CCSニュースファイル
   2002年4−6月

  • CCS特集2002年春

総論

アクセルリスアダムネットアドバンスドテクノロジーインスティテュートベストシステムズコンパックコンピュータコンフレックスCRCソリューションズCTCラボラトリーシステムズダイキン工業富士通九州システムエンジニアリング富士通ゼネティックス日立ソフトウェアエンジニアリングヒューリンクスインフォコムISI/ダウエント日本電子データムエルエイシステムズ日本MDLインフォメーションシステムズ三井情報開発ナノシミュレーションNEC菱化システム住商エレクトロニクス

  • 独ライオンが米トライポスとの資本提携を解消、2,200万ドルで全株を売却
     2002.04.04−バイオインフォマティクスの大手ベンダーである独ライオンバイオサイエンスは、コンピューターケミストリーシステム(CCS)大手の米トライポスとの資本提携を解消した。2000年2月に総額900万ドルでトライポス株の10.8%を取得し、取締役会にも役員を送り込んでいたが、今回ライオンは保有していた全株式を売却し、約2,200万ドルを入手した。ライオンはこの現金を新たな買収などに使用していく模様で、最近では1月末に米ネットジェニクスを1,700万ドルで買収している。
  • 富士ゼロックスがJSTプロジェクトからMD専用クラスターシステムを受注
     2002.04.05−富士ゼロックスは4日、分子動力学法(MD)を利用したたん白質解析のための高速クラスターシステムを科学技術振興事業団(JST)のプロジェクト向けに納入したと発表した。MD計算を高速に実行する専用計算ボード「MDエンジンII」(商品名)を合計128枚装着したLinuxクラスターシステムで、総計算能力は640ギガFLOPS(毎秒6,400億回の浮動小数点演算を実行)に達する。同社では、今回の実績を機にバイオ分野でのクラスタービジネスを本格的に展開していく計画。
  • 住商エレクトロニクスがトライポスのディスカバリーサービスを国内で提供
     2002.04.09−住商エレクトロニクスは、創薬支援専門のコンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーである米トライポス社が提供している受託研究サービスを国内で本格的に推進する。受注したプロジェクトを単にトライポスに仲介するだけではなく、社内に設備や体制を用意し、独自でもサービスを行えるようにした。コンピューターを利用して候補化合物群を絞り込むバーチャルスクリーニングを中心に顧客の創薬研究の一端を担っていく。
  • 豊橋技科大・船津助教授らのグループが化学反応予測システムを開発
     2002.04.13−豊橋技術科学大学の船津公人助教授と三井化学マテリアルサイエンス研究所計算科学室らの研究グループは、任意の化学反応による生成物を網羅的に予測するシステムを開発した。既知の反応情報データ数万件を利用して化学反応のルールを導き出し、それをもとにした知識ベースを活用して副生成物の可能性をすべて洗い出すことができる。限定的な条件下での予測では外国で数件の研究事例があるが、今回のように分子構造からどんな生成物でも導き出すシステムは例がない。化学反応をデザインするに当たっては、レスポンシブルケアの観点からも副生物を知ることは重要であり、今回のシステムは広く注目を集めそうだ。
  • 富士通がBLASTクラスター構築サービスを開始、大量・大規模検索に対応
     2002.04.17−富士通は17日、遺伝子の相同性を検索するソフトウエア「BLAST」をLinuxクラスターシステム上で高速に動作させる技術を開発、「PCクラスター用BLASTシステム構築サービス」として製品化し、6月から提供をはじめると発表した。32プロセッサー構成で単一プロセッサーの50倍以上の性能を発揮できるとしており、自社製のブレードサーバーを利用してクラスターを組んでシステムを提供するだけでなく、他社製クラスター上でも同様のサービスを展開していく。今後3年間で200システムの受注を見込んでいる。
  • 千葉工大・田辺教授らが化学物質安全性DB検索システムをウェブで公開
     2002.04.20−千葉工業大学・社会システム科学部の田辺和俊教授らのグループは、化学物質の安全性をインターネット上で検索できるデータベース(DB)システムを開発、無償で一般公開をはじめた。田辺教授が3月まで在籍していた産業技術総合研究所時代に開発した成果で、発がん性と生分解性を調べることができる。DB内に登録された化合物だけでなく、未知の化合物についても化学構造をもとに発がん性などの有無を予測できることが最大の特徴。田辺教授らは今後は千葉工大にて開発を継続し、検索・予測できるデータの種類をさらに増やしていく。
  • 住商エレがバーチャルスクリーニング用クラスターシステムを提供
     2002.04.23−住商エレクトロニクスは、新薬候補化合物のバーチャルスクリーニングシステムで、Linuxクラスターの販売に力を入れる。同社が総代理店を務めている米トライポス社の統合分子設計支援システム「SYBYL」(商品名)の最新バージョン6.8でクラスターがサポートされたことに対応するもの。同社では、以前からコンパックコンピュータのIAサーバーを利用したLinuxクラスタービジネスを推進しており、分子設計とクラスターのノウハウを合体させて最適なソリューションに仕立てて販売を行う。
  • ベストシステムズがMolWorksを5月から無料のオンラインソフトに
     2002.04.25−ベストシステムズ(本社・茨城県つくば市、西克也社長)は、国産のコンピューターケミストリーシステム(CCS)として開発した「MolWorks」(モルワークス)を無料化する。国産CCSの振興という目的もあって、産業技術総合研究所などの研究者らが持ち寄った自作プログラムをベースに同社が製品化したもの。2000年9月から販売してきたが、この5月にリリース予定の最新バージョン1.7から無料のオンラインソフトとしての提供形態に切り替える。ユーザー数を一気に増やし、具体的な声や要望をたくさん集めたいという狙いがある。
  • コンフレックスがインターネットを利用し配座探索ソフトのお試しサービス
     2002.05.09−コンピューターケミストリーシステム(CCS)専門ベンダーのコンフレックス(本社・横浜市中区、大田一男社長)は、国産の配座探索システム「CONFLEX2000」(商品名)普及のための新戦略として、インターネットを利用した無料お試しサービスを開始した。配座異性体の最適化構造をもれなくみつけ出すためのソフトで、その機能性や実用性を実際に評価してもらうのが狙い。原子数が50個までの分子を対象とし、無料で計算サービスを提供する。将来的には、今回構築したシステムをそっくりパッケージにして製品化する計画もある。
  • 日本MDLが新ブランディング戦略で6月から商品名称・体系を一新
     2002.05.21−大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーの日本MDLインフォメーションシステムズは、6月から新しいブランディング戦略を展開し、60種類近くあるシステムの商品名と商品体系を一新するとともに、企業としてのロゴやインターネットのURL、電子メールアドレスなども統一性のあるものに切り替えることにした。これは全世界でのブランディング戦略の一環だが、日本MDLではちょうど今年から会社組織や直販体制を本格的に強化してきており、新戦略を積極的に事業拡大に結びつけたい考えだ。
  • アダムネットが米メタフォリックスのドッキング計算ソフトを発売
     2002.05.27−アダムネットは、米メタフォリックス(本社・カリフォルニア州)が開発したたん白質と薬物分子のドッキングシミュレーションを高速に行うソフトウエア「DockIt」(商品名)の販売を開始した。ポストゲノムでたん白質の構造解析が進むと、薬物分子との結合や相互作用を調べるニーズが高まると判断。新製品として販売攻勢をかける。LinuxおよびIRIX上で稼働し、ソフト価格は800万円。
  • アクセルリスが材料設計支援システム最新版Materials Studio2.1を発売
     2002.05.28−コンピューターケミストリーシステム(CCS)最大手の日本法人、アクセルリス(本社・東京都中央区、角田礼昭社長)は、材料設計支援システムの最新版「Materials Studio 2.1」(マテリアルスタジオ)を発売した。半経験的分子軌道法の「VAMP」と粗視化分子動力学法の「DPD」という2種類の計算エンジンが追加されており、ポリマー設計や結晶設計、化学反応解析など幅広いアプリケーションに利用することができる。ウィンドウズパソコンで動作可能で、ソフト価格は180万円から。
  • 日本MDLが米パーテックのデータマイニングツールPartek Pro5.0を発売
     2002.05.30−日本MDLインフォメーションシステムズは、米パーテック(本社・ミズーリ州、トム・ダウニー社長)が開発したデータマイニングソリューション「Pertek Pro 5.0」(パーテックプロ、商品名)の国内販売を開始した。今年の1月に親会社の米MDLがパーテックとの間で3年間にわたる販売契約を締結したことを受けたもの。日本国内でも体制が整い、創薬研究分野を対象に直販にて普及を図っていく。解析エンジンからグラフィックス・可視化まで必要な機能がバランス良く統合されていることが特徴で、年間ライセンス料は87万円から。
  • 遺伝子情報解析ソフト専業のゼネティックスがSDCを母体に独立
     2002.06.01−遺伝子情報解析ソフトの専門ベンダーとしてゼネティックス(本社・東京都渋谷区、高浜健夫社長)が本格的に活動を開始した。ソフトウエア開発(SDC)を母体に独立したもので、この分野の国産ソフトの草分け的存在である「GENETYX」(商品名)をそのまま社名にした。これまでのパッケージソフト販売に加えて、バイオインフォマティクス分野のシステムインテグレーション(SI)ビジネスの拡大にも力を入れていく。
  • 米アクセルリス:角田礼昭アジア太平洋担当副社長インタビュー
     2002.06.06−コンピューターケミストリーシステム(CCS)最大手の米アクセルリスは、対日戦略を大幅に強化し、日本法人の陣容を一気に拡大した。1年前には6名だった人員を44名(日本国内は32名)まで増やした。販売から技術サポートまでを一貫してサービスできる体制を整えている。5月8日付けで米国本社のアジア太平洋担当副社長兼日本法人社長として新たに外部から招かれた角田礼昭氏に新体制の狙いを聞いた。
  • 三井情報開発がバイオインフォ製品の販売でオリンパスPMと提携
     2002.06.12−三井情報開発(MKI)は、メディカル・ライフサイエンス分野の機器販売を手がけているオリンパスプロマーケティング(オリンパスPM)とバイオインフォマティクス製品の販売で提携した。MKIが自社開発した4種類のパッケージをオリンパスPM経由で7月から販売していく。共同マーケティングも展開し、市場ニーズに基づいたソリューション提供を協力して行っていく。
  • コンパックがゲノムDB取得からBLASTインデックス作成までの自動化ソフト
     2002.06.13−コンパックコンピュータは12日、インターネット上のゲノムデータベース(DB)を取得し、BLASTでホモロジー検索を実施するまでの一連の処理を自動的に行えるようにするソフトウエア「バイオコレクター」(商品名)を開発した。ゲノム関連DBは数が多く世界中に点在しており、そのサイズも巨大になることから、バイオ研究者は本来の研究よりもそれらのDBを構築・管理する繁雑な作業に追われてしまっているのが現状。新システムはバイオ研究で行われる典型的なワークフローを完全自動化できるため、研究効率を大幅に向上させると期待される。
  • 富士通が理化学研究所GSCと共同研究、遺伝子機能ネットワーク解明へ
     2002.06.14−富士通は13日、バイオインフォマティクス分野で理化学研究所ゲノム科学総合研究センター(GSC)との間で共同研究を開始したと発表した。遺伝子同士の関係を網羅的に調べ、“遺伝子機能ネットワーク”を解明するためのデータベース(DB)と推論システムを開発する。まずは、全ゲノムの解読が終了しているイースト菌やシロイヌナズナを対象に来年3月末まで研究を進める。富士通ではコンテンツを中心とした共同研究の成果を、早ければ2年以内に商用化する計画だ。
  • ベストシステムズがQ-Chem/HyperChemの販売権取得、KGTの事業継承
     2002.06.15−ベストシステムズは、分子モデリングシステムで米キューケムおよび加ハイパーキューブと販売代理店契約を締結した。技術サポートのための体制も国内に整え、計算化学のユーザーニーズを掘り起こしていく。日本だけでなく、アジア全体もにらんだ戦略を立てており、韓国や台湾、シンガポール、中国などに対するビジネスも積極的に進める計画。同社はもともとPCクラスター構築などを得意とするベンチャー企業であり、それらと合わせたシステム提案にも力を入れる。
  • コンパックがDB分割方式でBLAST並列処理を実現するBioChopperを開発
     2002.06.20−コンパックコンピュータは19日、遺伝子研究で標準的に利用されるホモロジー検索プログラムBLASTによる解析を高速化するためのソフトウエアを開発、「BioChopper」(バイオチョッパー)の製品名で販売を開始すると発表した。複数のPCサーバーなどに処理を分割することで全体のスループットを上げる仕組み。最近、BLASTの並列処理に関心が高まっているが、今回のシステムはクラスターシステムの知識を持たない一般の生物系研究者にも簡単に使用することができ、低価格なことが特徴。今後3年間で100本の販売を見込んでいる。
  • ダウエントがバイオ関連特許の配列・文献DBをウェブで提供
     2002.06.25−特許情報サービス最大手のダウエント・インフォメーションは、バイオテクノロジー関連の特許データベース(DB)のウェブ版を開発、7月から販売を開始する。遺伝子配列DBの「GENESEQ on the Web」とバイオ関係の幅広い情報を集めた文献DBである「ダウエント・バイオテクノロジー・リソース」(DBR)の2種類がある。検索のプロではない一般の研究者にも使いやすいのが特徴。
  • インフォコムがコムジェネックスの統合創薬支援サービスを提供
     2002.06.26−インフォコムは、ハンガリーのコムジェネックス社(本社・ブダペスト、フェレンケ・ダーヴァス社長)が製品化した創薬研究のためのトータル支援サービス「EMIL ADMEヒット・コンソーシアム」(商品名)の受注活動を開始した。コムジェネックスおよびソフト子会社のコンピュードラッグ社が提供しているソフトウエア、データベース、化合物ライブラリーや受託合成・受託試験など、年間契約のスタイルですべてのサービスを利用することが可能。料金は年間1,570万円からで、サービス内容を十分に活用すればかなり費用対効果が大きいという。インフォコムでは、2年間で10社程度の契約を見込んでいる。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • マイクロソフトがウェブサービス戦略で先行の利を強調、開発環境整う
     2002.04.05−マイクロソフトは4月2日、ウェブサービスに関する報道関係者向けの技術説明会を開催した。開発環境として3月22日から出荷を開始したVisual Studio .NET(ビジュアルスタジオ・ドットネット)に加え、開発用データベースとして利用できるSQLサーバー2000およびアプリケーション統合環境を実現するBizTalkサーバー2002、さらにクライアントを構成するOfficeXP用のウェブサービスツールキットの提供が始まり、ウェブサービスの開発環境がすでに整ったことをアピールした。また、ウェブサービスの主導権争いにも言及し、他社との戦略の違いについての興味深い見解を表明した。
  • プラットフォームコンピューティングがグリッド統合ツールセットを販売
     2002.04.25−カナダの分散コンピューティングソフト大手ベンダーの日本法人、プラットフォームコンピューティング(本社・東京都新宿区、今井龍二代表取締役)は、グリッドコンピューティングを構築・運用するための統合ツールセット「プラットフォーム・グリッドスイート」(商品名)を国内で販売開始した。複数のコンピューター間で柔軟なリソース共有を可能にする同社独自のミドルウエア「LSF」を下敷きにしたもの。オープンソースのツールキットである「Globus」に関する商用サポートも提供していく。当面は、官公庁の研究機関を主な販売対象としつつ、内外のコンピューターメーカーとの協業関係の確立に力を入れる。
  • 米マイクロソフト:ジョン・コナーズCFOが会見、粘り強さ武器に好業績
     2002.05.01−米マイクロソフトのジョン・コナーズ上級副社長兼CFO(最高財務責任者)が来日し、4月26日に都内で記者会見を行った。会見のなかでコナーズCFOは、ハイテク産業の他社と比べて今年度の同社の会計状態の良好さを強調し、マイクロソフトの強さの秘密はしっかりしたビジョンを示し、根気と粘り強さでそれを達成していくところにあると論じた。苦戦が伝えられるXboxも、米国市場ではプレステ2を上回る販売成績をあげているとし、腰を据えて日本市場に取り組んでいくと述べた。
  • マイクロソフトがタブレットPC向けウィンドウズを開発、今秋に製品が登場
     2002.06.13−マイクロソフトは12日、ノートブック型パソコンの進化形態と称する“タブレットPC”向けの新たなOS(基本ソフト)として、「WindowsXP TabletPC Edition」(ウィンドウズXPタブレットPCエディション)を開発、今年の秋から国内の主要パソコンメーカー5社が製品化を行うことに決まったと発表した。対応アプリケーション開発者向けのベータプログラムや開発キットの提供も開始し、具体的な製品の発売開始までに普及への準備を整えていく。
  • サン・マイクロがOS最新版Solaris9を提供開始、ウェブサービス機能を強化
     2002.06.14−サン・マイクロシステムズは、300以上の新機能を追加した最新版OS(基本ソフト)である「Solaris9」(ソラリス9)の提供を開始した。ウェブサービス時代に必要とされる一部のミドルウエア機能も含めてOS環境に統合したもので、アプリケーションの開発・実行環境である“SunONE”、運用・管理環境である“N1”との緊密な統合を実現したことが特徴。性能も改善されており、OSを入れ替えるだけで例えばアプリケーションサーバーの実効性能が34%向上するという。

 

 


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