CCSニュースファイル
   1998年4−6月

 1998.04.22−コンピューターケミストリーシステム(CCS)大手ベンダーのCTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、新薬開発の新しい研究手法として注目されているコンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)技術を国内の製薬会社などが導入することを支援するため、幅広いソフトウエアおよびサービスの製品体系を確立した。実績豊富な米国製ソフトの提供に加え、それらを補完するソフトを自社開発し、実際の研究業務フローに沿った形でのきめ細かなソリューションを実現している。最近、国内の製薬産業はこの分野の技術導入を急ピッチで進めているが、ソフト面の不備から十分な効果があがらないケースもある。現在、こうした総合的なサービスを提供するベンダーは国内にはほとんどないため、今回のソリューションは広く注目を集めそうだ。

 1998.04.22−富士通は、パソコンで利用できる分子軌道法ベースのコンピューターケミストリーシステム(CCS)である「WinMOPAC」(商品名)の最新版バージョン2.0を開発、きょう24日から出荷を開始する。計算機能の強化で扱える分子の範囲を大幅に広げるとともに、ネットワーク利用やマイクロソフトオフィス製品との連携など使い勝手も向上させた。ウィンドウズ95およびNT上で動作し、価格は10万円(教育機関向けは5万円)。発売後1年間で1,000本を出荷したバージョン1.0の実績をテコに、海外市場も含めて2年間に1万本の販売を見込んでいる。

 1998.05.20−欧州のCCS(コンピューターケミストリーシステム)最大手、英オックスフォードモレキュラーグループ(OMG)が、同じく英国のCCSベンダーであるケミカルデザイン社(CDL)を買収した。買収は4月29日から開始され、2週間で完了した模様。OMGは18日(米カリフォルニア時間)にこの件を正式発表したが、19日のOMG株は7ドル上昇して218ドルとなった。CDLは、医薬品研究分野で最近注目されているコンビナトリアルケミストリー技術で成長していたベンダーで、一方のOMGはこの技術に関して専門のコンサルタント会社を設立するなどの活動を行っていたが、ライバルの米国ベンダー勢に比べてソフトウエア製品開発という意味では品揃えが遅れていたため、それを補完する狙いがあるとみられる。

 1998.05.25−ケイ・ジー・ティー(KGT)は、米モレキュラーシミュレーションズ社(MSI)の統合分子設計支援システム「CERIUS2」などを中心に、化学・材料研究分野の支援システムを提供しているが、とくに大きな分子系を分子軌道法で厳密に解いてみたいというユーザー向けに新しく米キューケム社の「Q-Chem」の販売を開始している。従来のソフトでは難しかった実際的な大きな分子を計算できるのが特徴で、幅広いユーザー層の注目を集めている。

 1998.05.25−菱化システムは、カナダ・ケミカルコンピューティンググループ(CCG)が開発した新発想の統合分子設計支援環境「MOE」の普及に力を注いでいる。商用ソフトとしては画期的なことに、すべてがソースコードで提供され、プログラムの中身を改造・変更することも自由に行える。しかも、完全なマルチプラットホームを実現しており、UNIXの並列処理環境からウィンドウズ、マッキントッシュまでまったく機種を選ばない。出来合いのソフトに飽きたらないユーザーや研究者を中心に、国内でも評価が高まってきている。

 1998.05.25−住商エレクトロニクスは、医薬品開発を支援するソフトウエアベンダーとして実績豊富な米トライポス社に加えて、今年の3月から新しく英シノプシス社と代理店契約を締結し、英社のデータベース製品などの取り扱いを開始した。とくに、ウィンドウズ版のフロントエンドツールである「ACCORD」を核に、ユーザーニーズに即した具体的な業務システムをカスタム開発して提供していくことにしている。

 1998.05.25−帝人システムテクノロジー(TST)は、化学・医薬分野のR&Dを支援するため、米モレキュラーシミュレーションズ社(MSI)を中心とした既存のUNIX系製品群に加えて、今後はパソコンをプラットホームとしたツールを拡充させていく方針だ。すでに、コンビナトリアルケミストリー/ハイスループットスクリーニング(HTS)分野では英ケミカルデザイン社(CDL)のウィンドウズ版「Chem-X」を提供しているが、このほど新たにスウェーデン・ユーメトリ社の統計解析ソフトの販売権を獲得した。実験計画やデータ解析に幅広く利用することができる。同社では、こういった商品ラインアップの強化を通して、研究所全体のシステム化ニーズをより広くフォローしていく考えだ。

 1998.06.26−最近、新薬の研究開発において遺伝情報やデータベース(DB)を中心としたバイオインフォマティックス技術を利用する事例が増えている。ヒトゲノム情報をもとに受容体側のたん白質構造を推定してそれに働く薬品分子の設計を目指す“ストラクチャーバイオロジー”、遺伝情報を病気の治療や診断に使おうとする“ファーマコジェネティックス”といった技術領域が目覚ましい発展をみせているためだ。米モレキュラーアプリケーショングループ(MAG)はこの分野にフォーカスしているソフトベンダーで、このほど新製品の「ジーンマイン」と「ディスカバリーベース」を日本市場に紹介しはじめた。昨年5月にグラクソウェルカム(R&D情報資源担当副社長)からMAGの社長兼最高経営責任者(CEO)に就任したマイラ・ニコル・ウィリアムズ博士に戦略を聞いた。



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