CCSニュースファイル
   2013年7−9月

  • パーキンエルマーがタブレット対応化学者向けアプリをシリーズ化
      2013.07.02−パーキンエルマーは、アップルのタブレット端末やスマートフォンで利用できる化学者向けアプリを提供開始した。まずは化学構造式の作図ツール「ChemDraw for iPad」と分子の三次元ビューアー「Chem3D for iPad」が先行して製品化されており、6月に公開された米国・欧州に続いて、7月上旬から日本向けの App Store でもダウンロードが可能になる。この夏からは、電子実験ノート(ELN)へデータ入力するための企業向け製品「ImageENTRY」も発売する。さらに、化合物データベースの閲覧ソフトなども計画中で、今後の製品展開が注目されている。
  • アクセルリスが医薬品品質リスク管理ソリューションを機能強化
      2013.07.02−アクセルリスは、医薬品の製剤開発と品質リスク管理の適正化に役立つ業務ソリューションの最新版「Accerlys Discoverant 4.3」を開発、販売開始した。新しい品質保証システムの考え方として注目されている“QbD”(クオリティ・バイ・デザイン)の実現を支援する機能を持っている。とくに最新版では安定性評価と使用期限分析に関係した機能が大幅に強化された。
  • ヒューリンクスが独デコドンの2次元ゲル画像解析ソフト、統計処理も統合
      2013.07.03−ヒューリンクスは、独デコドン(本社・グライフスヴァルド、マークス・コルベ社長)と販売代理店契約を締結し、二次元ゲル電気泳動画像解析・統計処理ソフト「Delta2D」の販売を7月1日から開始した。1本のソフトで画像解析から統計処理まで一貫して行えるため、高機能で使いやすいことが特徴。デコドン社はこの分野の専門ベンダーとして10年以上の実績があり、電気泳動装置の付属ソフトに飽き足らないユーザーを中心に、欧米では多くの導入例がある。解析する画像の枚数で料金が決まるというユニークなライセンスも用意されており、反響が期待される。
  • 富士通九州システムズが「ADMEデータベース」をバージョン31に強化
      2013.07.04−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物代謝に関する情報をインターネット経由で検索できるようにする「ADMEデータベース」を更新し、バージョン31を販売開始した。新たに約340の文献から約2,000件の非臨床薬物代謝データを追加している。利用料金は、企業/研究機関向けが年間157万5,000円、教育機関向け同52万5,000円。
  • 菱化システムが化合物の作用機序・適応症などを予測するシステム発売
      2013.07.04−菱化システムは、スペインのプロウスインスティチュートが開発した創薬研究・医薬品開発支援システム「SYMMETRY」を新製品として販売開始した。3,600万件という大量の化合物ライブラリーをもとに、ADME(吸収・分布・代謝・排出)および毒性、作用機序、適応症などを予測するシステムで、探索研究の段階で候補化合物のスクリーニングに役立つことに加え、既存薬の再開発やライフサイクル最大化のための検討にも活用できる。
  • STSが米シャリジェンス製品を発売、異種データソース横断し構造検索
      2013.07.05−サイエンス・テクノロジー・システムズ(STS)は、米シャリジェンス(Scilligence、本社・マサチューセッツ州、トニー・ユアン社長)と販売代理店契約を締結し、コアとなる化合物検索技術を生かしたユニークな製品群を発売した。米マイクロソフトのライフサイエンスチームと連携しており、マイクロソフト製品との融合が特徴となっている。
  • 三井情報が脂質同定ソフトを海外市場展開、米サーモフィッシャーと提携
      2013.07.12−三井情報(MKI)は10日、メタボローム解析に用いる脂質同定ソフト「Lipid Search」を、米サーモフィッシャーサイエンティフィックグループを通して海外でも販売すると発表した。世界でもほとんど類のないリピドミクス(脂質の一斉解析)に役立つソフトとして注目され、昨年から米国の質量分析学会に出展するなど市場調査を進めてきていた。基本的に質量分析計(MS)と組み合わせて使われるため、同機器の大手メーカーであるサーモフィッシャーとの販売提携は強力なパートナーシップになると期待される。
  • 京都コンステラ・テクノロジーズ:村上竜太社長インタビュー
      2013.07.20−京都コンステラ・テクノロジーズは、2008年に設立された京都大学発ベンチャー。創薬支援のための計算化学専門ベンダーで、相互作用マシンラーニング法(CGBVS)と呼ばれる独自の手法を武器に着実に実績を積み重ねてきている。小回りを利かせユーザーニーズにきめ細かく対応するため、7月からはサービスメニューも拡大した。村上竜太社長は、「大手製薬企業と中堅・中小とで計算へのニーズは微妙に異なるが、計算化学自体は技術的にこなれてきているため、製薬企業が計算を外注する土壌が整ってきたと思う」とサービス事業の強化を目指す。また、独自の技術を生かして、「自前でソフト開発する力を持つことが重要。技術を生み出す“学”と、それを利用する“産”の間に入って、両者の活動を盛り上げるような立場になれたらいい」と話す。
  • 米CASなどが「STN」の新プラットホーム版を提供開始、操作性向上
      2013.07.24−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)と独FIZカールスルーエは、科学技術文献・特許情報サービス「STN」の新プラットホームを、このほど正式に提供開始した。コマンドライン操作を中心にした検索のプロ向けのツールだったが、今回は完全ウェブベースとなり、プロ向けの高機能性はそのままに、使いやすさを大幅に向上させた。高速化された検索速度、リアルタイムでの解析、回答の処理効率の向上、検索能力の増大などを通し、プロの仕事の生産性が格段に高まるという。現在はまだバージョン1であり、利用できるデータベースの数が限られるため、当面は旧プラットホーム版も並行して提供される。
  • 東工大が今秋にスパコンを「TSUBAME2.5」に強化、GPU最新型に換装
      2013.07.30−東京工業大学学術国際情報センター(GSIC)は、現有するスーパーコンピューター「TSUBAME2.0」を強化し、今秋の稼働を目標に「TSUBAME2.5」として大幅な性能向上を図ると発表した。主な変更点はGPU(グラフィックプロセッサー)の換装で、最新ユニットを装備することにより、全体性能は現行の2.4ペタFLOPS(倍精度)から5.76ペタFLOPSへと2.4倍に高速化する。とくに単精度演算性能は4.8ペタFLOPSから3.6倍の17.1ペタFLOPSとなり、単精度性能だけなら11.4ペタFLOPSの「京」をも上回る。
  • 富士通が「SCIGRESS」の最新バージョン2.5、計算エンジン連携機能強化
      2013.07.31−富士通はこのほど、計算化学統合プラットホーム「SCIGRESS」の最新バージョン2.5をリリースした。これは、金属・セラミックス、触媒、半導体・薄膜、高分子・液晶、電池材料などを対象にした材料設計支援システムで、幅広い計算エンジンをサポートしていることが特徴。今回の最新版では、オリジナルの分子動力学法(MD)および分子軌道法(MO)の計算エンジンの機能強化、外部計算エンジンとの連携機能の拡張などがポイントとなっている。
  • 米CASが「SciFinder」の画面デザインなど刷新、検索手順を簡素化
      2013.08.02−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)が運営する科学者向け研究ツール「SciFinder」が、最新のバージョンアップで画面や操作性が刷新され、さらに使いやすさが向上した。人間工学に基づいて画面デザインが改善されたもので、初期画面がシンプルになり、検索を行うまでのステップが短縮されたほか、検索結果の解析や絞り込みも効率良く行えるようになった。
  • 米シミュレーションズプラスが膜透過試験解析の新ソフト、Caco-2など対応
      2013.08.03−米シミュレーションズプラスは、膜透過試験の解析を支援する新しいソフトウエア「MembranePlus」を開発した。PAMPA、Caco-2、MDCKなどに対応しており、細胞内および細胞間の各種透過メカニズムのモデルを搭載している。新製品として、今秋に発売が予定されている。
  • アドバンスソフトが「Advance/PHASE」の最新バージョン3.2をリリース
      2013.08.06−アドバンスソフトは、ナノ材料設計に適した第一原理計算ソフトウエア「Advance/PHASE」の最新バージョン3.2を今月末から提供開始する。電極材料などの解析に対応した新手法を導入したほか、アルゴリズムの改良でコアとなる計算時間を大幅に高速化。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)も一新し、計算結果の可視化などがシオンプルに行えるようになった。
  • ウェイブファンクション日本支店がオンラインストア開設、ソフト・書籍など
      2013.08.24−ウェイブファンクション日本支店は、分子モデリングソフトなどの自社製品を販売するオンラインストア「Spartan Store」を開設した。近日リリース予定の最新バージョン「Spartan '14」もここから予約できる。今後は関連書籍や学生向けの教育キットなど、取り扱い商品を増やしていく。
  • 米シミュレーションズプラスが「GastroPlus」の最新バージョン8.5
      2013.08.31−米シミュレーションズプラスは、経口投与薬物の消化管内の挙動や血中移行などの薬物動態を解析・予測する「GastroPlus」の最新バージョン8.5を開発した。新しい予測モデルの追加など多数の機能強化が行われるとともに、ユーザーの利便性も向上しているという。国内では、代理店のノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)を通して販売される。
  • アクセルリスとJCDBが化学物質法規制チェックで共同事業、ELNで連携
      2013.09.04−アクセルリスは3日、日本ケミカルデータベース(JCDB)と提携し、材料開発の研究初期段階で化学物質の法規制チェックを確実に行う新サービス「Accelrys Notebook plus Compliance」を提供開始したと発表した。研究過程で扱う化学物質の法規制面での問題を早い段階で発見することにより、時間の浪費やコスト損失を未然に防ぎ、化学物質の適正な管理を行うことを可能にする。
  • スパコン「京」の産業利用が材料シミュレーション分野で成果
      2013.09.11−昨年9月からスタートしたスーパーコンピューター「京」の産業利用分野の研究成果が順次公表されてきている。初年度の産業利用課題は25件が採択された(半期ごとに追加募集が行われている)が、課題選定件数における利用分野の内訳(産業利用を含む一般利用枠全体)は、「バイオ・ライフ」が31%、「物質・材料・化学」が28%とCCS関連がメイン。資源配分量の比率では、「物質・材料・化学」が45%で最大となり、「バイオ・ライフ」の17%が続く。民間の利用研究課題は成果公開型と非公開型に分かれるが、公開型の課題は正式な学会発表のあと、各種のシンポジウムやフォーラムなどでも研究内容が発表されてきている。今回は、材料シミュレーションの応用例として富士フイルムと住友ゴム工業の事例をレポートする。
  • 米アクセルリスがChemSW社を買収、化学物質管理のコンプライアンス
      2013.09.28−米アクセルリスは、化学物質の安全管理とコンプライアンス(法令順守)のためのソリューションを提供している米ChemSW(ブライアン・スタッフォード社長兼CEO)を買収し、製品ラインアップをさらに拡張した。買収金額は約1,530万ドルで、今後2年間での経営目標達成を条件に最大200万ドルの追加報酬が支払われる。最近では、研究開発のライフサイクル全体にわたって化学物質を法令に基づいて適切に管理することがますます重要になっているため、ファインケミカル、一般消費財、食品・飲料、医薬・農薬、石油・エネルギーなどの幅広い業種に恩恵となる強力なソリューションを提供できるとしている。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • 日本マイクロソフトが2014会計年度経営方針、デバイス&サービスに注力
      2013.07.04−7月から新年度に入った日本マイクロソフトは2日、樋口泰行社長が記者会見し、2014会計年度の戦略を説明した。とくに、「デバイス&サービスカンパニー」への変革を目標とし、「圧倒的なシェアを持つWindowsやofficeと異なり、その市場ではわれわれはチャレンジャーという存在。闘い方も変わるわけで、アグレッシブに攻める」と表明した。
  • 日立ソリューションズがO2Oマーケティング向けCRMソリューション
      2013.08.30−日立ソリューションズは29日、ネットとリアルを結んだO2O(Online to Offline)マーケティングを実現する「ファンビジネス向けトータルCRMソリューション」を製品化し、9月5日からクラウドサービスとして提供開始すると発表した。プロスポーツやエンターテインメント、サービス業、小売業などを対象にしており、「見込み客」を「ファン」に育てるための会員サービスのさまざまな仕掛けを用意することが可能。ぴあと提携して、チケット販売サービスとも統合している。すでに、プロ野球の東京ヤクルトスワローズが今期からファンクラブ運営にこのサービスを導入している。
  • 米ジャイブソフトが日本市場に進出、企業向けソーシャルプラットホーム
      2013.09.04−米ジャイブ ソフトウェア(本社・カリフォルニア州)は3日、企業向けソーシャルプラットホームとして世界800社の顧客を持つ「Jive」の日本語版を開発、日本オフィス(東京都港区赤坂2-10-12、フォーシーズ溜池山王ビル)を開設し、日本市場に本格参入したと発表した。TISとリコーITソリューションズの2社を通して販売活動を行う。記者会見したジェイ・ラーソン社長は「企業はITのインフラに多大の投資をしてきたが、従業員の仕事の生産性はあまり向上していない。ソーシャルネットワークを利用した新しい仕事のやり方を取り入れることで生産性は大きく上がる。とくに、さまざまな業種で豊富な成功事例を持つことが当社の最大の強みだ」と述べた。
  • 日本マイクロソフトがXP移行支援で中堅・中小企業向け新施策
      2013.09.05−日本マイクロソフトは5日、WindowsXPおよびOffice2003のサポート終了まであと7ヵ月と迫ったこのタイミングで、中小企業向けの新たな移行支援策を開始すると発表した。XPからの移行は比較的順調に進んでいるというのが同社の認識だが、とくに中小企業の場合は今期の予算の手当てができなかったり、経営者がサポート切れのセキュリティリスクを理解しないために移行計画が進まなかったりする問題がみられるという。今回は、この状況に対応する2つの施策を用意した。
  • シマンテックがサイバーセキュリティ演習を提供、会津大学の講座に採用
      2013.09.11−シマンテックは10日、セキュリティ技術者育成事業の一環として、セキュリティ対策チームを対象にしたサイバーセキュリティ演習を日本で初めて提供開始したと発表した。ネットワークの脅威や攻撃方法が複雑化しているなか、個別の専門知識を持つ技術者がチームとして連携することで、企業など組織全体の対処能力を引き上げることを目指したもの。とくに今回、コンピューターサイエンス専門の大学である会津大学が今月下旬から開講する「2013年度サイバー攻撃対策演習・情報セキュリティ講座」に採用された。教育機関のカリキュラムに取り入れられるのは初めてだという。
  • 米クラリゼンがSaaS型プロジェクト実行管理ソリューション最新版
      2013.09.12−米クラリゼン(本社・カリフォルニア州、アビノーム・ノボグロドゥスキーCEO)は11日、SaaS型のプロジェクト実行管理ソリューション「Clarizen」の最新バージョン6を提供開始したと発表した。今回から企業ソーシャル機能が搭載され、社内やパートナーとの間の会話からアイデアが出て、その有望なものから仕事が生じ、正式に予算がついてプロジェクトになっていくといった一連の流れの中で業務遂行を包括的に支援できる機能を備えている。ノボグロドゥスキーCEOは、「従来のプロジェクト管理システムは専門家には使いやすいが、一般社員のためのソフトではなかった。仕事のツールもいまはいろいろあるが、それぞれがうまくつながらないのが問題だ。Clarizenを使うと仕事のやり方が変わり、確実に成果が出るようなコラボレーションが実現できる」と説明する。
  • デルが法人向けワークステーション新モデル、堅牢なノートブック型も
      2013.09.14−デルは12日、法人向けクライアント製品を拡充し、優れたセキュリティと管理性、高い生産性を実現するノートブックPC「Latitude」の新製品4モデル、ハイパフォーマンスワークステーション「Precision」の新製品5モデルを13日から発売すると発表した。同社はここ数年の買収攻勢でソリューション志向のビジネスモデルを確立してきており、足もとのPC販売も好調。今年第2・四半期を対象にしたIDCの調査では、市場全体が前年同期比12.5%減の中、デルは法人・個人合わせて唯一の2ケタ成長(20.4%増)を達成、法人向けシェアを16.6%へと伸ばしたという。ここでは、技術系の用途でも多用される「Precisionシリーズ」の新製品を紹介する。
  • Hadoopディストリビューションの米マップアールが日本法人設立
      2013.09.20−米マップアール・テクノロジーズ(本社・カリフォルニア州、ジョン・シュレーダーCEO)は19日、日本法人を設立し、本格的に国内で営業を開始したと発表した。同社は、大規模データを効率的に分散処理・管理するためのオープンソースソフトウエア「Hadoop」の商用ディストリビューターで、エンタープライズ仕様のHadoopプラットホーム製品を提供する。国内では、新日鉄住金ソリューションズとノーチラス・テクノロジーズをSIパートナーとして、ビッグデータを活用した業務ソリューションを手がけていく。

 

 


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