CCSニュースファイル
   2015年7−9月

  • アスムスが原子スケール材料シミュレーター「matelier」の機能を拡張
      2015.07.01−アスムス(本社・東京都品川区、宇佐見護社長)は、原子スケール材料シミュレーター「matelier」(マテリエ)の機能を拡張し、中心となる第一原理バンド計算ソフトウエア「PHASE/0」と連携させて利用できる外部プログラムを提供していく方針を固めた。古典分子動力学ソフト「LAMMPS」、半古典輸送係数計算プログラム「BoltzTraP」、最大局在ワニエ関数解析プログラム「Wannier90」などを組み合わせる。国プロの開発成果であるPHASE/0の活用を促進する意味でも注目される。
  • 富士通九州システムズが「ADMEデータベース」の最新バージョン39
      2015.07.10−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物代謝情報などを提供する「ADMEデータベース」を更新し、7月からバージョン39をリリースした。約400の文献を新たに調査し、約1,700件の非臨床薬物代謝データと、約170件の臨床薬物相互作用データを追加している。
  • CTCLSが遺伝子変異の特定支援ソフト「GeneGrid」を本格提供
      2015.07.10−CTCライフサイエンス(CTCLS)は、次世代シーケンサー(NGS)の大規模データを活用するためのソリューションとして、独ジェノマティクスが開発した「GeneGrid」を国内で本格的に提供開始した。疾患に有意に関連する遺伝子変異の特定を支援するソフトで、がんをはじめとするアンメットメディカルニーズへの対応で注目される。とくに、疾患に関係する遺伝子やゲノムの変異を、NGSを用いて網羅的に特定する“クリニカルシーケンス”を促進することにつながるという。
  • 米CASの化学物質登録数が1億件に到達、50周年の節目に大台
      2015.07.14−米国化学会(ACS)の情報部門であるケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、化学物質データベース「CAS REGISTRY」に1億件目となる物質が登録されたと発表した。米Coferon社が急性骨髄性白血病の治療薬として設計した物質で、CAS登録番号1786400-23-4が付与された。「CAS REGISTRY」は作成が開始されてから今年で50周年の節目を迎えているが、1億件のうちの約7,500万件はこの10年間に登録された物質である。このペースが続けば、次の50年間に新たに6億5,000万件以上の新規化学物質が追加されることになるという。
  • 菱化システムが大量化合物情報の高速検索技術、MOEの機能拡張
      2015.07.15−菱化システムは、加CCGの統合計算化学システム「MOE」を利用して、数千万から1億件の化合物情報を高速に検索するシステムを開発した。入手可能な市販化合物ライブラリーを解析することで効率的な部分構造のコード化方法を発見。それをもとにした独自の部分構造フィンガープリントを用いて、ノートPCのような一般的なハードウエアで大量の化合物データを扱うことができることを実証した。7月7日に開催された「MOEフォーラム2015」で発表された成果であり、「MOE」のオプションプログラムとして製品化するなどのかたちで、広くユーザーに提供することにしている。
  • CTCLSがPipelinePilot対象のサービス事業強化、プロトコル開発など
      2015.08.18−CTCライフサイエンス(CTCLS)は、研究業務のワークフローの流れに沿ったデータ処理の自動化を実現する「Pipeline Pilot」(パイプラインパイロット)をベースにしたサービス事業を強化する。開発元であるダッソー・システムズ・バイオビア(BIOVIA)の取り組みを補完するかたちでユーザーニーズに合わせたシステム開発サービスなどを提供していく。電子実験ノート(ELN)への管理者機能の組み込みや、試薬管理と法規制チェックの連動システム、試薬出庫依頼システム、化学者・研究者向けの解析ツールなど、幅広い用途への適用が可能。ユーザーが自分自身でこうしたアプリケーションを構築することも容易だが、異動などにより開発者が現場を離れると、システムのメンテナンスができなくなるという問題もあった。そうした悩みを解消することが今回のサービスの狙いとなっている。
  • 富士通が分子モデリング最新版「SCIGRESS 2.7.1」をリリース
      2015.08.19−富士通は、計算化学統合プラットホーム「SCIGRESS」を機能強化し、最新バージョン2.7.1を開発、8月から提供を開始する。専用のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)から利用できる外部計算エンジンとして、要望の多かった分子動力学法「LAMMPS」との連携機能を強化した。また、分子の酸性度の尺度となる“アミン酸解離定数”(pKa)を予測する新手法を実装している。これは、昨年特許を取得(特開2014-157020)した技術で、他社製品にない機能であることから、新たな特徴としてアピールしていく考えだ。
  • シュレーディンガー日本法人がカタリストと共同でIT創薬の効果を実証
      2015.08.20−シュレーディンガー日本法人は、大手製薬メーカーからスピンアウトしたカタリスト(本社・東京都千代田区、大野一樹代表取締役)とビジネスおよび共同研究のパートナー契約を締結。協業の第1弾として、東京工業大学のスーパーコンピューター「TSUBAME2.5」を利用し、高速・高精度のIT創薬技術の効果を実証した。実験に近い水準の精度で1日当たり400〜500化合物の生物活性を評価することが可能。両社では、計算で実験を代替できればコスト的なメリットも大きいとして、さらに技術の検証を進めるとともに、実際の顧客向けのサポート・サービスにも取り組んでいくことにしている。
  • STN新プラットホームが機能強化、マルクーシュ検索で網羅性向上
      2015.08.21−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)と独FIZカールスルーエは、共同で運営している科学技術オンライン情報サービス「STN新プラットホーム」を機能強化したと発表した。マルクーシュ構造検索機能の追加、データベースの拡充、エクスポート形式の追加に加え、ワークフローやインターフェース面も補強されている。「STN」は知財専門家向けのサービスであり、今回の機能強化によって特許調査における網羅性が大幅に向上したという。
  • NIMSの材料インフォマティクスプロジェクト「MI2I」が始動、3分野で実証へ
      2015.09.09−物質・材料研究機構(NIMS)が科学技術振興機構(JST)の支援を得て推進する「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ」(MI2I)のキックオフを記念する第1回MI2Iフォーラムが7日、東京・千代田区の学術総合センターで開催された。材料開発の方法論を覆す“材料インフォマティクス”の実用化を目指す初の国家プロジェクトとして注目度は高く、300人以上の聴講者が集まった。これまでの材料研究は、与えられた物質の構造や機能を調べる演繹的/順問題的手法で行われているが、材料インフォマティクスは膨大なデータを解析することで帰納的/逆問題的な研究手法を具体化できる。望ましい特性を備えた材料を設計するための指針が得られることが特徴だ。プロジェクトでは、まず蓄電池材料、磁性材料、伝熱制御材料にターゲットを絞り、早期に有用性を実証していくことにしている。
  • CTCが米Rescaleのクラウド型HPCサービス、トータル1,400ペタFLOPS
      2015.09.12−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は11日、米リスケール(Rescale、本社・カリフォルニア州)と販売代理店契約を締結し、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)環境をクラウドで提供するサービスを開始すると発表した。利用するための環境の設計から構築、運用・サポートまで、さらにはユーザー社内のHPC環境との連携利用を含め、トータルであらゆるニーズに対応していく。大規模なシミュレーションを活用する自動車や精密機械を中心とした製造業を中心に、建設業、製薬業などの企業に向けてサービス展開する計画。3年間で100社への提供を目指す。
  • パトコアが英PSEの経口吸収シミュレーションソフトの販売権
      2015.09.18−パトコアは、このほど英プロセスシステムズエンタープライズ(PSE)と代理店契約を締結し、薬物の経口吸収シミュレーションソフト「gCOAS」の国内販売を開始した。本国でも発売されたばかりの最新ソフトで、ファイザーと共同開発した高度なメカニスティクスモデルを採用している。動物実験のデータを使わず、薬物のサンプルや構造から簡単に調べられる物性値を用いてシミュレーションできることが特徴。製剤設計を効率化し、臨床試験期間を短縮する効果があるという。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • SASが機械学習ソリューションを強化、モデル開発の自動化など
      2015.08.26−SAS Institute Japanは25日、ビッグデータを生かした機械学習技術をビジネスに応用するためのソリューションを強化し、「SAS Factory Miner」と「SAS Contextual Analysis」の2製品を新たに販売開始すると発表した。顧客の行動を的確に予測するなど、マーケティングで必要になる精緻なモデルを効率良く作成することが可能。顧客の心理や動機を分析するのに役立つ新手法のテキストマイニングも実現しており、機械学習や予測分析技術の本格的な活用を目指す先進的なユーザー向けに売り込んでいく。
  • 日本オラクルがクラウド型ERPソリューション強化、製品企画を支援
      2015.08.27−日本オラクルは26日、クラウド型ERPソリューションの製品体系を強化し、新製品の設計・開発に先立つ製品企画段階を支援する「Oracle Innovation Management Cloud」を国内で提供開始すると発表した。同社のクラウド型ERPは業務の網羅性に優れ、すべてを単一のデータモデルで統一しているため、業務間の連携が容易で、一貫したビジネス分析が可能になることが特徴。とくに、本社業務をオンプレミス型ERPで固め、子会社・関連会社や海外拠点には柔軟性の高くコスト面で有利なクラウド型ERPを展開するという“2層ERPモデル”に適しているとして、広く普及を狙っていく。
  • 米Nok Nok Labsが日本事務所開設へ、パスワード不要の認証技術提供
      2015.08.28−米Nok Nok Labs(ノック・ノック・ラブス、本社・カリフォルニア州、フィリップ・ダンケルバーガー社長兼CEO)は27日、日本事務所を設立し、国内での事業活動を本格化させると発表した。生体認証などを利用したパスワード不要のオンライン認証技術の標準化団体「FIDOアライアンス」の技術に基づくソリューションを提供しており、すでにNTTドコモとスマートフォン向けの個人認証で契約を結んでいる。今後、FIDO標準の普及とともに事業を拡大し、2〜3年後には国内で20〜30社が採用することを期待しているという。

 

 


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