- NEDO技術評価委員会が土井プロジェクトの事後評価を確定へ
2003.01.06−昨年3月までの4年間にわたって行われた経済産業省の大学連携型プロジェクト「高機能材料設計プラットホームの開発」(通称・土井プロジェクト)に対する事後評価が事実上確定した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)技術評価委員会の分科会として評価を定めたもので、化学産業の国際競争力強化の基盤形成に大きく貢献できるという結論が下された。評価委員6名(細矢治夫会長・お茶の水女子大学名誉教授)の平均評点は、研究開発成果の達成度で3点満点、実用化・事業化の見通しで2.3点となったが、これはNEDOが評価した過去のプロジェクトと比べて非常に高水準だという。プロジェクト成果物である「OCTA」システムは、完全にフリーで公開されており、今後の幅広い普及が期待される。
- サンとCTCが東大ヒトゲノム解析センターにSunFire15Kを8台導入
2003.01.10−サン・マイクロシステムズと伊藤忠テクノサイエンス(CTC)は9日、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターにおいて、サンの最上位サーバー「Sun
Fire 15K」(サンファイアー15K)を中心とするシステムが稼働開始したと発表した。合計でCPU(中央処理装置)台数が788個、総メモリー容量が1.7テラバイトの大規模システムで、ゲノムセンターとしては国内最大規模のシステムとなる。
- 住商エレがマック用結晶構造グラフィックソフトの最新版
2003.01.15−住商エレクトロニクスは、英クリスタルメーカー社のマッキントッシュ向け結晶構造グラフィックソフトの最新版「CrystalMaker6」(クリスタルメーカー6)を販売開始した。最新のMacOS
X(オーエステン)に完全対応するために全面的にプログラムを書き直しており、高性能と使い勝手の良さを高次元で両立させた。ソフト価格は10万7,000円からで、年間200本の販売を見込んでいる。
- 理経がプロテオミクス研究の新ソリューション、バイオセンティエンツと提携
2003.01.18−IT(情報技術)専門商社の理経は、米バイオセンティエンツ(本社・カリフォルニア州、カーミット・ハートソング社長)と総代理店契約を締結、たん白質の二次元電気泳動分析を用いた研究活動を効率化・高度化させるソリューションの提供を開始した。独自の技術によって、再現性に劣るという電気泳動法の最大の問題をクリアしており、たん白質発現の評価や機能解明を強力に後押しできるという。プロテオミクス研究を進める製薬会社や研究機関などに売り込んでいく。分析装置メーカーとの提携も進める計画で、3年後には10億円規模の売り上げを見込んでいる。
- 富士通がCACheの創薬研究向けパッケージ、ドッキングスタディを実現
2003.01.28−富士通は、汎用型分子設計支援システム「CAChe」(商品名)の機能と製品体系を拡充し、医薬品開発にターゲットを合わせた新製品3種を開発した。たん白質のアミノ酸シーケンスの表示やたん白質の立体構造解析、医薬候補化合物とのドッキングスタディまで、ライフサイエンス分野で必要な機能を統合しており、計算化学の専門家ではなく、生物系の創薬研究者向けに売り込んでいく。とくに、ここ数年注目を集めているドッキングシミュレーションを同社として初めて製品化したことが最大のポイント。ソフト価格は100万円から。
- ダイキン工業が量子化学計算の最適環境構築サービス、LSFを利用
2003.01.31−ダイキン工業は、量子化学計算に関する最適な実行環境を構築する新しいサービスを「コンピューターケミストリーファーム」の名称で提供開始した。とくに、代表的な分子軌道法プログラムであるGAUSSIANを対象にし、現有のコンピューター資源で最大のパフォーマンスが得られるようにする。研究者はコンピューターの運用管理などを意識することなく、簡単に計算を実行し、ネットワークの最大性能を享受することが可能。同社のコンピューターケミストリーシステム(CCS)事業の新展開として注目される。
- フェーズフォワードが臨床症例報告の電子収集サービスを国内で展開
2003.02.08−新薬の臨床試験を総合支援する専門IT(情報技術)ベンダーである米フェーズフォワード社(本社・マサチューセッツ州、ポール・ブレイシャー会長)が、臨床試験データを電子的に収集する“電子データキャプチャー”(EDC)を実現するソフトウエアおよびサービスを国内で提供開始する。重要な症例報告をすばやく正確に回収できることが特徴で、米食品医薬品局(FDA)の定める“電子記録・電子署名に関する規制”(21CFRパート11)を満たしている。今後、日本でもEDCのニーズが本格化すると見込んで事業体制を整えた。
- NECソフトがカリフォルニア大とバイオインフォ用開発環境を製品化
2003.02.14−NECソフトは13日、米カリフォルニア大学アーバイン校のフィリップ・シュー教授と共同で、バイオ/メディカル分野のデータ解析やデータベース(DB)検索をコンピューターの専門知識なしに簡単に行えるようにする新しい技術を開発、アプリケーション開発ツール「SemanticObjects」(セマンティックオブジェクツ)として製品化し、4月1日から販売を開始すると発表した。さまざまなDBや知識、ツールを統合して扱え、日常会話に近い自然言語で複雑な検索処理を簡単に実行できるのが特徴。同社では、この技術を利用したインテグレーションビジネスを推進し、3年間で5億円の売り上げを計画している。
- 日本IBMが産総研にGAUSSIAN用グリッドコンピューティング環境を納入
2003.02.18−日本IBMは、グリッドコンピューティング技術を用いて非経験的分子軌道法ソフトウエア「GAUSSIAN」を簡単かつ高速に実行できるようにするポータルシステムを構築し、産業技術総合研究所に納入した。産総研グリッド研究センター(関口智嗣センター長)の“量子化学グリッド”を実現するもので、100台以上のコンピューターを活用し、たん白質や酵素、ナノチューブなどの大規模な分子を対象にした計算を実施していく。
- インフォコムがADMEデータベース開発で米国に合弁設立
2003.02.20−インフォコムは、新薬開発の効率化に役立つADME(吸収・分布・代謝・排出)関連事業を拡大するため、米国のADME試験受託機関であるアブソープションシステムズ(本社・ペンシルバニア州、パトリック・デンティンガー社長)と新しく合弁会社「ライトハウスデータソリューションズ」(本社・ペンシルバニア州、ロバート・ポールソン社長)を設立した。新会社は今年の秋までにADMEデータベース(DB)を構築して販売する。この分野の本格的なDB製品は今回がほぼ初めてであり、候補化合物のスクリーニングや新薬申請時のリファレンスデータとしての活用が期待される。
- 米イーオンと菱化システムが材料設計MDソリューションを開発へ
2003.03.18−米イーオンテクノロジー(本社・カリフォルニア州、フアイ・サン社長)と日本総代理店の菱化システムは、材料設計分野に適応した分子動力学法(MD)ソフトウエアを開発する。4月に中国・上海に開発センターを設立し、本格的にプロジェクトをスタート。来年3月に「TEAMフォースフィールド」(仮称)として製品化する計画だ。パラメーターが揃っていないために十分な計算精度が出ないという問題点を解決し、材料設計のための統合MDソリューションとして実用化を図る。この市場は大手CCSベンダーが手をつけていない分野であり、反響が注目される。
- インフォコムがプロテオーム研究用データベースシステムpreXenceを開発
2003.03.20−インフォコムは19日、プロテオーム解析を支援するためのデータ管理・解析システム「preXence」(プレゼンス)を自社開発し、販売を開始したと発表した。多くの販売実績を持つ英マトリックスサイエンスのたん白質同定ソフト「Mascot」が出力する大量の情報を効率良く管理し、データベースシステムとして検索や解析を行う機能を備えている。プロテオーム研究のスループット向上に役立つシステムとしてバイオ研究機関や製薬会社を対象に売り込んでいく。価格は400万円で、初年度15ライセンス、約1億円の売り上げを見込んでいる。
- 富士通研究所と富士通がMOPAC2002で機能性色素の物性予測を実現
2003.03.21−富士通研究所と富士通は、半経験的分子軌道法ソフトウエア「MOPAC2002」(商品名)を利用して、機能性色素などの光物性を高精度に予測できるシステムを開発した。有機EL材料やフォトクロミック材料などはその分子構造中に極性基を含んでいるものが多く、精度良く計算することが難しかったという。新システムは、光物性を予測するためにパラメーターセットを改良したもので、今年の6月をめどに商品化する予定。
- 三井情報開発が遺伝子ネットワーク同定研究支援システムを開発
2003.03.25−三井情報開発(MKI)は、遺伝子発現のメカニズム解明に役立つ遺伝子ネットワーク同定研究支援システム「VoyaGene」(ヴォイジーン)を開発した。2003年度内に製品化して売り出す計画で、昨年10月からインターネットでベータ版を公開し、ユーザーの意見や要望を集めている。とくに、遺伝子ネットワークの複数の予測手法を組み合わせて利用できるシステムは世界でも初めてだとしており、ポストゲノム研究の強力な武器になると期待されている。
- 菱化システムがADME特性予測の新ソリューションを製品
2003.03.28−菱化システムは、医薬候補化合物の人体内におけるADME(吸収・分布・代謝・排出)特性を予測するための新システムを製品化する。国内で独占的に販売している加ケミカルコンピューティンググループの「MOE」と独コスモロジックの「COSMOtherm」を組み合わせ、独自のソリューションに仕上げて提供していく。この分野ではすでにいくつかのソフトが存在するが、量子化学に基づく第一原理計算からADME特性を導くのは今回のシステムが初めて。開発元同士はとくに提携などを結んでいないが、日本で実績が先行すれば欧米にも広がる可能性がある。
- インフォコムが英ラブロジックのADME試験情報管理システムを発売
2003.03.29−インフォコムは、英ラボロジックシステムズ(リチャード・ブラウン社長)からADME(吸収・分布・代謝・排出)試験のための統合情報管理システム「Debra」(デブラ)の国内独占販売権を取得、同システムの販売を開始した。試験の設定から最終的なレポート作成まですべてのプロセスを一貫して支援する機能を持つ。欧米で40社以上の導入実績があり、試験にかかる時間を最高で60%削減できるという。ADME試験だけに的を絞ったシステムは他にはほとんど例がなく、ソフト価格は約4,000万円から。今後5年間で10社への販売を見込んでいる。
**************<一般ITニュース>***************
- マイクロソフトがスマートディスプレイを発表、離れた部屋からPCを操作
2003.01.16−マイクロソフトは14日、WindowsXPパソコンを離れた部屋などから自由に利用できるようにするワイヤレスディスプレー「Windows
Powerd Smart Display」(ウィンドウズパワード・スマートディスプレイ)を正式に発表した。同時に、NECおよびNECカスタマックスが実際の製品第1号「SD10」(9万9,800円)を発売。続いて富士通も今年のパソコン春モデルに合わせて製品化する予定。マイクロソフトでは、まずは新しい物好きのパワーユーザー向けに売り込み、価格が下がってくる2−3年後に一般消費者向けの市場が本格化すると見込んでいる。
- 国立情報学研究所の松本尚助教授らが高信頼クラスターを実現する新OS
2003.01.21−文部科学省国立情報学研究所の松本尚助教授(情報基盤研究系)らの研究グループは20日、複数のパソコンやワークステーションをネットワークで束ねて高信頼で高性能なシステムを構築できる新型OS(基本ソフト)を開発した。これは「SSS-PC」(スリーエス・ピーシー)と呼ばれ、いちから書き上げられた独自OSとなる。複数のプログラムを動的に効率良く並列処理させる機能を組み込んでおり、システム全体を止めることなくマシンの追加や保守作業を行えるのが特徴。松本助教授は「情報科学研究所」(本社・東京都台東区、副社長を兼任)を設立しており、新OSを利用したビジネス展開も進めていく。
- マイクロソフトが数ヶ月以内にウェブサービス事業を国内で本格スタートへ
2003.01.28−マイクロソフトは、ウェブサービスを利用したドットネット(Microsoft
.NET)戦略を本格化させる。消費者に対する電子メールに代わる情報提供手段として、利用者が欲する情報だけをタイムリーに送り届ける「.NET
Alerts」(ドットネット・アラート)を数ヵ月以内に日本でサービス開始する計画を明らかにした。米国では昨年の春から本格スタートし、すでに20種類近くのサービスが提供されているもの。ウェブサービスは、企業内での活用の段階を経て、今年から来年にかけて商用利用の進展が期待されており、その先陣を切るサービスとして反響が注目される。
- マイクロソフトがWindows
Media9シリーズを提供開始、高品位配信可能に
2003.01.30−マイクロソフトは29日、「Windows
Media9シリーズ」(ウィンドウズメディア9)の提供を開始、それに合わせて発表記念イベント「デジタルメディア・デイ」を開催した。米マイクロソフトの古川享副社長(アドバンスドストラテジー&ポリシー担当)が「Media
in the Digital Decade −次世代のデジタルメディアはここからはじまる」と題して基調講演を行い、高画質・高音質のデジタルメディアをインターネットで本格的に配信できる時代になったことを訴えた。
- ノベルがJ2EE対応のウェブサービス統合プラットホームを発売
2003.02.22−ノベルは、J2EE(Java2エンタープライズエディション)をベースにしたウェブサービス開発・運用のための統合プラットホーム「ノベルexteNd4.1」(エクステンド)を開発、3月14日から出荷を開始する。昨年7月に買収したシルバーストリームソフトウエア社の技術をノベルの“one
Net”戦略に組み込んだもので、既存のシステムをウェブサービス化してアプリケーション統合を行うことを可能にする。ソフト価格は1,260万円から。
- マイクロソフトがインフォメーションワーカー構想、オフィス11の新機能を公開
2003.03.05−マイクロソフトは、企業の生産性向上を実現する新しい考え方として“インフォメーションワーカー”構想を打ち出し、それを実際に支援するツールとして開発中の「オフィス11」(コード名、オフィスXPの次期バージョン)の新機能の一部を公開した。3日に都内で開催したイベント「Information
Worker Day 2003」において、特定の企業ユーザーとプレス関係者に披露されたもので、とくにXMLへの対応や社内の情報の漏えいを防止する“Windows
Rights Management Services”(ウィンドウズライツマネジメントサービス)などの機能が目を引いた。オフィス11の発売時期は今年の第3四半期に予定されている。
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