CCSニュースファイル
   2020年10−12月

  • 統計数理研究所とJSRがMIで共同研究部門、機能化学品探索を効率化
      2020.10.02−統計数理研究所とJSRは1日、データ駆動型材料研究を促進するための基盤技術開発を目的とし、10月から共同研究部門「JSR-ISM スマートケミストリーラボ」を設置すると発表した。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を駆使し、機能化学品分野を対象に新規材料開発の飛躍的案効率化を目指すとしている。
  • 富士通とペプチドリームが中分子創薬でデジタルアニーラを活用
      2020.10.14−富士通は13日、ペプチドリームと進めてきた共同研究の成果として、「デジタルアニーラ」とHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)を組み合わせ、中分子創薬を加速する技術の確立に成功、新薬の候補化合物となる環状ペプチドの安定構造探索を12時間以内(実験的手法では数カ月から年単位を要する)に高精度で実施することが可能になったと発表した。今後は、さらに探索時間の短縮に挑戦しながら、実際の創薬探索の現場で活用していくという。
  • 米SRIが創薬開発自動化プラットフォームを日本市場に提供、AI応用
      2020.10.15−米SRI Internationalは13日、人工知能(AI)を組み込んだ創薬開発自動化プラットフォーム「SynFini」(シンフィニ)を日本市場で提供開始すると発表した。米国防高等研究計画局(DARPA)の助成を得て2015年から開発を進めてきたもので、昨年にはAIを応用して高度な自動化システムに発展させたという。主に低分子薬が対象で、パイプラインの加速と拡大を目的としたイノベーションを目指す製薬企業等との提携を図っていく。
  • 富士通研究所が「デジタルアニーラ」に対応した並列探索技術
      2020.11.10−富士通研究所は9日、組み合わせ最適化問題を高速に解く「デジタルアニーラ」を利用し、トロント大学と共同でメガビット級の大規模問題に対応できる新たな並列探索技術を開発したと発表した。イジングマシンとして、1メガビット規模の大規模求解システムを実現したのは世界初だという。実社会での実用問題にアプローチできるようになったことで、中分子の新薬開発、全国規模の輸配送計画、都市圏の交通渋滞解消、ニューノーマル時代に適したワークシフト計画など、具体的な大規模組み合わせ最適化問題へのビジネス展開を進めていく。
  • 日立ハイテクがAI応用の化学研究支援サービス、クラウドにMI基盤
      2020.11.11−日立ハイテクソリューションズは10日、化学分野における研究開発プロセスの高度化・効率化ニーズに対応し、付加価値の高い新素材の早期市場投入を支援するソフトウエア「Chemicals Infomatics」を発売すると発表した。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を手助けするサービスで、文献などから収集した1億以上の材料データを揃え、人工知能(AI)/機械学習を行うための高速な計算環境をクラウド上に用意している。将来的には、日立製作所が提供している「材料開発ソリューション」との連携も図るという。
  • 産総研と東大生研のグループが新たな深層学習技術、量子理論組み込み
      2020.11.12−産業技術総合研究所 人工知能研究センター 機械学習研究チームの麻生英樹チーム長と椿真史研究員、東京大学生産技術研究所の溝口照康教授の研究グループは11日、密度汎関数理論に基づく深層学習技術を開発し、学習データに含まれない新規物質の物性予測を高精度に行うことを可能にしたと発表した。波動関数や電子密度という量子物理的に最も基本的な情報を利用しているため、材料開発や創薬分野における大規模な有用物質探索に幅広く貢献できると期待される。
  • 長瀬産業がIBMとSaaS型MIサービス「TABRASA」、2つのアプローチ実装
      2020.11.19−長瀬産業は18日、米IBMと共同開発した新材料探索プラットフォーム「TABRASA」のサービスを開始すると発表した。IBMの技術をベースに、長瀬産業がマテリアルズ・インフォマティクス(MI)用SaaSとして製品化したもので、高機能素材やバイオケミカルをはじめとしたNAGASEグループの顧客・サプライヤー向けに展開し、研究開発プロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション)による課題解決、イノベーション推進を支援していく。
  • 東工大と産総研のグループが自律的物質探索ロボット、固体分野で初
      2020.11.20−東京工業大学 物質理工学院 応用化学系の清水亮太准教授、小林成大学院生、一杉太郎教授らは、産業技術総合研究所の安藤康伸主任研究員(機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター 材料インフォマティクスチーム)らと共同で、機械学習と定常動作を繰り返すロボットを融合した自律的な物質探索システムを開発したと発表した。二酸化チタン薄膜の電気抵抗を最小化するための研究に適用し、従来の約10倍の実験効率向上が確認できたとしている。研究者が実験における単純作業の繰り返しから解放され、創造的な仕事に取り組む時間を増やすことができるなど、研究開発の進め方を変革する成果としても注目される。
  • コロナ禍でCCSベンダー各社に第2回アンケート、売り上げへの影響小
      2020.12.24−CCSnewsでは、4月に続いてCCSベンダー各社にアンケートを実施。コロナ禍における事業の状況を聞いた。25社から回答が得られたが、懸念されていた売り上げへの影響は小さいことが分かった。政府の緊急事態宣言で経済がストップした時期の影響がいくらか残るベンダーもあるが、研究開発のデジタル化や人工知能(AI)/機械学習の導入、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)によって、CCS市場自体が拡大していることをうかがわせる結果になった。リモートでの活動もすっかり定着しつつあるが、新規顧客開拓については取り組みが十分にできていないベンダーが多く、来年度以降にじわじわと影響を引きずる可能性もありそうだ。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • 米アスペンテックがAI応用の自己最適化プラント、自動で学習・適応・自律
      2020.12.25−プロセス産業向け資産最適化ソフトウエアの大手、米アスペンテクノロジー(アスペンテック)は、生産現場に人工知能(AI)を組み込んで自己最適化プラントを実現する「aspenONE V12」を提供開始した。データを自動的に取り入れて自分で学習し、プラントの運転条件の変化に自動的に適応し、常に最善の目的を達成するための運転を自律的に行うことができる。未来型のオペレーショナルエクセレンスを具現化するソリューションとして、複数の大規模な生産設備を抱える石油・化学業界を中心に売り込んでいく。

 

 


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