CCSニュースファイル
   2019年1−3月

  • 米CASがブラジル知的財産庁と特許審査効率化でコラボ、AI活用
      2019.01.23−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、ブラジルの知的財産庁(INPI)との間で、人工知能(AI)を応用した技術を用いて特許審査プロセスを効率化させ、特許申請手続きを迅速化する共同事業を開始したと発表した。特許申請されたイノベーションに関連する先行技術、またはすでに公表された信頼できる一連の情報を見つけ出すことで、特許審査官の作業を助けることができる。CASでは、今回の実績をテコに各国の特許機関との連携を推進したい考えだ。
  • 慶應大らのグループがMI活用しナノシートを高効率で合成する手法確立
      2019.01.23−慶應義塾大学理工学部の緒明佑哉准教授らの研究グループが10日、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を活用してナノシート材料を高効率で合成する手法を確立したと発表した。ナノシート作成プロセスにおいて、収率を決定づけている要因をスパースモデリングによって抽出し、その予測モデルに基づいて実験した結果、実際に高い収率を得ることができたというもの。ナノシート材料の応用研究を加速する成果として期待される。
  • NIMSがMIで熱放射性能に優れたメタマテリアル、80億通りから最適構造
      2019.01.29−物質・材料研究機構(NIMS)は、「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ」(MI2I)などのマテリアルズ・インフォマティクス(MI)研究プロジェクトの最新成果として、東京大学および新潟大学、理化学研究所と共同で、機械学習と計算科学を組み合わせて世界最高クラスの狭帯域熱放射を実現する多層膜(メタマテリアル)を最適設計し、実験にて実証することに成功したと発表した。80億通りもの候補構造の中から、最適な物質と層構造の組み合わせを探索したもの。最終的に、人間が直感的には思いつかないようなナノ構造体が得られ、実際に優れた物性を示す結果になったという。
  • NIMSが機械学習のための計測データ変換ツール、自動的にメタ情報賦与
      2019.02.07−物質・材料研究機構(NIMS)の統合型材料開発・情報基盤部門 材料データプラットフォームセンター(DPFC)は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)で利用できるデータリポジトリーを整備する目的で、計測機器から出力されるデータを機械学習に利用しやすい形に自動的に変換するツール「M-DaC」を開発、公開を開始した。計測機器メーカーであるアルバック・ファイとリガクが協力しており、それぞれのX線光電子分光法(XPS)およびX線回折法(XRD)データに対応している。NIMSでは、公開を通じて利用者からの要望を集め、対応する装置や対象とする計測技術分野を順次広げていく。
  • ノーザンサイエンスコンサルティングが薬物性肝障害予測ソフト
      2019.03.09−ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)は、米シミュレーションズプラス(SLP)グループを構成するディリシム(DILIsym Services)と代理店契約を締結し、薬物性肝障害(DILI)などに関する定量的システム毒性学(QST)のソフトウエア技術を提供開始した。数学モデルをあらかじめ組み込んだ予測ソフトの販売、コンサルティングサービスを提供するほか、先端の技術開発を行うコンソーシアムへの加入も呼びかけていく。6月には開発元の主要メンバーを招へいし、国内でセミナーやワークショップを開く計画だ。
  • ライフインテリジェンスコンソーシアムがAI開発状況を一部公開
      2019.03.14−ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)は2月27日と28日の両日、東京・お台場で第2回全体報告会を開催した。内容は、メンバー以外にはほぼ非公開だったが、初日の基調講演のみ外部聴講者にも公開された。LINCは、医薬品開発を中心としたライフサイエンス全体を包含する約30種の人工知能(AI)開発に取り組んでおり、今回の公開部分においては4つのプロジェクトの成果が報告された。プロジェクト期間は2020年夏までの3年間で、その時点ですべてのAIが出揃い、メンバーによる事業化や社会実装が開始される予定。最後の1年は、プロジェクトの成果を今後どう発展させるかを具体的に検討する期間とする考えで、プロジェクトを継続するかも含め今年9月には一定の方向性を打ち出すという。
  • スパコン「京」が8月16日をもって共用終了、7年間で約2,500人が利用
      2019.03.20−スーパーコンピューター「京」が、事実上8月16日で稼働を停止することが決まった。2012年9月28日から共用を開始して以来、約7年間で2,500人に利用され、690件ほどの利用成果が報告されている(2019年2月末現在)。すでに開発が進んでいるポスト「京」は2021年から2022年に共用開始となる予定で、それまでの端境期は、全国の大学などに設置されている他システムの利用可能資源量を増やして共用制度を維持していく。
  • NSCがデンマーク・モレクサス社のドッキング解析ソフトを販売
      2019.03.27−ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)は、タンパク質とリガンドの結合相互作用を予測するドッキング解析ソフト「Molegro Virtual Docker」(Molegroバーチャルドッカー)を販売開始した。デンマークのモレクサス(Molexus)社が開発した製品で、最新のバージョン7.0が今月にリリースされたばかり。高いドッキング精度と使いやすいインターフェースを持つことが特徴で、Windows環境でシングルユーザーのほか、サイトライセンス、アカデミックライセンスなど柔軟に利用できる。30日間の無償トライアルも可能。GPUを利用した高速処理にも対応している。
  • 東大生研・溝口教授らがスペクトルから構造・機能を予測、機械学習利用
      2019.03.28−東京大学生産技術研究所の溝口照康教授(JSTさきがけ研究者)らのグループは、機械学習を利用し、内殻電子励起スペクトルから物質の構造・機能を直接かつ定量的に決定する手法を開発した。これは、電子線やX線を用いて測定する分光法で、電子が励起した際に生じる吸収スペクトルには原子配列や電子構造に関する情報が含まれている。ただ、そうした情報を得るには、高度な理論計算を行い、計算結果を専門知識に基づいて解析する必要があるため、作業には数日から数週間かかるのが実情だったという。今回、機械学習を行って構築した人工知能(AI)は、高速かつ高精度に定量的な予測を実現するもの。他のさまざまなスペクトルにも応用できるとしている。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • クラリベイト・アナリティクスがグローバルイノベータートップ100を発表
      2019.01.24−クラリベイト・アナリティクスは23日、知的財産・特許分野で最も革新的な企業・機関を独自の基準で選び出した「Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2018-19」を発表した。100社のうち米国と日本で72%を占めているが、とくに日本は国別で最多の39社が選出され、前回に引き続き(前回も39社)イノベーションの先進地域としての地位を占める結果となった。また、アジアからは前回よりも3社多い48社が選ばれており、世界のイノベーションの中心がアジアにシフトしてきていることを示唆しているとされた。

 

 


ニュースファイルのトップに戻る