CCSニュースファイル
   2011年4−6月

  • CTCLSが米イージスから販売権、医薬品製造時の品質をリアルタイム管理
     2011.04.05−シーティーシー・ラボラトリーシステムズ(CTCLS)は4日、米イージス・アナリティクス(本社・コロラド州、ロベルト・M・デシピオ社長兼CEO)と国内で初めての代理店契約を締結し、医薬品開発・製造技術の確立を効果的に支援するパッケージソフト「Discoverant」を発売すると発表した。製造工程途中で医薬品の品質をリアルタイムに管理することができるシステムで、抗体医薬を中心とするバイオ医薬品に関する生産技術の立ち上げに大きく貢献できるという。同社では、営業・技術・サポートの専任体制を組んで普及を目指し、2012年度に10億円の売り上げを見込んでいる。
  • アクセルリスが次世代シーケンサーへの対応強化、英ナノポアと提携など
     2011.04.06−アクセルリスが次世代シーケンサー(NGS)対応を強化している。大量データ解析のパイプラインを構築するための「Pipeline Pilot」向け専用コレクションを準備したことに続き、この分野で特異なノウハウを持つ英オックスフォード・ナノポアとパートナー契約を結んだ。NGSは多目的に利用できるため、生体分子がつかさどる各種の生命現象をより踏み込んだ形で研究できるシステムとして利用が進んでいるが、得られるデータが膨大なことから、有用な知識を引き出すうえでデータ解析技術がカギになるといわれている。同社は、こうした生命科学研究の最先端で、今後も積極的にソリューションを展開していく方針だ。
  • 化学情報協会が調査・検索サービス「SHIPS」を新たに提供
     2011.04.07−一般社団法人化学情報協会(JAICI)は、データベースを利用した調査や検索を専門スタッフが行う新サービス「SHIPS」を提供開始した。STNやケミカルアブストラクトなどの検索ノウハウや特許庁登録調査機関として培った先行調査の経験を生かし、顧客の知財戦略をアシストしようというもの。物質・材料分野に特化した専門サービスとして、迅速・的確な調査が特徴になるという。
  • 英IDBS:クリス・モロイ副社長インタビュー、電子ノートで急成長
     2011.04.08−英IDビジネスソリューションズ(IDBS)は、複雑で大量の研究データを管理・分析・モデル化するためのエンタープライズクラスのソリューションを提供。医療、医薬、化粧品、化学、農薬、ファインケミカルなど幅広い産業をターゲットとし、急成長してきている。クリス・モロイ(Chris Molloy)企業戦略&アジア太平洋担当副社長は、「日本市場に進出して10年以上になるが、創薬研究におけるハイスループットスクリーニング(HTS)分野のソフトベンダーだという古いイメージが根強いように思う。今後は日本でも積極的に事業領域を広げるため、日本法人設立も視野に入れ、パートナー戦略を強化したい」と話す。
  • トムソン・ロイターが「Web of Knowledge」最新バージョン5をリリース
     2011.04.09−トムソン・ロイターは、学術文献と引用情報を統合したオンラインサービス「Web of Knowledge」(ウェブ・オブ・ナレッジ)の新バージョンを提供開始した。最新のバージョン5は、学術文献の検索・発見・管理・分析を支援する機能が大幅に強化されており、研究者や図書館員にとってさらにパワフルな検索プラットホームになったという。
  • 富士通九州システムズが「ADMEデータベース」をバージョン22に更新
     2011.04.11−富士通九州システムズ(FJQS)は、4月から「ADMEデータベース」バージョン22を提供開始した。薬物のADME(吸収・分布・代謝・排泄)に関わる主要な薬物代謝酵素チトクロームP450を中心に約8万4,000件の論文データを収録したオンラインデータベース検索サービスで、インターネットを介してどこからでも利用できる。3ヵ月ごとにデータを更新しており、今回は265件の文献から約2,000件の非臨床薬物代謝データ、24件の文献から約100件の臨床薬物相互作用データを追加している。
  • パトコアが化学物質法規制チェックシステムを相次ぎ導入、第一三共など
     2011.04.12−創薬支援システムの専門ベンダー、パトコア(本社・東京都江東区、藤木雅己CEO)は、化学物質の法規制チェックシステム「CRAISチェッカー」(商品名)を第一三共と田辺三菱製薬に対して相次ぎ導入した。これは、研究所で合成したあるいは保管している化合物が麻薬・向精神薬や毒物・劇物などの法規制物質に当たるかどうかを構造式で判定するシステム。両社ともサイトライセンス契約での導入であり、すべての研究者がシステムを自由に活用できる。
  • パーキンエルマーがケンブリッジソフトを買収、IT・ソフト戦略強化
     2011.04.13−大手分析機器・バイオ機器メーカーの米パーキンエルマーが、電子実験ノートブック(ELN)や化学者向けデスクトップソフトなどで知られる米ケンブリッジソフト(CS)を買収した。第2四半期に手続きが完了する予定。今回、同社は別のELNベンダーである米アルタスラボ(ArtusLabs)も買収完了したことを明らかにするなど、ITおよびソフトウエア関連への投資を拡大する考えを示している。企業の研究関係の各種資産を一括管理する“OneSource”と呼ばれるサービスに沿った戦略の一環だとしている。
  • 化学情報協会が米CASの「SciFinder」最新版、新機能SciPlannerに注目
     2011.05.03−化学情報協会(JAICI)は、物質・特許などのデータベース(DB)を中心にした米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)の科学者向け研究ツール「SciFinder」の最新版を提供開始した。とくに、新機能の“SciPlanner”は検索して得られた知識をわかりやすく整理できる一種のワークスペースで、複数の文献からの反応式・実験手順・原料・書誌情報などを一覧的に統合することが可能。さまざまな文献の反応を組み合わせて新しい反応経路を設計したり、テーマやプロジェクト単位で情報を整理したり、研究レポートを作成したりすることが簡単に行える。研究者のクリエーティブな発想を支援する新しいツールとして注目される。
  • 菱化システムが英IDBSの電子実験ノートを発売、非医薬にも浸透図る
     2011.05.10−菱化システムは、英IDビジネスソリューションズ(IDBS)の電子実験ノートブック(ELN)製品の国内販売を今年度から正式に開始した。「E-WorkBook Suite」の商品名で、ELNが普及している医薬分野だけでなく、化学・材料分野にも浸透を図る。自由度が高いため特定の研究開発分野に限定されずに使用でき、紙の実験ノートよりも個人の生産性が高まると同時に、全社的な情報共有・知財戦略を推進できる利点があるという。
  • アクセルリスが分子モデリング製品の統合スイート、QSARワークベンチも
     2011.05.26−アクセルリスは、統合後の新しいソリューション体系である“Accelrys Enterprise R&D Architecture”に基づき、計算化学/分子モデリングソフトウエアを集めた統合スイート製品として「Accelrys Modeling and Simulation Suite」(モデリング&シミュレーションスイート)を発売した。多種類のソフトをワークフローで連携させるプラットホーム製品「Pipeline Pilot」(パイプラインパイロット)を基盤に統合化が実現されていることが特徴。薬物設計などの生命科学分野から化学・材料科学分野まで、物質や素材を対象にした全方位の研究に対応できる。現時点では既存製品を寄せ集めた印象だが、今後の製品ロードマップが注目される。
  • 米CASの「CAS REGISTRY」の登録物質数が6,000万件を突破
     2011.05.28−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、化学物質データベース「CAS REGISTRY」の登録物質数が6,000万件を突破したと発表した。6,000万件目の物質は中国の国家知識産権局(SIPO)に出願された特許中に含まれていたもので、近年の化学界の研究活動におけるアジア地域の影響力の拡大を象徴するものともとらえられているという。
  • アクセルリスが「Symyx Notebook」最新バージョン6.6をリリース
     2011.06.02−アクセルリスは、電子実験ノートブック(ELN)の最新版「Symyx Notebook by Accelrys」バージョン6.6をリリースした。エンタープライズレベルの研究開発基盤となる“Accelrys Enterprise R&D Architecture”に基づき、システム間連携の中枢である「Pipeline Pilot」をベースにした機能性を取り入れた。医薬品開発のプロセスと、その過程で生成される多種多様なデータを調和させ、研究開発のための企業内の組織力を高めることを可能にしている。合成実験の効率化だけにとどまらず、製剤から臨床試験までの期間を短縮させることで、新薬開発プロセス全体の効率化が図られるという。
  • アクセルリスが中小規模向け電子ノートベンダー・コンチュア社を買収
     2011.06.03−アクセルリスは、中小規模のユーザー向け電子実験ノートブック(ELN)で実績を持つスウェーデンのコンチュア・ソフトウェアを1,310万ドルで買収したと発表した。大規模で完全に統合された電子実験環境を実現できる既存製品「Symyx Notebook by Accelrys」に加え、小規模な研究組織でも導入しやすいSaaS(サービスとしてのソフトウエア)モデルにも対応した「ConturELN」をラインアップすることで、幅広いニーズに応えていく。
  • 英IDBSがハンガリーのケムアクソン社と戦略提携を強化、ELN機能拡充
     2011.06.04−英IDビジネスソリューションズ(IDBS)は、ハンガリーのケムアクソン社との戦略的提携関係を強化した。電子実験ノートブック(ELN)製品の中から、ケムアクソンのケムインフォマティクスツールを直接利用できるようになるため、現場の研究者にとって実験ノートを記述する際の生産性が大幅に向上するというメリットがある。
  • 富士通九州システムズが薬物相互作用予測ソフトを海外展開
     2011.06.16−富士通九州システムズ(FJQS)は、薬物相互作用予測ソフト「DDI Simulator」(DDIシミュレーター)の本格的な海外市場展開を目指し、米国で初のセミナーを開催した。米国シアトルで開かれた国際薬物相互作用学会(DDI-2011)に併設して、レッドライオンホテルを会場に6日夜に実施した。同社では、海外でのプロモーションを積極的に行う計画で、10月16日から米国アトランタで行われる国際薬物動態学会(ISSX)にも参加する方針を固めている。
  • 化学情報協会が「SciFinder Mobile」を国内でサービス開始
     2011.06.16−化学情報協会(JAICI)は、米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)のオンライン検索サービス「SciFinder」をスマートフォンから利用できるようにする新サービス「SciFinder Mobile」(SciFinderモバイル)を日本国内でも提供開始した。追加料金は一切必要でなく、普段使っているSciFinderのIDを利用して手持ちのスマートフォンからログインするだけで自由に利用することが可能。PCからSciFinderを利用すると、契約機関ごとの同時接続数制限がかかる場合があるが、今回のモバイル版はそうした制限もなしで、使いたいだけ使うことが可能。いまのところ、大学からの関心が高いという。
  • 米シュレーディンガーが日本法人を設立、10月から直販を開始
     2011.06.17−米シュレーディンガーは13日、100%出資で日本法人「シュレーディンガー株式会社」を設立したと発表した。同社の製品は、16年間にわたりインフォコムが総代理店として販売してきたが、その関係は今年の9月末で終了し、10月からは日本法人による直販体制に移行する。すでに国内には多くのユーザーがいるため、同社では営業・技術などの陣容拡大を急ぎ、早期に10人前後の体制を築きたいとしている。

 

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • セーラー万年筆が今夏に電子モール「セシモ」をオープン、全世代に対応
     2011.04.07−セーラー万年筆は、インターネット事業を本格展開するための戦略子会社「セーラーCモール」(略称・セシモ)を設立、今夏から電子モールサービスを開始すると発表した。サードパーティーのサービス業者/コンテンツ事業者に対して、双方向リアルタイム性を特徴とするコミュニケーションプラットホームを提供するもので、3年間に20〜50社のパートナーを集め、会員数100万人を目指していく。100年の歴史を持つブランド力を生かして、若年層だけでなく高齢世代まで取り込むことを狙えることを売り物にしたいという。
  • カスペルスキーが法人向けビジネス拡大へ、対日投資を積極化
     2011.04.15−ロシアに本社を置くセキュリティベンダーのカスペルスキーは、日本で法人向けビジネスを強化する。日本法人を3月で100%子会社化し、社屋移転、スタッフ増員と対日戦略を強化することに合わせて取り組んでいくもの。今回、法人向けの新製品として、マッキントッシュ向けのセキュリティソフトと、プロバイダー向けサービスプラットホーム製品を新発売する。
  • SAPがインメモリーカラム型DB普及で専門組織、第3世代DWHで注目
     2011.04.23−SAPジャパンは20日、インメモリー・アプライアンス・ソフトウエア「SAP HANA」に関するプレスセミナーを開催し、データウェアハウス(DWH)業界の最新動向を交えて、昨年12月にリリースして以降のビジネスの状況などについて解説した。それによると、インメモリーで検索できるなどリアルタイム性に優れるカラム型データベースは、現在のリレーショナル型データベースに代わって将来の主流になる可能性が大きいという。同社では、日本法人独自にHANAを専門に扱う「リアルタイムコンピューティング推進本部」を新設し、さらなる普及を目指す。
  • 日本マイクロソフトが最新のIE9日本語版を提供開始、HTML5をサポート
     2011.04.27−日本マイクロソフトは、最新のウェブブラウザー「Windows Internet Explorer 9」(IE9)日本語版を26日から提供開始した。世界では3月15日から公開されているが、東日本大震災の影響によるネットワーク回線への負担に配慮し、日本では提供時期を遅らせていたもの。世界ではすでに1,000以上のウェブサイトがIE9の新機能に対応しており、3月末までにWindows7におけるIE9の利用率が3.6%に達するなど、これまでのIEの歴史上最速のスピードで普及しているという。
  • 富士通が次世代ものづくり環境をクラウドベースで提供、10月からサービス
     2011.06.22−富士通は21日、製造業の設計・開発業務をクラウド上で支援する次世代ものづくり環境として、「エンジニアリングクラウド」を10月から提供開始すると発表した。CADなどのアプリケーションをクラウド上で提供する「エンジニアリングクラウド/SaaS」と、ホスティングサービスを提供する「エンジニアリングクラウド/PssS」の2種類がある。エンジニアリングに特有の巨大な設計データなどを効率良く転送する独自技術を組み込んだことが最大の特徴となっている。利用料金は、月額数万〜数十万円のレンジで、3年間に100億円の売り上げを見込んでいる。

 

 


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