CCSニュースファイル
   2010年7−9月

  • CTCラボラトリーシステムズ:根岸秀樹社長インタビュー、設立20周年
     2010.07.01−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、ライフサイエンス分野の研究開発を支援するユニークな専門IT(情報技術)ベンダーとして設立20周年を迎えた。海外の優れたパッケージソフトをベースに、探索研究から臨床試験、市販後の安全性情報の管理に至るまでの幅広い領域をカバーするソリューションを揃えている。根岸秀樹社長は、「人間でいえばちょうど成人。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)グループの一員として、次のステップを目指した成長戦略を描いていく。コアコンピタンスをしっかりと固め、一般のITベンダーにはできない独特の強みをこれからも発揮していきたい」と話す。
  • インフォコムが自社パッケージのグローバル販売強化、ケムアクソン経由で
     2010.07.01−インフォコムは6月30日、ハンガリーのケムアクソン社と提携し、自社開発パッケージ「JChemエクステンションズ」をワールドワイドで販売していくと発表した。創薬研究に役立つツールで、オープンソースのワークフロー型プラットホーム「KNIME」上で化学構造データ処理を簡単に行うことができる。もともとケムアクソンのツールを利用したKNIME用ノード集であり、ケムアクソン自身が販売する相乗効果も大きい。国産パッケージのグローバルな普及という観点でも、協業の成果が期待される。
  • トムソン・ロイターが医薬品ライセンシング支援で新サービス
     2010.07.06−トムソン・ロイターは5日、開発中の医薬品のライセンシングを支援するデータベースサービス「アウトパートナリングレジストリー」を無料で提供すると発表した。バイオベンチャーや大学などが開発中のパイプライン情報を登録し、ライセンス条件などを開示することができる。製薬企業や研究機関の間でのライセンスイン/ライセンスアウトを橋渡しすることが狙いとなっている。
  • 富士通九州システムズがADMEデータベースをV19に更新
     2010.07.13−富士通九州システムズ(FJQS)は、ヒトの薬物動態関連たん白質や薬物の情報を提供する「ADMEデータベース」のコンテンツを7月から更新し、バージョン19としてあらためて提供開始した。272の文献から約1,400件のデータが追加され、全データ件数は約8万件に増大した。とくに、2008年4月から加えた動物データが2万3,000件以上になり、種差の違いに着目した研究に役立つツールとして注目されている。
  • NIMSが物質・材料データベース「MatNavi」を全面リニューアル
     2010.07.14−独立行政法人 物質・材料研究機構(NIMS)は、高分子・結晶基礎・超伝導材料・構造材料など13種類のデータベース(DB)で構成されるDBサービス「MatNavi」を7月1日から全面リニューアルし、公開開始した。主要DBを再構成し、高分子材料「PoLyInfo」、無機材料「AtomWork」、金属材料「Kinzoku」の3領域を確立させたほか、シングルサインオンを実現し、再ログインなしで全DBを自由に利用できるようにするなど、使い勝手も大幅に向上している。今後はオンラインでのサービスだけでなく、登録されているデータを企業などにライセンス提供する事業にも進出していく。MatNaviは海外からの注目も高く、日本を代表する物質・材料DBサービスとしてさらなる発展が期待される。
  • 菱化システムがメディシナルケミスト向け構造活性相関解析ソフト
     2010.07.15−菱化システムは、このほど米シンプルソフトが開発した構造活性相関(SAR)解析ソフト「CIMPL」について代理店契約を締結し、販売を開始した。メディシナルケミスト向けにつくられており、使いやすくわかりやすく、軽快に利用できることが特徴。価格は年間使用権63万円とコストパフォーマンスが高い。また年間630万円で、敷地内無制限のサイトライセンスとなる。
  • JSTが科学技術総合リンクセンター「J-GLOBAL」を機能強化
     2010.07.16−科学技術振興機構(JST)は、昨年3月から運営している科学技術総合リンクセンター「J-GLOBAL試行版」を6月にバージョンアップした。だれでも無料で利用でき、JSTが体系的に整備してきた科学技術基本情報を中心に、インターネットを通じてさまざまな外部サイトへのリンクが張られ、研究開発における情報探索や研究者の発想を支援する目的に役立つ。今回はβバージョン1.3となり、公開以来最大の機能強化を実現した。
  • 菱化システムがMOE向けの3D-QSARツールを開発、無償で提供開始
     2010.07.18−菱化システムは、加CCGが開発した分子設計統合システム「MOE」に3D-QSAR機能を追加する新モジュール「MOE-AutoGPA」を独自に開発し、MOEユーザー向けに無償で公開開始した。自動的にさまざまな配座を使用した3D-QSARモデルを構築し、最良なモデルを簡単に選び出すことができる。スクリーニングや分子設計につなげることも可能。6月から7月にかけて行われた北米および日本のユーザー会で紹介され、早くも関心が高まっている。
  • 富士通九州システムズが安全性・薬物動態予測ソフトを機能強化
     2010.07.28−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物の安全性や体内動態を予測する「ADMEWORKS」を機能強化し、最新バージョン6をこのほど販売開始した。ユーザーの要望を取り入れて新機能を開発したもので、研究における意思決定の迅速化と信頼性向上を達成することが今回のポイントになっているという。価格は予測専用の「ADMEWORKS Predictor」が買い取り250万円、年間ライセンス120万円、モデル構築が可能な「ADMEWORKS ModelBuilder」が同様に500万円と210万円。1年間に50ライセンスの販売を見込んでいる。
  • 富士通が製薬業向けシステム構想「tsPharma」、クラウド/SaaS対応前面
     2010.08.05−富士通は4日、記者説明会を開催し、製薬業向けのソリューションコンセプトである「tsPharma」を発表、幅広い業務アプリケーションを積極的にクラウド/SaaSに対応させていく方針を明らかにした。今年1月に開始した臨床開発向けの「tsClinical」に続き、新薬申請文書管理システムを9月から、MR(医薬情報担当者)向けの営業支援システムを8月からSaaSにて提供開始する。いち早くクラウド志向を前面に押し出すことで、製薬業向け事業のさらなる拡大を図る。
  • シミュレーションズプラスが新創薬研究プラットホーム「MedChem Studio」
     2010.08.06−米シミュレーションズプラスは、新しい創薬研究ツール「MedChem Studio」を開発した。大量の化合物データのクラス分類技術をベースにしたデータマイニングツールとして多くのユーザーを持つ「ClassPharmer」を発展的に強化したもので、もともとのデータマイニング機能に加え、薬物動態や毒性予測、新しい分子設計機能を統合したプラットホーム製品として生まれ変わった。新薬の創出が困難になっているなか、活性だけに頼らず、さまざまな分子の特性を多次元的に分析することにより、創薬の確率を高めることができるという。日本国内では、代理店のノーザンサイエンスコンサルティングを通して販売される。
  • 富士通が協和醗酵キリンにELN導入、法規制化合物チェックと連動
     2010.08.10−富士通は、協和発酵キリンから電子実験ノート(ELN)システムを受注し、医薬候補化合物の合成実験を対象業務として、4月からシステムの本運用を開始していることを明らかにした。すべての実験情報を記録・共有することで、研究の効率化とスピードアップを達成することが狙い。とくに今回のシステムでは、実験で扱う化合物が麻薬や覚せい剤などの法規制化合物に該当するかどうかをチェックする機能をELNに統合したことが特徴であり、コンプライアンスの観点からも注目されている。
  • フィアラックスが国産MDに対応した計算化学支援パッケージ第1弾
     2010.08.24−フィアラックス(本社・東京都千代田区、谷前太基社長)は、計算化学を支援するパッケージソフトのシリーズ第1弾として、国産の分子動力学(MD)ソフトに対応した「MF Cosgene」を自社開発し、このほど販売開始した。計算対象となる分子構造のモデリングからMD計算の実行、計算結果の解析まで、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)上でわかりやすく行うことが可能。価格は年間ライセンスで、アカデミック向け12万6,000円、官公庁・研究機関向け25万2,000円、企業向け37万8,000円となっている。
  • 富士通が武田薬品工業に電子実験ノート導入、国内初の完全電子化事例
     2010.09.02−富士通は1日、国内で最大規模の電子実験ノートブック(ELN)システムを武田薬品工業に導入したことを正式に発表した。国内で初めての完全電子化での導入事例となり、紙の実験ノートは廃止された。今年の3月から4月にかけて段階的に運用を開始したもので、約10%の研究業務効率の改善を期待しているという。
  • アドバンスソフトが材料系統合システムの開発状況を開示
     2010.09.16−アドバンスソフトはこのほど、製品化を目指している材料設計支援統合システム「Advance/Material Design System」の開発状況を明らかにした。幅広い系に対応する計算エンジンの選定を完了し、インターフェース開発やビルダー開発に入っている。自社開発した部分も含め、すべて国産のソフトウエアで構成されていることが特徴で、海外のソフトよりも低価格で提供されることになるという。
  • ビヨンド・コンピューティングが自社パッケージMolWorks最新版3.0をリリース
     2010.9.25−ビヨンド・コンピューティングは、国産分子設計支援ソフト「MolWorks」の最新バージョン3.0を開発し、正式にリリースした。ユーザー登録を行うことで誰でも無償でダウンロードできる。分子モデルの組み立て、計算化学プログラムの実行、計算結果の解析まで一通りの機能を持つが、とくに構造式から分子の物性を推算する機能の評価が高い。基本的な機能を無償とする一方で、追加機能を有償プラグインとして提供し、事業化を図る計画。3次元グラフィック機能をその第1弾とし、年末までにリリースする予定にしている。
  • CTCLSが三菱化学メディエンスにLIMSパッケージ、薬物濃度分析に適用
     2010.09.28−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は22日、三菱化学メディエンスの志村事業所(東京都板橋区)におけるGLP準拠施設の信頼性向上と規制対応の強化を目的に、LIMS(研究統合情報管理システム)を受注・構築したと発表した。同社が販売権を持つ米スターリムス社のパッケージソフトをベースにしたもので、今回の導入事例ではとくに医薬品開発にともなう分析業務のトータルサポートを実現した。システムは今年の2月から運用されているが、すでに第2期プロジェクトとして機能拡張のための開発を進めている。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • エヌビディアがプロ用途向けの新世代グラフィックカード、大幅性能アップ
     2010.08.25−エヌビディアは、企業ユースなどプロフェッショナル向けのグラフィックカード「Quadro」の新製品を発売した。“Fermi”アーキテクチャーを搭載しており、3次元グラフィック性能がこれまでの5倍、シミュレーション演算性能が8倍に高速化されている。価格は、「Quadro4000」(256コア、2GBメモリー)が9万9,800円、「Quadro5000」(352コア、2.5GBメモリー)が22万8,000円、「Quadro6000」(448コア、6GBメモリー)は49万8,000円。このほかに、Quadro6000を2枚搭載した外付けボックスタイプの「Quadro Plex 7000」もある。
  • マイクロソフトの「Tech・Ed 2010」基調講演、クラウド化が急ピッチで進展
     2010.09.02−マイクロソフトは、8月25日から27日までパシフィコ横浜で恒例の技術者会議「Tech・Ed 2010」を開催した。今回は「次世代クラウドの神髄がここに」をテーマに、テクニカルセッションやハンズオンを含めて約140のプログラムで構成される盛り沢山な内容となった。初日午前中の基調講演には、「現実解としてのクラウドを支える最新テクノロジー」と題して、同社執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏が登壇し、クラウドコンピューティングがすでに現実のものとして普及しはじめていることを強調。合わせて来年以降に登場するいくつの新技術を披露した。
  • BIベンダーの米クリックテックが日本法人、独自の連想検索技術で急成長
     2010.09.15−次世代型ビジネスインテリジェンス(BI)ベンダーの米クリックテック(本社・ペンシルバニア州、ラース・ビョークCEO)は14日、日本法人のクリックテック・ジャパンを正式に設立したと発表した。パートナー経由での販売をメインとし、9名の体制でスタートしている。同社は、7月にNASDAQに上場したばかりだが、「セールスフォース・ドットコム以来の有望企業だと評価されている」(グローバル営業統括のレス・ボニー上級副社長)という。エンドユーザーが自在に使いこなせるシンプルかつ高機能なBIツールとして、急速に市場で実績を伸ばしている。
  • テラスカイがセールスフォース向け画面設計ツール、カスタマイズ容易に
     2010.09.17−テラスカイ(本社・東京都千代田区、佐藤秀哉社長)は16日、セールスフォース・ドットコムの画面設計を自由に行うことができる世界初のツール「SkyEditor2」を開発し、販売開始したと発表した。セールスフォースはSaaS型のアプリケーションとして急速に浸透しているが、画面の自由度が低く、複雑なフォームを実現するには専用のプログラミング言語でコーディングする必要があった。新製品はマウスによるドラッグ&ドロップ、あるいはウィザードによる対話型操作だけで画面をカスタマイズすることが可能。この製品自体もSaaS形式で提供され、初年度50社、次年度150社の採用を見込んでいる。
  • 米データロボティクスが10月に日本法人設立、ディクスアレイ装置拡販
     2010.09.29−個人向けから企業向けまで幅広いレンジで利用できるストレージシステム「Drobo」の開発元である米データロボティクス(本社・カリフォルニア州、トム・ブィオーキCEO)は、販売代理店への支援をダイレクトに行い、日本市場に本格的に進出するため、10月をめどに日本法人を設立する。2年後には、全社売り上げの5−10%を日本市場で得ることを目標にしていく。

 

 


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