日、日本で初めて富士フイルムが「NVIDIA DGX-2 AIスーパーコンピューター」を導入すると発表した。AI(人工知能)技術開発を加速することが主な目的で、医療画像診断のための学習時間の短縮をはじめ、ディスプレイ材料やファインケミカルなどの高機能材料開発のためにも利用されるもようだ。
  • 富士通研究所がデジタルアニーラ向け問題分割技術、中分子創薬など
      2018.09.19−富士通研究所は18日、富士通および富士通アドバンストテクノロジと共同で、中分子創薬に適用可能な組み合わせ最適化問題を解く技術を開発したと発表した。量子効果に着想を得たデジタル回路を利用する「デジタルアニーラ」を幅広い用途に活用できるようにする計算手法で、ハードウエア的に本来8キロビット(8,192ビット)規模の問題しか扱えないものを、100キロビット規模の問題に適用することが可能になる。今回、30キロビット規模に相当する中分子の安定構造探索に、今回の手法が適用できることを確認した。従来のコンピューターで半年かかっていたシミュレーションを数日間で終わらせるほどの時間短縮が可能だという。
  • 産総研と東大生研が機械学習で物性値を予測、理論計算の1万倍高速
      2018.09.20−産業総合研究所機械学習研究チームの瀬々潤研究チーム長、椿真史特別研究員、および東京大学生産技術研究所物質・環境系部門の溝口照康准教授らの研究グループは19日、機械学習を利用して化学物質の分子構造から物性値を高速・高精度に予測する手法を開発したと発表した。学習に物理化学的なデータを使用することにより、ブラックボックスにならず、予測結果の妥当性の検証がしやすいことが特徴。詳細な論文は、アメリカ化学会(ACS)のThe Journal of Physical Chemistry Lettersに掲載される。
  • NIMSらの研究グループが材料設計を支援するAIを開発、相関関係を抽出
      2018.09.27−物質・材料研究機構(NIMS)は25日、豊田工業大学シカゴ校の研究グループと共同で、科学技術論文から材料設計に必要なプロセス・構造・特性に関する因子とその相関関係を抽出し、整理・可視化する人工知能(AI)を開発したと発表した。数千の論文の文章データを自然言語処理によって学習させたもので、設計者の知識を補助し、合理的・効率的な材料設計に利用できるようにするもの。自然言語処理と深層学習を材料設計に活用した先進的な取り組みであり、関連研究をさらに推し進める目的で、今回開発したAIのソースコードを無償で公開することにしている。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • GitHubの企業向けビジネスが拡大、販売担当VPが記者説明会
      2018.08.17−ギットハブ・ジャパンはこのほど、企業向けビジネスに関する記者説明会を都内で開催した。同社は、オープンソースを活用したソフト開発のためのコラボレーションプラットホームを「GitHub」の名称で提供しているが、とくに企業での採用が増えており、グローバルでのユーザー数は2,800万人を突破、利用中の組織や企業は180万にのぼるという。この背景について、米国本社のポール・セイント・ジョン(Paul St. John)販売担当副社長は、「AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、VR(仮想現実)などのイノベーションがビジネスを牽引する現在、あらゆる業界におけるすべての企業にとって、ソフト開発が重要なカギを握る。オープンソースを活用したアジャイル開発の手法を身につけることが企業の存続を左右する」と強調する。

 

 


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