CCSニュースファイル
   2012年10−12月

  • 三井情報が「京」を活用したインシリコ創薬プロジェクトに参画
     2012.10.03−三井情報(MKI)は、本格稼働したスーパーコンピューター「京」を利用した創薬プロジェクトに参画することを発表した。3大学・研究機関、9社の製薬企業と2社のIT企業などからなる共同プロジェクトに取り組むもので、期間は2014年3月末まで。同社は主にたん白質の立体構造に基づく医薬品候補化合物の探索と最適化の計算処理を担当するという。
  • 富士通九州システムズが「ADMEデータベース」をバージョン28に強化
     2012.10.03−富士通九州システムズ(FJQS)は1日、インターネット経由で利用できる「ADMEデータベース」をバージョン28に機能強化した。年に4回の定期的なバージョンアップで、約260の新しい文献から約1,500件のデータが追加されている。利用料金は、全データベースパックで企業/研究機関向け年間157万5,000円、教育機関向け同52万5,000円。企業向けでは臨床での薬物相互作用データベースも利用でき、それを含めると同189万円となる。
  • アクセルリスが電子実験ノートブック最新版、次世代スプレッドシート統合
     2012.10.11−アクセルリスは、電子実験ノートブック(ELN)「Accelrys Electornic Lab Notebook」(旧名称・Symyx Notebook by Accelrys)の最新バージョン6.7を提供開始した。化学情報を含む多様な研究データを処理・分析するためのスプレッドシート機能など有用性が高まっており、とくに研究開発のライフサイクルを改善・加速させるためのプラットホームとして注目されているという。同製品は、機能強化が進んだことで昨年あたりから日本で導入実績が急速に増えている。来年リリースする次期バージョン6.8では、日本で需要の大きい化学系の機能強化が施される予定で、同社ではさらなる拡大を積極的に狙っていく。
  • 富士通が「SCIGRESS」をクラウドサービスとして提供、日額従量制も
     2012.10.20−富士通は、解析シミュレーションのクラウドサービス「TCクラウド」(テクニカルコンピューティング・クラウド)のメニューに計算化学を組み入れ、計算化学統合プラットホームパッケージ「SCIGRESS」の提供を開始した。クラウドセンターにリモート接続して、仮想デスクトップから「SCIGRESS」の専用GUIを利用できるため、手元のパソコンに「SCIGRESS」がインストールされていなくても分子モデルの作成、計算化学エンジンの起動、計算結果の解析と可視化を行うことができる。利用料金は月額または日額での課金となるため、初めてのユーザーが一時的に使用したり、計算業務のピーク時に処理能力の不足を補ったりする目的で利用するのに適している。
  • 米CASが「SciFinder」に研究の生産性向上させる新機能、反応タイプ分類
     2012.10.26−化学情報協会(JAICI)は、米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)が科学者向け研究ツール「SciFinder」を大幅に機能強化したと発表した。膨大な反応情報から必要なデータを素早く選別する機能が追加されたほか、グループ内の他の研究者との情報共有が行いやすくなるなど、研究を加速する効果が大きい。ウェブ版であるため機能強化は随時反映され、契約利用者はすぐに新機能を使用することができる。
  • 米アクセルリスが米イージスを現金3,000万ドルで買収
     2012.11.01−米アクセルリスは、医薬品製造時の品質をリアルタイムに管理するソリューションを持つ米イージス・アナリティカル(本社・コロラド州、ロベルト・デシピオ社長兼CEO)を現金3,000万ドルで買収した。これは、医薬品研究開発の下流工程をカバーするための製品パートフォリオ拡大を狙ったもので、電子実験ノート、ラボ業務実行システム、電子記録、科学情報プラットホームの機能を持たせた「Accelrys Process Management and Compliance Suite」に組み込まれる。
  • 「STN」に日本特許の全文データベースが搭載、数値データ検索も可能
     2012.11.10−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)と独FIZカールスルーエが共同で運用する科学技術情報データベースサービス「STN」に、日本特許の全文データベースが新規搭載された。特許庁が発行した公開特許、登録特許および実用新案の全文が英語で収録されており、新しい情報が特許発行後約10日間で反映されるなど速報性も高い。STNは最近、特許情報を充実させてきており、現在のところ12種類の特許全文データベースを利用することが可能。とくに、特許全文内の数値データを検索できる機能に対する評価が高い。今回の日本特許は、この数値検索が最新バージョンで対応していることも大きな特徴となる。
  • ウェイブファンクションの「iSpartan」が国内で入手可能に、AppStoreで
     2012.11.13−米ウェイブファンクションは、アップルのiPad/iPhone/iPod touchで利用できる計算化学ソフト「iSpartan」を正式にリリース、このほど国内でも入手可能となった。App Storeからオンラインで購入でき、国内価格は1,700円。構造式のスケッチや3次元分子モデルの表示、計算結果の閲覧などをタッチ操作で行えるほか、別途「iSpartanサーバー」と組み合わせれば分子軌道法(MO)計算を遠隔で走らせることもできる。こうした製品がどのようなユーザー層に受け入れられるか、反響が注目されるところだ。
  • 米シュレーディンガーが「PyMOL」のiPad版を無償で、美麗グラフィックス
     2012.11.15−米シュレーディンガーは、アップルのタブレット端末「iPad」で美麗な分子モデルを表示できるアプリ「PyMOL on the iPad」をリリースした。アップルのAppStoreを通して無償で配布されており、だれでもダウンロードして使用できる。iPadから社内の化合物データベースにアクセスするための「PyMOLエンタープライズサーバー」も用意されている。
  • コンフレックスが配座探索ソフト「CONFLEX」最新バージョン7を発売
     2012.11.21−コンフレックスは、配座探索ソフト「CONFLEX」の最新バージョン7を開発、このほど販売開始した。結晶構造の自動探索機能を初めて実現したほか、専用GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を新開発し、Windowsに加えMacやLinuxにも対応させた。パーキンエルマーのChemBioOffice/ChemBio3Dとのインターフェースが実装されたことも含め、全体として使いやすくなり、実用性が大幅に向上したという。
  • アクセルリスが「MaterialsStudio」の最新版6.1、PipelinePilotと統合
     2012.11.27−アクセルリスは、材料科学向け統合モデリングシステム「Materials Studio」(マテリアルスタジオ)の最新バージョン6.1を開発、提供開始したと発表した。同社の各種ソリューションに共通の基盤製品である「Pipeline Pilot」(パイプラインパイロット)との統合・連携が強化されており、一連の材料研究プロセスを大幅に効率化できる。シミュレーション機能の面でもさらなるブラッシュアップが図られている。
  • TSテクノロジーが計算化学のクイックサービスを正式スタート
     2012.11.28−山口大学発ベンチャーのTSテクノロジーは27日、計算化学による解析結果を低価格で手軽に得ることができるサービスを正式に開始した。アマゾンや楽天などのネットショッピングのようなスタイルで、ホームページ上で簡単に依頼することができ、結果は基本的に即日入手可能。同社は設立以来の3年間、詳細な化学反応解析を含むテーマ志向の受託研究・受託計算サービスを提供してきたが、最近では計算化学の裾野の広がりでそうしたニーズが高度化する一方、簡単に計算結果だけを知りたいという要望も増えてきていた。実際のサービス開始で反響が期待される。
  • アフィニティサイエンスがコンステラのバーチャルスクリーニングツール販売
     2012.11.29−アフィニティサイエンスは、京都大学発ベンチャーである京都コンステラ・テクノロジーズが開発したバーチャルスクリーニングプログラム「CzeekS」を販売開始した。予測のための分子記述発生の目的で、アフィニティが代理店を務めている伊タレッタの「DRAGON」を利用しているためで、特別価格でお得なセット販売を展開する。「CzeekS」は京都大学薬学研究科システム創薬科学の奥野恭史教授が開発した独自の相互作用マシンラーニング法(CGVBS、Chemical Genomics-Based Virtual Screening)を採用したもの。今回の契約では、京都コンステラ側も「DRAGON」を販売し、相互に協力して普及を目指すことにしている。
  • 菱化システムが「MOE」の最新バージョン2012.10、たん白質工学機能強化
     2012.12.08−菱化システムは、加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)が開発した統合計算化学システム「MOE」の最新バージョン2012.10を、12月中旬から国内で提供開始する。毎年この時期にバージョンアップしており、低分子からたん白質までを扱う生命科学系システムとしてかなり成熟した機能を持っているが、今回はたん白質工学に関連してウェット系の研究者が関心を示すような領域への発展が目立つ。研究の両輪である計算と実験の距離を縮める存在になってきているという。
  • CASの化学物質登録数が7,000万件を突破、韓国特許から収録
     2012.12.14−米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)は、世界最大の化学物質データベース「CAS REGISTRY」に登録された物質が7,000万件を突破したと発表した。この物質は韓国特許庁(KIPO)に出願された特許に記載されていたもの。6,000万件を達成してからわずか18ヵ月で、主にアジア地域での化学研究が加速していることを反映したものだという。
  • NVIDIAが新世代GPUアクセラレーションボード「Tesla K20X」
     2012.12.14−NVIDIA(エヌビディア)は、GPUコンピューティングのためのハイエンドアクセラレーターボード「Tesla K20X」を提供開始した。すでに提供中の「同K20」と合わせて新しい“Kepler”世代のラインアップが整ったことになる。倍精度演算性能が大幅に向上していることが特徴で、メジャーな70本を含む合計200本以上のGPU対応アプリケーションが揃ってきている。CCS関連でも、分子動力学法(MD)のAMBERやCHARMM、GROMACS、LAMMPS、NAMD、分子軌道法(MO)のGAMESS、ADF、Q-CHEM、TeraChem、材料科学のWL-LSMS、VASP、バーチャルスクリーニングのFastROCS、Molegro Vertual Dockerなど多くが対応しつつある。
  • 米シュレーディンガーがビル・ゲイツ氏からの追加出資受け入れ
     2012.12.18−米シュレーディンガーは12日、元マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏から2,000万ドルの追加投資を受けたと発表した。ゲイツ氏としては、2010年4月に初めて1,000万ドルを出資したのに続く2回目のシュレーディンガーに対する株式投資で、これにともないビル&メリンダ・ゲイツ財団のサイエンティフィックアドバイザーであるボリス・ニコリック博士(Dr. Boris Nikolic)が同社の役員会に加わることになった。
  • アクセルリスがドイツがん研究センターにELNを導入、コンチュア製品
     2012.12.18−アクセルリスが提供する電子実験ノートブック(ELN)製品の1つである「Contur ELN」が、このほどドイツがん研究センター(DKFZ)に導入された。4部門/20人の化学者および生物学者を対象にしたパイロットプロジェクトを経て正式に採用が決まったもので、DKFZの全部門に実装されると、約1,000人の研究者が同システムを利用することになるという。
  • シュレーディンガー日本法人がクラウドサービス普及に本腰
     2012.12.20−シュレーディンガー日本法人は、創薬支援のためのモデリングツールをクラウドベースで利用できるようにする「クラウドパッケージ」の普及に本格的に乗り出す。10月には国内での第1号ユーザーを獲得しており、12日に都内で開催した日本ユーザー会でサービス内容を詳細に紹介した。基本料金として、300万円で1年間に1万CPU時間までの利用が可能。一時的に大量の計算を実行したい時や、ライセンスを追加せずに多くのユーザーにシステムを利用させたいなどの目的にかなっているという。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • インフォコムが病棟薬剤業務支援システム、薬剤師の業務実績管理
     2012.10.03−インフォコムは1日、本年度の診療報酬改定における「病棟薬剤業務実施加算」に対応した病院薬剤師による病棟薬剤業務を支援するシステム「Ward Meister」を発売すると発表した。この加算を受けるための業務実績の管理を適正に行うことができる。すでに製品化している薬剤管理指導支援システムなどとの連携によるメリットを強みに初年度10機関、2014年度末までに累計100機関への導入を目指す。
  • ニチイ学館と日本マイクロソフトが医療機関向け事業で提携
     2012.10.03−ニチイ学館と日本マイクロソフトは1日、医療機関向けの事業で提携し、両者の強みを合体させたソリューションを順次開発・提供していくことで合意したと発表した。病院経営の健全化や医療従事者への支援、地域医療の促進などを狙いとしたもので、ニチイ学館では今回の協業によって2016年度までに累計75億円の売り上げ貢献を期待している。
  • 日立ソリューションズがMR支援ソフトをヤンセンファーマに導入
     2012.10.19−日立ソリューションズは、iPadを利用した製薬業向けマーケティング支援ソリューション「Interactive-Pro」がヤンセンファーマに採用されたと発表した。1000人のMR(医薬情報担当者)が活用することにより、医師へのプレゼンテーションの効果性が高まるとともに、紙の説明資料の電子化によるコスト削減に成功したという。
  • 日本マイクロソフトが「Windows8」を発売、オンとオフの両面で活用
     2012.10.27−日本マイクロソフトは26日、Windows8を正式に発売し、東京・秋葉原で記念イベントを開催した。冒頭のあいさつで樋口泰行社長は「昨日は秋葉原で久しぶりに前夜祭を行いたいへん盛り上がった。1万人近くの人が来てくれたと思う。とくに、タッチ&トライコーナーでのお客さんの反応がすばらしく、われわれ社員の方がびっくりするほど。これはいけるぞとの確信を持った」と述べた。イベント会場には各社のWindows8対応新機種がずらりと並べられたほか、パートナー13社のゲストも登壇し、発売に花を添えた。
  • 加賀ハイテックが「TAXAN」ブランドの新製品3種、ワイヤレスストレージなど
     2012.11.23−加賀ハイテックは20日、「TAXAN」ブランドの新製品3種を26日に発売すると発表した。スマートフォンやタブレット端末を便利に使えるようにする周辺機器のシリーズで、ワイヤレスであることが特徴。今回の新製品には、Wi-Fi経由でアクセスできるカードリーダーやiPhone/iPadをコントロールできる小型スピーカーなどが含まれる。同社は「あなたのデジタルライフを演出する」をコンセプトにTAXANブランドを展開しており、2013年度にはこのブランド全体で50億円の売り上げを計画している。

 


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