CCSニュースファイル
   2008年1−3月

  • 計測エンジニアリングシステムがマルチフィジックスシミュレーター最新版
     2008.01.12−計測エンジニアリングシステム(本社・東京都千代田区、岡田求社長)は、スウェーデンのコムソル社が開発したマルチスケール/マルチフィジックス型シミュレーションソフト「COMSOL」の最新バージョン3.4を発売した。流体、構造、電磁場、熱伝導、化学反応など各種の現象を扱うことができ、とくに電磁気学分野や化学工学分野でのユーザーが多い。今回の最新版では、マルチコア/マルチスレッド対応となって処理能力が向上したほか、現実に近い複雑な現象が扱えるようにさらなる機能強化が施された。価格はコアパッケージが150万円。
  • 米リアクション・デザインのモデル燃料コンソーシアムが最終年度へ
     2008.01.17−米リアクション・デザインが推進している「モデル燃料コンソーシアム」(MFC)が、今年から最終年度である3年目に入った。自動車燃料の化学反応を精密にシミュレーションすることにより、実験を減らしてエンジン設計の生産性を向上させることが狙いで、現在までにメンバー数も16に拡大。新しいソフトウエアも順調にリリースされている。3年目は新燃料への対応やシミュレーション技術の実証に力を入れる予定。開発成果は、来年6月以降順次、メンバー以外にも一般販売される。
  • 東京大学生産技術研究所がRSS21プロジェクトの最終成果を発表
     2008.01.18−東京大学生産技術研究所は17日、記者会見を開き、文部科学省プロジェクト「革新的シミュレーションソフトウエアの研究開発」(RSS21)の最終成果がまとまったと発表した。21世紀にわが国の産業や科学技術の発展を達成するための基盤となるシミュレーションソフトを開発することを目指したもの。先端・最新の学問を反映したソフトをつくり上げるだけでなく、ソフト業界を巻き込んだ商用化の実現、実際の企業の研究開発における技術検証や応用展開などを同時に進めたユニークなプロジェクトで、公開フリー版のソフト群はプロジェクトのサイトからダウンロードが可能。プロジェクトリーダーの加藤千幸教授は、ソフトが完成しただけでなく、すでに産業界で普及が始まっていることを強調した。
  • インフォコムが創薬研究向けワークフロー製品「KNIME」を事業化
     2008.01.19−インフォコムは17日、創薬研究向けワークフロー型プラットホーム「KNIME」(ナイム)の商用利用契約を開発元の独ナイム社(マイケル・バーソルド代表)と結び、国内でビジネスを開始した。化合物データベースの処理や分子設計・解析など、複数のプログラムを連携させる一連の手順をワークフローとして構築し、自動的に実行させたり、再利用したりすることが可能。KNIME自体はオープンソースの無償ソフトであり、インフォコムはKNIME上で動作するプログラムを開発したり組み込んだりするサービスを事業化する。
  • CTCLSが製薬企業のトランスレーショナルリサーチ推進を支援
     2008.02.02−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、製薬企業のトランスレーショナルリサーチ(TR)への取り組みを支援する事業に乗り出した。現在、臨床試験における遺伝子情報の活用というかたちでTR推進が具体化しつつあるが、長年の臨床試験の進め方に大きな変更を生じさせるものだけに、欧米のメガファーマの間でもその取り組み方には差異があるのが現状。CTCLSでは、欧米の事情に詳しい大手コンサルティングファームと手を組んで、組織づくりや推進体制などの上流のコンサルティングをはじめ、TRを支援する情報システムの構築・販売まで、幅広いサービスを行う。
  • インフォコムがKNIME対応製品の第1弾、ケムアクソンの機能を統合
     2008.02.05−インフォコムは1月31日、フリーのワークフローツール「KNIME」(ナイム)上で、ケムアクソン社のケムインフォマティクスツールを利用できるようにする「JChemエクステンション」を独自に開発し、全世界の創薬研究者向けに販売開始すると正式に発表した。化学構造を含むデータベース(DB)処理や化合物の物性計算など、一連の作業手順をワークフロー化して、自動的に実行させることが可能。プラットホームとなるKNIME自体は無償だが、ケムアクソンのライセンスが別途必要になる。
  • 米ティブコソフトウェア:スポットファイアー部門マルカッツォ氏インタビュー
     2008.02.16−新薬開発において“情報”の果たす役割がますます重要視されてきている。候補化合物を探る探索研究から臨床試験などの開発段階に至るまで、取り扱うべきデータ量が増大し、その複雑さも増しているためだ。こうした大規模なデータを分析するためのプラットホームとして豊富な実績を築いているのが米スポットファイアーの製品群。昨年6月、ビジネスプロセス管理(BPM)大手の米ティブコソフトウェアに買収されたが、大きな組織がバックに付いたことで事業はさらに加速している。製薬向け新製品「TIBCO Spotfire クリニカルソリューション」の日本語版を今年から本格的に販売し始めた。「データ分析の重要性を広く認識してほしい」とするクリスチャン・マルカッツォ氏(ライフサイエンスアナリシス担当シニアディレクター)に今後の戦略を聞いた。
  • 塩野義製薬が合成部門に電子実験ノートを全面導入、米CS製を約200本
     2008.02.22−塩野義製薬は、米ケンブリッジソフト(CS)が開発した電子実験ノート(ELN)ソリューションを研究所の合成部門に全面導入した。IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)がシステム構築を担当した。導入規模は約200ユーザーで、国内製薬企業ではトップクラスの先進事例になる。
  • FQSが液晶化合物データベースLiqCrystの最新版、文献へのリンク追加
     2008.03.05−富士通九州システムエンジニアリング(FQS、富永英俊社長)は、液晶化合物データベース「LiqCryst」の最新バージョン4.7を、きょう5日から発売する。インターネットへのハイパーリンク機能が追加され、約3万2,000件の文献情報へのアクセスが可能。液晶化合物情報の調査研究が大幅に効率化される。ライセンス価格は176万4,000円(アカデミック92万4,000円)で、年間100本の販売を見込んでいる。
  • アクセルリスがパイプラインパイロットの新コレクション、イメージ処理など
     2008.03.18−アクセルリスは、データ統合やワークフロー構築のためのプラットホーム製品である「SciTegicパイプラインパイロット」の新しいコンポーネントコレクション3種を提供開始した。イメージ処理、化学情報マイニング、遺伝子発現解析の各分野に役立つ各種機能をひとまとめにしたもの。パイプラインパイロットの活用範囲が大きく広がることになる。
  • CASがSciFinderのエンタープライズ契約を日本市場でも提供、年間定額
     2008.03.20−米国化学会(ACS)のデータベースサービス部門であるケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、オンライン検索サービス「SciFinder」の新しいエンタープライズ契約方式を日本市場へ導入し、国内の最初のユーザーとしてエーザイおよび大日本住友製薬との間で同契約を締結したと発表した。年間定額式のライセンスで、企業内のすべての研究員が無制限にSciFinderを活用することができる。数百人規模の利用者が想定される場合にメリットが大きいという。国内では、化学情報協会(JAICI)がこの事業を担当する。
  • プロウスサイエンスが合併後初のフォーラム、Integrityさらに強化へ
     2008.03.22−昨年9月にトムソンサイエンティフィックに買収されたプロウスサイエンスの毎年恒例のジャパンユーザーフォーラムが、2月26日(大阪)と28日(東京)に開催された。買収のあと初めてのフォーラムとあって、その内容が注目されたが、看板の製薬業向け統合情報サービスである「Integrity」(インテグリティ)を継続的に強化発展させる方向性が示された。すでに組織面での統合も進んでおり、さまざまな技術領域に対するそれぞれの強みを寄り合わせ、新たな事業展開にも取り組んでいくとした。
  • 文科省RSS21プロジェクトが成果報告会、公開ソフトさらに前進へ
     2008.03.28−文部科学省「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」(RSS21)プロジェクトは26日、東京・駒場の東京大学生産技術研究所において、3年間にわたるプロジェクトの締めくくりとなる成果報告会を開催した。成果物としてのソフトウエアは、最終バージョン26本がすでにインターネットに公開中で、累計ダウンロード数は4万5,500件に達している。成果報告会では、それらのソフトの概要が発表されたとともに、実際に産業界において活用した事例やそのできばえに対する一定の評価も下された。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • マイクロソフトが次期SQLサーバー2008の新機能を公開
     2008.01.17−マイクロソフトは15日、報道関係者向け説明会を開催し、年内に出荷を予定している次期データベース管理システム(DBMS)である「SQLサーバー2008」の製品出荷に向けたスケジュールと新機能の概要を公表した。通常のベータプログラムよりも細かなアップデートが行われる「CTP」(コミュニティーテクノロジープレビュー)のもとで開発が進行しており、昨年の11月後半に「CTP5」版が公開されたところ。コア技術は現行のSQLサーバー2005を継承しつつ、100項目にわたる新機能を搭載している。正式な製品発表は、米国では2月27日、日本では4月15日に行われる。
  • NECがプロセス産業向けERPの最新版、パートナー戦略を展開へ
     2008.02.19−NECは18日、化学・食品・消費財などのプロセス製造業向けERP(エンタープライズリソースプランニング)パッケージ「FlexProcess」(フレックスプロセス)の最新バージョン7.0を開発、販売開始したと発表した。生産管理分野の機能を強化し、使いやすくしたことが特徴。とくに、初めてテンプレートを用意したことで、システム構築期間を最大55%短縮できるようになった。これにより、本格的なパートナー経由での販売にも乗り出す計画で、既導入ユーザーの情報システム子会社の中から事業化に手をあげるところが出てきている。販路を広げることで今後3年間に50社への導入を見込む。
  • SAPジャパンと日本ビジネスオブジェクツが買収後・新体制での事業方針
     2008.02.27−SAPジャパンと日本ビジネスオブジェクツは26日、昨年10月に独SAPが米ビジネスオブジェクツを買収したのを受け、国内での今後の戦略について記者説明会を開催した。買収後も、ビジネスオブジェクツは、SAPグループの単独の事業部門として独立して活動しているが、国内でも日本法人同士の統合は行わず、それぞれの独立性を維持する。ただ、ソリューションを相互補完することでSAP全体としての日本市場での成長性は大きく向上するという見方を示した。
  • 国立高等専門学校機構とマイクロソフトがグリッドプロジェクト始動
     2008.3.26−国立高等専門学校機構とマイクロソフトは25日、全国55校の国立高等専門学校(高専)が保有する教育用パソコンをネットワーク接続し、高速な計算環境を教育や研究に活用することを目指す「高専連携グリッドプロジェクト」を4月から本格的にスタートさせると発表した。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)専用OSであるWindowsコンピュートクラスターサーバー2003(WindowsCCS 2003)を採用し、最終的に6,500台のパソコンを結ぶ計画。ノード数では国内最大級のHPCシステムを目指すという。

 

 


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