CCSニュースファイル
   2007年4−6月

  • CCS特集2007年春

総論:昨年の市場動向

主要ベンダー各社の戦略:アクセルリスアドバンスソフトアドバンスドテクノロジーインスティテュートケムインフォナビコンフレックスケンブリッジソフトCTCラボラトリーシステムズサイバネットシステムElsevier MDL富士通九州システムエンジニアリング富士通ヒューリンクスインフォコム化学情報協会日本総研ソリューションズ科学技術振興機構エルエイシステムズ分子機能研究所ノーザンサイエンスコンサルティングプロウスサイエンスジャパン菱化システムサイエンス・テクノロジー・システムズトムソンサイエンティフィックウェイブファンクションワールドフュージョン (アルファベット順)

 

  • NECがMolStudioの販売を終了、採算性の改善難しく
     2007.04.06−NECは、分子モデリングツール「MolStudio」の販売を3月末で停止した。サポートも1年後に終了する。分子軌道法ソフトの定番であるGaussian専用のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)として働くソフトで、1997年12月に製品化して以来の長い歴史があった。採算性が改善されず、今後の市場性も不透明なことから終息するに至ったという。
  • 富士通が創薬支援サービス事業を本格展開、製品化前の内部ソフト活用
     2007.04.09−富士通は、20年以上のコンピューターケミストリーシステム(CCS)事業のノウハウを生かし、創薬研究支援のサービス事業に本格的に乗り出す。独自の技術・手法に基づくストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)、ペプチド配列設計、高精度結合エネルギー計算、動的パスウェイ解析など、まだ製品化していない最先端の内部ソフトウエアを個別契約でライセンス供与したり、受託解析・コンサルティングを含めた幅広いサービスを提供したりするもの。最近、IT系企業の創薬支援事業からの撤退が目立っているが、富士通は長年継続して培ってきた技術を自負し、満を持してサービスに取り組んでいく。
  • アドバンスソフトがAdvance/ProteinDF2.0を製品化、GUI全面リニューアル
     2007.04.10−アドバンスソフトは、たん白質を対象にした量子化学計算ソフトウエア「Advance/ProteinDF」の最新バージョン2.0を製品化し、販売開始した。これまでは、計算部分だけで専門家以外には使いにくかったが、今回から本格的なGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を追加し、操作性・利便性を高めた。メモリーの使用効率も改善されたことで、計算環境面での敷居も低くなった。ソフト価格は年間ライセンスで100万円。
  • ElsevierMDLがエグゼクティブセミナーで「Isentris2.0」の新機能を紹介
     2007.04.14−ElsevierMDL(エルゼビアMDL)のラース・バーフォド社長兼CEOなど幹部が3月末に来日し、東京および大阪でエグゼクティブセミナーを開催した。欧米向けに2月にウェブセミナーとして提供した内容を膨らませて実施したもので、同社の日本市場に対する意気込みを感じさせた。医薬品研究開発における時間短縮・コスト削減・生産性向上などのトレンド、それを支える情報共有やワークフローの仕組み、新しいテクノロジーの実装支援まで、幅広い話題が扱われた。
  • ワールドフュージョンが新生トライポス製品の国内販売権を取得
     2007.04.17−ワールドフュージョン(本社・東京都中央区、川原弘三代表取締役)は、米国の大手コンピューターケミストリーシステム(CCS)ベンダーであるトライポス製品の国内販売権を取得し、4月から販売・サポート業務を開始した。トライポスは、この4月から「トライポスディスカバリーインフォマティクス」として新体制に移行しており、国内市場においてもそれまでの代理店だった住商情報システムが取り扱いを終了して、ワールドフュージョンに窓口が一本化されることになった。トライポス製品を加えたことで、バイオインフォマティクスを中心とした既存事業とのシナジーを狙っていく。
  • 米ケンブリッジソフトが電子実験ノート市場拡大へ日本IBMと協業
     2007.04.18−米ケンブリッジソフト(CS)は、国内の製薬会社を対象にした電子実験ノートブック事業を拡大するため、日本IBMと正式な業務提携契約を締結した。日本IBMがグループとしての総合力を生かし、業務コンサルティングからシステム構築、システム運用支援までのトータルサポートを提供する。電子ノートは、欧米のメガファーマがこの1−2年で先行して導入を進めており、国内でもプロジェクトが本格化するムードが高まっている。CS社の「E-Notebook」は欧米では業界トップの実績を持つとされ、今回の提携を通して一気に国内での足場を築きたい考え。
  • プロウスサイエンスが「Integrity」好調で日本・アジア戦略を強化
     2007.04.27−スペインの医療・医学・創薬情報プロバイダーであるプロウスサイエンスは、日本を中心とするアジア・太平洋地域での事業体制を強化する。昨年3月に日本法人を設立したが、統合創薬情報サービス「Integrity」(インテグリティ)の導入が好調で、初年度に黒字化を達成。アジア諸国からの引き合いも増えてきている。日本法人のプロウスサイエンスジャパンでは、アジア地域の代理店網の拡大に乗り出すとともに、日本法人のスタッフ増員も積極的に進め、さらなる事業拡大を図っていく。
  • 米ケンブリッジソフトが今夏発売予定のChemDraw11をプレビュー
     2007.05.03−米ケンブリッジソフトのソフトウエア開発ディレクターであるジェフリィー・P・カーター氏がCCSnewsのインタビューに応じ、今年の夏にリリース予定の化学構造式作図ソフトの最新版「ChemDraw11」の概要を明らかにした。同社では、ChemDrawを化学者の個人的なツールではなく、企業や大学などの組織的な研究インフラを支える標準技術のポジションへと押し上げようとしており、そうした観点での機能強化に力を入れている。このため、昨年からアニュアルサイトライセンス(年間使用契約)への移行を促進しており、すでに世界で450機関がこのライセンスに切り替えた。国内でもこの動きを加速させる。
  • 富士通が材料系CCS製品群のロードマップ公開、2008年度に統合製品
     2007.05.19−富士通は、材料開発向けコンピューターケミストリーシステム(CCS)製品群の2008年度に向けてのロードマップを明らかにした。現行製品のバージョンアップを段階的に実施するとともに、2008年度を目標に新しい統合製品を開発。各種の計算理論を取り込んで一元的に利用できるようにする統合プラットホームを構築し、原子・分子スケールからメソ領域までをシームレスにカバーする材料設計環境を実現する。これら製品面に加えてサポート・サービスの充実もあらためて図り、CCS事業の発展を目指していく。
  • ノーザンサイエンスが自社パッケージ、測定器のデータを統合管理
     2007.05.29−ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)は、パッケージソフトウエアの自社開発に本格的に取り組み、研究の中で発生あるいは利用する多種多様なデータを効率良く統合管理するためのシステムを開発していくことにした。第一弾として、製剤化に向けた研究過程で得られる各種スペクトルデータ・画像データなどを扱う「ChartSpect」を製品化した。メーカーや種類を問わず、分析データを一元的に管理・共有し、検索・比較対照などしてデータ活用を推進することが可能。今後も引き続き、自社製品のラインアップを広げていく。
  • 米ケンブリッジソフトが電子実験ノートで豊富な実績、ROIの高さでリード
     2007.05.30−米ケンブリッジソフトは、このほどCCSnewsのインタビューに応じ、電子実験ノートブック市場での実績の一部を公表した。同社はこのところ好調な業績を記録しているが、その牽引役が「E-Notebook Enterprise」。使いやすさやカスタマイズの容易さを武器に広く受け入れられつつあり、とくにROI(投資対効果)がはっきりと認められることが最大のポイントになってきている。日本での導入例も約10件に達しており、名実ともに電子実験ノート市場のマーケットリーダーの地位を築いている。
  • インフォコムが次世代化合物DB管理システムJ-STRIKEを製品化
     2007.06.11−インフォコムは、ウェブベースの次世代型化合物データベース(DB)管理システムを開発し、「J-STRIKE」の名称で製品化した。昨年秋に帝人ファーマに対して化合物DBシステムのリニューアル構築を担当した実績をもとに、一般向けにパッケージ化したもので、外部のアプリケーションとの柔軟な連携が可能。この分野は海外製のパッケージが主流だが、化学・製薬企業の研究開発の情報基盤となる重要システムでもあることから、自社でシステム構築できる優位性や低コスト・短納期を武器に積極的な事業展開を図っていく。当面、3年間で3億円の売り上げを目指す。
  • 山口大学発ベンチャー・TSテクノロジーが9月に起業、遷移状態DB活用
     2007.06.12−コンピューターケミストリーシステム(CCS)分野の山口大学発ベンチャーとして、新会社「Transition State Technology」(TSテクノロジー)が9月に旗揚げすることが明らかになった。山口大学の堀憲次教授(産学公連携・創業支援機構副機構長/地域共同研究開発センター長)らのグループが開発した化学物質の遷移状態データベース「TSDB」を利用して、インシリコでの合成経路開発技術を事業化しようというもの。試行錯誤的な実験を大幅に減らすことができるため、新規化学物質開発の期間とコストが劇的に削減されるという。システムの実用化に向けた開発をさらに進め、2009年10月から外部向けの事業を本格的に開始することにしている。
  • トムソンサイエンティフィックが国内の事業基盤を強化、日本代表が就任
     2007.06.19−トムソンサイエンティフィックは、12日に東京・大手町のサンケイプラザにユーザーなど約300人を集めて、「トムソンサイエンティフィックフォーラム2007」を開催した。全体セッションには今年2月に新たに日本代表に就任した長尾正樹氏が登壇し、同社の新体制と今後の基本戦略を説明した。今回、日本が独立した事業部門となり、「よりスピーディーな意思決定、また日本市場のニーズに合わせた製品開発やフレキシブルなサービス提供が可能になる」(長尾代表)という。
  • 菱化システムが独BioSolveIT製品を発売、インシリコスクリーニングで威力
     2007.06.20−菱化システムは、ドイツのBioSolveIT社(クリスチャン・レメンCEO)と代理店契約を結び、創薬支援ツールの販売を開始した。受容体の構造が既知の場合と未知の場合の両方に対応できる設計ツールがそろっており、加CCGの統合コンピューターケミストリーシステム(CCS)である「MOE」と統合して利用できるようにすることで、製品同士のシナジーを狙っていく。
  • ヒューリンクスがHyperChem最新バージョン8を発売、外部ソルバー組込み
     2007.06.28−ヒューリンクスは、加ハイパーキューブ社の統合型分子設計支援システム「HyperChem」の最新バージョン8を販売開始した。4年ぶりのバージョンアップとなり、分子軌道法の外部計算エンジンを柔軟に取り込むためのプラットホーム機能が強化されている。WindowsVistaにも正式対応した。8月末まで、キャンペーン価格として、一般向け26万5,650円から、教育向け17万4,300円からで提供する。 HyperChemをSBDD(ストラクチャーベースドラッグデザイン)専用システムとして使いやすく変身させるアドオンソフト(分子機能研究所)とのセット販売も推進する。
  • FQSが経皮吸収予測ソフトSKIN-CADの最新版5.1、新モデルを追加
     2007.06.30−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、バイオコム・システムズ(本社・福岡県飯塚市、森大輔代表)が開発した薬物経皮吸収シミュレーションソフト「SKIN-CAD」の最新バージョン5.1を販売開始した。皮膚透過量や血中濃度の変化を予測することができ、臨床性能予測や投与計画といった経皮吸収型製剤の最適化に利用することが可能。今回の最新版は、医薬だけでなく化粧品などのスキンケア分野にも対応できるようになった。ソフト価格は、企業向け157万5,000円、大学・官公庁向け52万5,000円。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • マイクロソフトがいよいよ国内ERP市場に参入、6月に日本語版発売
     2007.04.20−マイクロソフトは、日本においてERP(エンタープライズリソースプランニング)市場に参入するスケジュールを固めた。6月に「Microsoft Dynamics AX」(マイクロソフトダイナミクスAX)の名称で正式な日本語版を発売する。基幹業務パッケージとしては、昨年9月に投入したCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)製品に続くもの。ERPとして最後発となるが、マイクロソフト製品としての親しみやすさやオフィスなどの他製品との親和性、アーキテクチャーの先進性などを武器に中堅から大企業向けの市場に食い込みたいとしている。
  • マイクロソフトが次期サーバーOS“ロングホーン”のベータ3を公開
     2007.04.28−マイクロソフトは26日、次期サーバーOS(基本ソフト)として開発中の「Longhorn」(ロングホーン、開発コード名)の日本語版を含むベータ3を全世界で公開した。本格的な日本語環境でアプリケーションの互換性などの評価・検証を行うことができる。最終のベータ版となるもので、今年下半期には製品版の展開準備が整う予定。同社日本法人では、国内の開発者や企業のシステム担当者に向けてこれから多面的に情報提供を行い、新OSへの移行がスムーズに進むよう本格的な支援体制をとる。
  • ソースネクストがウェブ上でオフィスソフトを無料で提供、9月から正式版
     2007.05.15−ソースネクストは14日、ウェブ上で利用できるオフィスソフトの無料サービスを開始すると発表した。ワード、エクセル、パワーポイントと互換性のあるソフトを、ネット接続環境があればいつでもどこからでも使用することが可能。同日からベータ版を公開し、9月から正式サービスに移行する。今回のサービスは、米シンクフリー社と提携して提供するもので、最初の1年間に100万人、3年後に400万人の登録ユーザーを目指す。

 

 


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