CCSニュースファイル
   1992年4−6月

  • CCS特集

第一部:総論

富士通日本電気菱化システム帝人システムテクノロジー

CCSにおけるバーチャルリアリティ利用

第二部:ニューラルネットワーク

ライトウェルニチメンデータシステム日軽情報システム

  • 日本クレイが新型スーパーコンM90シリーズ、GAUSSIANなど高速化
     1992.5.14−日本クレイは、世界最大の超大容量主記憶をもつスーパーコンピューターの新シリーズ「Y-MP/M90シリーズ」(商品名)を発売すると発表した。現行機種の最大記憶容量2ギガバイトを大幅に上回る32ギガバイトの主記憶を実装することができ、これまでメモリー不足で実行できなかった超大規模のシミュレーション演算が可能になる。価格はプロセッサーが2台のM92シリーズが4億3,000万円から、4台のM94シリーズが8億5,000万円から、8台のM98シリーズは15億2,500万円から。9月から順次出荷を開始する。
  • 富士通が材料設計支援システムMASPHYCを新発売
     1992.05.22−富士通は、独自の分子動力学法ソフトウエアを組み込んだ材料設計支援システム「MASPHYC」(商品名)を開発、6月20日から発売する。とくに新素材分野では、原子や分子がどのように配列しているかなど、原子・分子の集合体としての性質が、材料全体の特性と大きなかかわりをもっている。「MASPHYC」はこれら凝縮系、固体・液体を対象としたシステムであり、たん白質など生体高分子や単一分子を扱うこれまでのシステムでは困難だった表面・界面のシミュレーションや、超微粒子や超薄膜のシミュレーションなども可能。新素材開発の上で材料特性を予測するために有効な機能性の数々を備えている。分子動力学法をベースとしたCCS(コンピューターケミストリーシステム)は、たん白分野を出発点とする米国製システムがほとんどであり、今回の「MASPHYC」が市場でどんな評価を受けるか注目されるところ。
  • 日立製作所が研究所で開発した分子軌道法ソフトを外販
     1992.05.27−日立製作所は、社内の研究所で開発した分子軌道法プログラム2種を外販する。中央研究所で開発された半経験的分子軌道法の「LEAF」(商品名)と、エネルギー研究所で開発された非経験的分子軌道法/密度汎関数法の「DVX2」(同)で、6月から出荷を開始する。スーパーコンピューターS-3000シリーズにも対応しているが、今回は計算部分のみの製品化なので他機種への移植も容易という。ソフト価格はともに、スーパーコンおよび汎用コンピューター用が180万円。とくに、「LEAF」はワークステーションでも動作でき、しかもソフト価格8万円の低価格を設定。広範な普及が期待される。国産の分子軌道法ソフトが商用化されるのは、日本電気の「AMOSS」に次いで2番目だが、半経験的なタイプや密度汎関数法で商品化されたのは初めて。
  • MSI:マイケル.J.サヴェッジ社長インタビュー
     1992.06.02−米国CCS(コンピューターケミストリーシステム)ベンダーの大手、モレキュラーシミュレーションズ社(MSI)のマイケル.J.サヴェッジ社長が、このほど本紙と会見、今後の事業戦略・製品戦略などを明らかにした。とくに、帝人と合弁で設立した対日拠点「帝人モレキュラーシミュレーション」について強調し、日本での活動を大幅に強化する方針を示した。
  • 富士通がバイオ研究支援ソフトの品揃え強化
     1992.06.03−富士通は、バイオ研究支援ソフト「BIORESEARCHシリーズ」(商品名)を大幅に拡充、新製品3種を一挙に新発売するとともに、現行製品2種についても機能強化を行い、6月から合わせて提供を開始する。今回、最新の日本語オープンウィンドウズ環境(米サンのSPARCステーションを中心にした業界標準のウィンドウズ環境)を完全にサポートすることによって、操作性向上と国際化対応を実現しており、将来的には米国での発売も予定されている。現在、シリーズには遺伝子の塩基配列の解析から、たん白質のアミノ酸配列の解析、たん白質立体構造の解析まで、バイオテクノロジーの研究を幅広く支援するソフトがそろっているが、同社では今夏から秋にかけてさらにシリーズを拡充・強化していく考えだ。
  • コーニングがバイオシムを買収
     1992.06.08−米国CCS(コンピューターケミストリーシステム)ベンダーの大手、バイオシムテクノロジーズ社(本社・カリフォルニア州、ケビン・ロバーツ社長)が、このほど米化学会社のコーニング社に買収された。金額は明らかにされていないが、買収手続は約3ヵ月で完了する見込み。今後、バイオシムはコーニングの100%子会社となるが、独立の企業として存続し、ロバーツ社長以下の経営陣もそのまま残る。バイオシムはかねてより、長期的な開発投資・研究投資を行うためにパートナーを探していた。今回、大資本のバックアップを得たことで、市場でのポジションはさらに強化されたといえそう。
  • 旭化成情報システムがSPARTANバージョン2を発売
     1992.06.29−旭化成情報システムは、分子軌道法に基づく分子シミュレーションシステム「SPARTAN」(商品名)を大幅に機能強化し、バージョン2としてこのほど新発売した。計算手法として、量子化学方程式を忠実に解くこれまでの非経験的方法に加え、実験などから得られたパラメーターを入れて計算を加速する半経験的方法を導入。周期率表の54番のゼノンまでの各元素が扱えるようになり、計算対象が拡大するとともに、実用性が増した。米国ウエーブファンクション社が開発したものだが、旭化成情報システムでは国内総代理店として普及活動に力を注ぐだけでなく、旭化成のソフトウエア開発研究所を通して開発面でも若干の協力を行っている。  

 


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