CCSニュースファイル
   2004年1−3月

  • 富士通とFQSが国産初のADME特性予測ソフトを開発、90%以上の精度
     2004.01.08−富士通と富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、国産で初めてのADME(吸収・分布・代謝・排出)/毒性予測システムを開発、「ADMEWORKS」(アドメワークス)の名称で販売を開始した。医薬候補化合物の分子構造から薬理活性や薬物動態、毒性の有無などをコンピューター上で判定してバーチャルスクリーニングに役立てることが可能。ユーザー自身が手持ちのデータセットを使って予測モデルを数学的に作成することもできる。いろいろなモデルで常に90%以上の予測精度を達成しており、初の国産ソフトとして大きな反響が期待される。
  • トライポスと住商エレなどが抽選で1社に創薬支援環境を無償提供
     2004.01.29−米トライポスは、コンピューターケミストリーシステム(CCS)普及への新戦略として、国内代理店の住商エレクトロニクスおよび重松貿易と共同で、総額1,000万円以上の創薬支援システムを1年間無償で提供することにした。国内の製薬企業や新薬研究機関を対象に2月末まで募集し、抽選で1社に使用権を与える。スクリーニングに使用できる5万件の化合物ライブラリーも提供されるため、アッセイロボットなどの設備があれば、有望な候補化合物を発見するための創薬研究にすぐに取りかかることが可能。トライポスの技術を積極的に評価してもらい、成功事例を集めたいという狙いがある。
  • 富士通が国産初の合成経路設計支援システムAIPHOS/KOSPを製品化
     2004.02.09−富士通は、豊橋技術科学大学の船津公人助教授からライセンスを受け、国産初の合成経路設計支援システムを「AIPHOS/KOSP」(商品名)を製品化した。Windowsに移植し、ウェブ環境で利用できるように改良されており、25日から出荷開始する。独自の知識ベース(KB)を利用し、任意の有機化合物の合成経路を“逆合成”の考え方に基づいて割り出すことができる。得られる経路の新規性と現実性とのバランスに優れており、既存の反応情報データベース(DB)から自動的に知識を抽出できるため、KB構築に時間がかからないことも特徴になっている。2年間で国内100セットの販売を見込んでいる。
  • アクセルリスがファーマコピアから分離・独立へ、4月にも新体制
     2004.02.27−コンピューターケミストリーシステム(CCS)最大手ベンダーの米アクセルリスが、親会社のファーマコピアから分離・独立する。株式市場および法的な手続きが順調に進めば、4月から新体制に移行する予定。現在、ファーマコピアは統括会社として、CCS事業を推進するアクセルリスと創薬ベンチャーのファーマコピアドラッグディスカバリー(PDD)を100%子会社として所有しているかたちだが、まずPDDを単独の企業として分離したあと、ファーマコピアの社名をアクセルリスに変更して、現在のアクセルリスの全事業を継承する。それぞれの事業分野に専念することが目的で、機動性に富んだ事業展開が可能になるとしている。CCS専業ベンダーとして4月以降の新戦略が注目されるところだ。
  • プロウスサイエンスがユーザーミーティング、物性予測技術など公開
     2004.03.10−医薬品研究開発のためのコンテンツプロバイダーであるスペインのプロウスサイエンスは、3日に東京、5日に大阪で「異なる知的専門分野から多次元的知的空間を見据えた洞察と創造」というテーマでユーザーミーティングを開催した。あらゆる関連情報に一元的にアクセスできるようにするポータルサービス「インテグリティ」の新機能などが紹介されたほか、任意の化合物が医薬品として望ましいあるいは好ましくない特性を持つかどうかを構造式から推定する新サービス「バイオエピステメ」が正式にアナウンスされた。また、音声データを自動的にインデックス化して、マルチメディアコンテンツを的確に検索できるようにする独自技術“MAVS”のデモンストレーションも目を引いた。
  • アクセルリスが杏林製薬にバーチャルスクリーニングシステムを導入
     2004.03.11−アクセルリスは、新薬候補化合物の大規模バーチャルスクリーニングシステムを杏林製薬に導入した。ターゲットたん白質の結合部位の構造情報をもとに、それにフィットする薬物の分子構造を設計するストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)、およびファーマコフォア解析技術を駆使してムダな実験を減らし、開発期間短縮と開発コスト削減を達成していく。
  • インフォコムが代謝過程における薬物相互作用DBを発売
     2004.03.12−インフォコムは11日、ワシントン大学薬学部で開発された薬物相互作用データベース(DB)「メタボリズム&トランスポート・ドラッグインタラクションデータベース」(DIDB)の国内販売代理店契約を締結、同DBへのアクセス権の販売および技術サポートを開始すると発表した。2種類以上の薬物が体内で相互作用する情報を簡単な操作で引き出すことができる。価格は、年間契約のコーポレートライセンスで120万円から。初年度に20数社、3年間で50社への販売を見込んでいる。
  • 日本IBMがグリッドポータル構築支援サービス、理研BLAST解析に採用
     2004.03.16−日本IBMは15日、ウェブブラウザーを通してグリッドコンピューティングを簡単・安全に利用できるようにするグリッドポータルサイトを構築するサービスを「IBMグリッドポータル構築支援サービス」の名称で提供開始すると発表した。通常3ヵ月は必要だったポータル構築期間を、最短2週間に短縮できるのが特徴。理化学研究所に導入したBLAST解析用ポータルの構築に採用された。費用は、グリッドに必要なハード・ソフトを除いて約200万円から。
  • 富士通がADME/毒性などの予測モデル構築ツールを出荷開始
     2004.03.22−富士通は、化学データを解析して、化合物の分子構造とADME(吸収・分布・代謝・排出)/毒性などとの相関関係をモデル式として導き出すことができる専用解析ツール「ADMEWORKS/モデルビルダー」(商品名)を国内第1号ユーザーに導入、正式に出荷を開始した。従来のソフトとは発想が異なる製品で、どんな系統の化合物でも、またどんな物性・特性でも扱うことができ、高い精度の予測モデルを構築することが可能。医薬品や環境関連の材料設計分野に売り込んでいく。ソフト価格は500万円。
  • 菱化システムがフランスの熱力学物性予測ソフトGIBBSを販売
     2004.03.31−菱化システムは、フランスのパリ第11大学やフランス国立科学研究センター(CNRS)で開発されたシミュレーションソフト「GIBBS」の販売を開始した。石油化学分野の物性予測や分離・吸着などのアプリケーションで利用されてきたもので、モンテカルロ法を用いて物質の熱力学物性をシミュレーションすることが可能。固相/液相/気相の間の物質の平衡状態を計算できるのが特徴で、ガス分離や異性体分離などのプロセス開発や材料設計に役立つ。計算化学の専門家だけでなく、プロセスエンジニア向けにも売り込んでいく。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • アマノが時刻認証サービスを普及拡大へ、知的財産保護に活用
     2004.01.17−アマノは、時刻認証・デジタルタイムスタンプサービス「EVIDENCE」(エビデンス)で、一般企業向けの事業展開を強化する。これは、電子文書の作成日時などを厳密に証明する技術で、その点での確実さが要求される官報(国立印刷局)などの特殊な分野で採用が進んできた。しかし、最近では企業内の機密情報が電子的に保存されることが増えており、そうした知的財産を保護する観点からもこのソリューションが有用だとして、対象を大幅に広げて提案活動を推進することにした。同社ではこれを次世代の主力事業に育てる方針。
  • クライテリオン・ソフトウエアがゲーム開発向け統合ソリューション
     2004.02.06−キヤノングループのクライテリオン・ソフトウエア(本社・東京都目黒区、星野直彦社長)は4日、ゲーム制作専用の統合開発ソリューション「RenderWareスタジオ」を開発、初年度10本の限定で7日から発売すると発表した。クリエイターが使用する開発ツールからチームの意思疎通を図るためのコミュニケーションツール、工程管理・資産管理までプロジェクト全体をトータルにサポートできる。30%以上のコスト削減が可能だとしており、一般的な2億円規模のプロジェクトで、未導入の場合に比べて7,000万円の利益を生み出すことができるという。
  • ビジュアルテクノロジーがオプテロン搭載科学技術計算向けWSを開発
     2004.02.10−ビジュアルテクノロジー(本社・東京都港区、川股要一社長)は、AMDの64ビットプロセッサー「オプテロン」を国内で初めて4個搭載した「VT64オプテロンワークステーション4000」(商品名)を開発、6日から販売を開始した。コストパフォーマンスの高さが特徴で、企業や大学の研究室などの科学技術計算用途に適している。OS(基本ソフト)としては、当面は64ビット版のLinuxを標準添付するが、基本的にはWindowsマシンとして売り込みたい考えで、今年の夏にはオプテロン用Windowsサーバー2003日本語版を正式に提供する計画も明らかにされた。価格も128万円からと手頃で、月間300台の販売を見込んでいる。
  • サンが次世代三次元デスクトップ技術“LookingGlass”をデモ
     2004.02.20−米サン・マイクロシステムズのソフトウエア事業部門を率いるジョナサン・シュワルツ執行副社長が、18日に東京・千代田区のホテルニューオータニで行われた開発者向けコンファレンス「Java Technology Conference 2004 featuring SunTechDays」の基調講演に登壇し、Javaの市場性や将来性の大きさを強調して、Java向けソフトウエア開発を加速するように訴えた。携帯電話でいかに成功しているかに加え、マイクロソフトが支配するデスクトップ分野を塗り変えるべく開発中のプロジェクト“LookingGlass”(ルッキンググラス)に関する紹介が注目された。
  • 日本ブロードビジョン:ジュゼッペ小林会長インタビュー
     2004.03.05−日常生活にも企業活動のなかにもインターネットがすっかり浸透してきたが、「B2BでもB2Cでも、ウェブを使った今後のビジネスで成功するためには“パーソナライズ”(パーソナル化)と“セルフサービス”がキーワードになる」と語るのは日本ブロードビジョンのジュゼッペ小林会長。昨年9月に就任以来、技術スタッフを中心に日本法人の陣容を3倍に拡大するなど、対日戦略強化の陣頭指揮をとっている。企業情報ポータルの大手ベンダーとして、同社のソリューションの狙いを聞いた。
  • マイクロソフトがセキュリティサミット2004を開催、SP2新機能など紹介
    2004.03.11−マイクロソフトは8日、パシフィコ横浜で「セキュリティサミット2004」を開催した。6月までに全国47都道府県で約3万人を対象に合計300回以上実施する無料の1日講習会「セキュアシステムトレーニングツアー」の皮切りとして行われたイベントで、古川享執行役最高技術責任者兼米本社副社長と東貴彦執行役最高セキュリティ責任者が登壇し、同社のセキュリティに関する取り組みや最新のセキュリティ関連ツールなどを約2,300名の聴衆に説明した。全体を通して“多層防御”という考え方が強調された。
  • Nature's Linuxアライアンスがベンダー14社の参加で始動
     2004.03.13−国産のLinuxディストリビューションを支持して、ベンチャー企業を中心にした連携体制でソリューションビジネスを推進しようとする「ネイチャーズリナックスアライアンス」(略称=NLA)が12日、設立され活動開始したと発表した。ビジネス用途で重要になる管理機能を強化したOS(基本ソフト)である「Nature's Linux」(商品名)を核に、ミドルウエアやアプリケーション、コンテンツ、システムインテグレーション、運用管理、ハードウエア、デバイス関連など相互補完的に技術やサービスを提供できる企業群が集まったもの。現在は14社だが、年内には50社の参加を見込んでおり、夏ごろには共同事業展開を本格化させる。

 

 


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