CCSニュースファイル
   2010年10−12月

  • 菱化システムが粉末X線結晶構造解析ソフト、MOEとの統合で高い操作性
     2010.10.02−菱化システムは1日、名古屋大学で開発された画期的なX線結晶構造解析プログラムをもとに、商用版を「Crystal Profiler」の名称で製品化し、販売開始したと発表した。従来のソフトでは対応困難だった原子数が100を超える大きな有機化合物や共結晶の構造でも、短時間で決定できることが特徴。大型放射光施設SPring-8で測定されたX線回折データに基づく検討を通し、複雑な医薬品の結晶構造決定に成功した研究事例があり、海外からも注目を集めている。
  • CTCLSが医薬品安全情報管理のクラウドサービス、米アリス社が提供
     2010.10.05−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は4日、米アリスグローバル社が提供する医薬品安全情報の収集・評価・報告業務を支援するクラウドサービス「agOnDemand」(agオンデマンド)を国内で販売開始したと発表した。メガファーマをはじめとする世界150社以上が採用している安全性情報管理パッケージ「ARISg/j」の機能をSaaS形式で利用できるようにしたもの。パッケージを社内システムとして導入する場合に比べ、プロジェクト期間が2分の1、導入コストが3分の1に削減される。
  • エルゼビアが医薬開発DBのPharmaPendiumに薬物動態モジュールを追加
     2010.10.07−エルゼビア・ジャパンは、医薬品開発データベースサービス「PharmaPendium」(ファーマペンディウム)の新しいコンテンツとして、体内における吸収や代謝などのデータを収録した「薬物動態モジュール」を提供開始した。実際に米食品医薬品局(FDA)などが審査した医薬品の承認文書からデータを抽出していることが特徴。薬物動態研究はもとより、薬事申請、前臨床、安全性薬理などの業務に従事している専門家が行う調査作業を大幅に効率化できる。
  • 富士通が「SCIGRESS」の最新版2.2をリリース、MD計算関連機能を強化
     2010.10.19−富士通は、計算化学統合プラットホームパッケージ「SCIGRESS」の最新バージョン2.2を今月からリリースした。分子軌道法(MO)、分子動力学法(MD)をはじめとするオリジナル計算エンジンのほか、外部のソフトベンダーや大学などで開発された計算エンジンを統合して、金属・セラミックスや触媒、半導体・薄膜、高分子・液晶、電池などの材料開発に利用できることが特徴。今回の最新版では、とくにMD計算機能が重点的に強化されている。将来計画として、クラウドサービスを検討していることも明らかにされた。
  • アクセルリスが「Materials Studio」の最新バージョン5.5、量子力学で新手法
     2010.10.21−アクセルリスは、統合型材料系モデリングシステム「Materials Studio」の最新バージョン5.5をこのほどリリースした。とくに量子力学シミュレーション機能が充実し、太陽電池や二次電池、燃料電池、有機ELといった次世代エネルギー関連の材料研究に役立つ機能が大幅に強化された。これにより、化学・材料メーカーに加え、自動車・電気メーカーへのさらなる普及を狙っていく。また、最近では新薬開発などの生命科学分野でもMaterials Studioの高精度な量子力学計算を活用したいというニーズが拡大しており、今回の最新版ではそうした面も考慮に入れた改善も施された。
  • インフォコムが国内初のKNIMEセミナー&ワークショップを開催
     2010.10.28−インフォコムは、10月18日から19日にかけて、都内で国内初となる「KNIMEセミナー&ワークショップ」を開催した。スイスに本社を置くナイム・ドットコム社(マイケル・バーソルドCEO)が開発しているワークフロー型プラットホーム製品「KNIME」について、初級コースに相当するハンズオントレーニングが行われたほか、今後のロードマップなどについても紹介された。研究開発の基盤となる知識の蓄積と再利用に最適な環境を提供できるほか、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)分野にも応用できることなどが強調された。
  • 米アクセルリス:マックス・カーネッキアCEOインタビュー、広域展開加速
     2010.10.30−アクセルリスは、シミックス・テクノロジーズを合併し、7月から新体制を発足させた。これにより、材料科学分野と生命科学分野の両方をカバーする分子モデリング/シミュレーションに加え、研究開発の基盤となるデータベース/インフォマティクス系の技術・製品を兼ね備えた巨大ベンダーが誕生した。今年の売り上げは1億6,500万ドルに達する見通しで、従業員数は600人(うち200人がPhD)、顧客数1,350社と、名実ともにCCS市場のマーケットリーダーたる陣容を誇る。とくに、1億6,000万ドルのキャッシュを保有しており、事業拡大に向けた今後の積極的な投資が注目されるところ。合併前に引き続いて新生アクセルリスの指揮を執るマックス・カーネッキア(Max Carnecchia)社長兼CEOと製品担当のトレヴァー・ヘリテージ(Trevor Heritage)上級副社長にこれからの戦略を聞いた。
  • 菱化システムが汎用量子化学計算パッケージ「ADF」の最新版
     2010.11.19−菱化システムは、蘭サイエンティフィックコンピューティング&モデリング(SCM)が開発した密度汎関数法(DFT)ソフトウエア「ADF」の最新バージョンを提供開始した。励起状態の計算機能が強化され、有機ELや光増感型太陽電池などの素材開発に応用できるようになったほか、新しいプログラムとして化学反応が扱えるユニークな分子動力学(MD)ソフト「ReaxFF」が追加された。ADFは代表的な汎用量子化学計算パッケージの1つだが、最近では計算手法の幅に厚みと広がりを持たせてきており、実用物性に近い領域の計算が可能になってきているという。
  • リアクション・デザインが次世代エンジン設計シミュレーションソフト
     2010.12.09−米リアクション・デザインは、次世代クリーンエンジンといわれる予混合圧縮着火方式(PCCIまたはHCCI)のエンジン開発を大幅に効率化するシミュレーションソフトウエア「FORTE」を開発した。シリンダー内の燃焼シミュレーションを化学反応に基づいて精密に行うことができ、燃料効率が高く低エミッションのエンジン設計を強力に支援できる。日米欧の自動車メーカーなど約20社を集めて2006年から推進してきた「モデル燃料コンソーシアム」の開発成果を製品化したもの。日本法人ならびにパートナーの菱化システムを通して販売する。ソフトウエアの年間使用権は200万〜300万円となっている。
  • 米トムソン・ロイターが米ジーンゴーを買収、パスウェイ情報提供を強化
     2010.12.10−米トムソン・ロイターは、米ジーンゴーを買収し、11月29日付けでヘルスケア&サイエンス事業部門に統合したと発表した。製薬業向けの情報ソリューションを強化することが目的。買収金額などの条件は公表されていない。
  • ヒューリンクスが英クレセットの薬物分子設計ツール、独自のフィールド技術
     2010.12.15−ヒューリンクスは、英国の創薬支援ソフトベンダー、クレセット社(本社・ハートフォードシャー、ロブ・スコフィンCEO)と代理店契約を結び、新薬分子設計を行う際に生物学的等価体を探索するパッケージソフトを年明けから販売開始する。海外の大手製薬会社で実績があり、高精度に候補化合物を絞り込むことができるため、ムダな実験を減らす効果があるという。WindowsおよびLinuxで動作し、価格は年間ライセンスで29万円から。初年度800万円、3年度に3,000万円の売り上げを見込んでいる。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • デルとエヌビディアがGPUコンピューティング普及で共同ソリューション
     2010.10.06−デルとエヌビディアは5日、GPUコンピューティングを産業界で推進するための共同ソリューションを発表した。デルのデータセンター向けサーバー「PowerEdge C6100」と「PowerEdge C410x」を組み合わせた構成に、エヌビディアのGPUユニットである「Tesla M2050」などを装着したシステムとなる。両社では、GPUコンピューティングは研究目的での“黎明期”をいよいよ脱し、産業界での応用を進める“普及期”に入りつつあるとしており、今回のソリューションは本格的にGPUコンピューティングに取り組むユーザーに向けたものだと位置づけている。
  • 伊藤忠テクノソリューションズがクラウドサービスの新体系“cloudage”
     2010.10.08−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は7日、クラウドコンピューティング関連のサービス体系を新ブランド“cloudage”(クラウデージ)のもとにまとめ上げ、提供を開始すると発表した。5つのサービスカテゴリーに約40種類のサービスを再編・展開するとともに、新たにクラウド型ポータルサービス「cloudage portal」、ストレージ&バックアップシステムの統合コンサルティングサービス「SOIDEAL for Storage/SOIDEAL for Data Protection」、「VMware vCloud Director」をベースにしたセルフサービス型仮想化ホスティングサービス(トライアル版)を提供する。同社は、2012年度を目標とする経営3ヵ年計画を推進中で、クラウド関連で700億円の売り上げを目指している。
  • 日本オラクルが医療情報連携基盤市場に本格進出、海外での実績テコに
     2010.10.27−日本オラクルは26日、医療情報連携基盤(EHR)市場に本格的に参入すると発表した。営業と技術部門に専任部隊を編成し、オラクルグループの海外のチームと連携を取りながら具体的なソリューションの日本化を推進、国内の医療分野に強いベンダーやコンサルティングファームなどのパートナーと連携して戦略強化を図る。市場が本格化するとみられる2013年から2015年に向けて、医療関連分野向けの売り上げを倍々で伸ばしていくことにしている。
  • マイクロソフトのWindowsHPCサーバーが第3世代へ、開発からクラウドまで
     2010.10.29−マイクロソフトは、Windows環境でハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を実現する第3世代の「Windows HPC Server 2008 R2」(ウィンドウズHPCサーバー2008 R2)をベースにしたソリューションを11月上旬から提供開始する。国内ではパートナー21社と共同で事業展開し、技術的な敷居の高さなどからHPC導入に踏み切れなかった新しいユーザー層を開拓していく。並列プログラミング開発環境からPCクラスターでのアプリケーション実行、計算負荷に合わせたスケーラブルな運用まで、一気通貫でのソリューションを用意していることが最大の特徴となる。
  • 米ZLテクノロジーズが対日事業を本格化、アーカイブソリューション提供
     2010.12.07−企業内のあらゆる情報を一元管理するコンテンツアーカイブソリューションの専門ベンダー、米ZLテクノロジーズが日本での本格的な事業拡大に乗り出した。企業内の電子コンテンツを統制する法的要件が厳しくなるなか、米国ではコンプライアンス順守や訴訟リスク回避の観点から注目されているシステムで、まずは米国など海外でビジネスを推進するグローバル企業を対象に拡販を図る。とくに、製薬・化学などの業種で関心が高まっているという。
  • スペインのソフトニックが日本進出、無料ソフトのダウンロードサイト
     2010.12.11−スペインに本社を置く無料ソフトウエアのダウンロードサイト「ソフトニック」が日本に進出した。日本法人を設立し、9日から日本語サイト(http://www.softonic.jp/)を開設、サービスを開始した。日本は10ヵ国目で、欧米では“ソフトウエアのミシュランガイド”などと呼ばれており、すべてのソフトにレビュー(社員による記事)と星による評価(10段階)が付されているのが特徴。子供から年配者まで幅広くコンシューマー層をターゲットにしたソフトだけを紹介しており、利用は無料。広告によって収益を得るビジネスモデルとなっているが、過去5年間の平均成長率70%で売り上げを伸ばしている。
  • 米ネクサン:ワトソンCTO&パグマイア副社長インタビュー、技術革新さらに
     2010.12.18−SMB市場向けのストレージソリューションを提供する米ネクサンテクノロジーズのビジネスが好調に拡大している。省スペース・省電力で使いやすいことに加え、信頼性と品質に優れていることを武器に、市場での存在感も増してきた。同社の事業の現状や最近の技術面での進歩について、ゲイリー・ワトソンCTO(Gary Watson)と、アジア・中東地区営業担当のグレッグ・パグマイア副社長(Gregg Pugmire)に聞いた。

 


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