CCSニュースファイル
   2006年10−12月

  • CCS特集2006年秋期


1部:総論業界動向、CCS業界に大きなうねり

2部:実用期に入った電子実験ノートブック

主要ベンダー各社の製品戦略

アクセルリスアドバンスソフトコンフレックスElsevier MDLインフォコム日本総研ソリューションズ科学技術振興機構エルエイシステムズ菱化システムトムソンサイエンティフィックウェイブファンクション(アルファベット順)

 

  • FQSがADMEデータベースサービスのコンテンツを強化、3万件を蓄積
     2006.10.13−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、オンラインで提供しているADME(吸収・分布・代謝・排出)データベース(DB)検索サービスのデータ量を増やし、「ADMEデータベース バージョン4」としてリリースした。薬物動態関連のたん白質・薬物の情報を3万件以上収録しており、新薬開発に利用することができる。料金は全データへのアクセスで年間157万5,000円。今後1年間に30件の契約を見込んでいる。
  • ElsevierMDLに聞く−Isentris移行状況、移行ペースは予想通り
     2006.10.17−化合物の構造や物性データの管理、試薬管理、アッセイデータ管理に代表されるケムインフォマティクスシステム市場が大きなうねりをみせはじめている。SOA(サービス指向アーキテクチャー)などIT(情報技術)標準の大規模な変革が押し寄せているなか、化学情報管理の基盤も変革を避けられないためだ。実際、クライアント/サーバー型からウェブアーキテクチャーへの転換が生じており、そのタイミングを狙ってリプレースを仕掛けるベンダーも増えている。その意味で、クライアント/サーバー型の統合化学情報管理システムISISで市場を支配し、いま新アーキテクチャーのIsentrisへの移行を進めるElsevierMDL(エルゼビアMDL)の動向が注目される。移行の実態と認識に関して、同社の上級副社長兼CSO(最高科学責任者)であるトレバー・ヘリテージ氏、グローバルコーポレートアカウント担当副社長のビル・ボーク氏、フレームワークビジネスグループディレクターのトーマス・ブラッカダー氏の3名にインタービューした。
  • 菱化システムがバイオ研究グループ向け低価格LIMSソリューション
     2006.10.31−菱化システムは、仏アジャイルバイオ(本社・パリ、ピエール・ロドリゲス社長)と販売代理店契約を締結し、バイオ実験データを簡単に管理できるソフトウエア「LabCollector」(ラブコレクター)を販売開始した。細胞株やプラスミド、プライマー、実験動物など管理項目に合わせてモジュール化されており、使いやすいウェブインターフェースを取り入れているため、研究グループ単位で手軽に情報の集約と共有を図ることができる。ソフト価格はフルセットの買い取りで53万7,600円(アカデミック15万9,600円)。ユーザー数の制限はない。
  • ノーザンサイエンスがADMETプレディクター2.0、モデル作成機能を統合
     2006.11.10−ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)は、米シミュレーションズプラスが開発したADME(吸収・分布・代謝・排出)予測ソフトの最新版「ADMETプレディクター2.0」の国内販売を開始した。任意の化学構造に対する約50種類ものADME特性および毒性を予測することができ、新薬開発の早い段階で候補化合物を評価したり絞り込んだりするために役立つ。これまでは別製品だった予測モデル作成機能が統合されたことが最大の特徴で、価格も据え置きとなることから、普及拡大に結びつくと期待されている。
  • CTCLSが実験者の安全を守るグローブボックスを発売、完全特注を実現
     2006.11.20−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、化学・医薬の研究所において危険な化合物などを実験する際に使用するグローブボックス「アイソボックス」(商品名)の販売に乗り出した。実験者と試料を遮断することができるため、実験の安全確保の観点から使用機会が増えてきているが、既製品では使いにくいという意見も多かった。今回の製品は完全なオーダーメード方式とすることにより、使用感に優れ、実験の質を高めることにもつながるという。実際の設計・製作はミューチュアル(本社・大阪市北区、三浦浩一社長)が担当し、CTCLSがそれを独占販売する。価格は500万円からで、初年度に10社への販売を見込んでいる。
  • 分子機能研究所がドッキング解析ツールのマルチ化合物版を発売
     2006.11.21−分子機能研究所(埼玉県三郷市、辻一徳代表)は、医薬候補化合物と標的たん白質とのドッキングシミュレーションツール「Docking Study with HyperChem」(ドッキングスタディ・ウィズ・ハイパーケム)のマルチ化合物対応版を開発、販売を開始した。100個、1,000個などの候補化合物群をまとめて自動的にドッキング解析にかけることが可能で、創薬研究のスピードアップに貢献できる。また、個別にコンサルタント契約を結ぶかたちで、PCクラスターを利用した高速バーチャルスクリーニングの要望にもこたえていく。
  • サイバネットシステムが米オープンアイのX線結晶構造解析ツール
     2006.11.23−サイバネットシステムは、創薬研究におけるX線結晶構造解析を支援する新しいツール「AFITT」の販売を開始した。米オープンアイサイエンティフィックソフトウエア社の製品で、たん白質に結合している薬物分子(リガンド)を自動的に抽出し、電子密度マップに対して精密にフィッティングさせることができる。同種のソフトはすでにいくつも製品化されているが、今年に新開発されたばかりの最新プログラムであり、フィッティングの速度が速いことから欧米ではかなりの引き合いがあるという。価格は年間サイトライセンスで約280万円。
  • 米トライポスがCCSソフト事業を売却、ベクターキャピタルに2,560万ドルで
     2006.11.28−米国の大手CCSベンダーであるトライポス社が20日、ソフトウエア事業部門をベクターキャピタルに2,560万ドルで売却すると発表した。来年3月末までにはすべての手続きが完了する予定。トライポスは今年の1月から買い手を探しており、米国では今回の売却は会社清算の一環との見方も出ているようだ。ただ、事業は何らかのかたちで継承されるため、SYBYLなどの代表的なソフトウエア製品は存続すると思われるが、国内でもユーザーが多いだけに今後の行方が注目される。
  • 日立ソフトがバイオ研究統合ツール、解析手順をシナリオ化・共有
     2006.12.02−日立ソフトは11月30日、バイオ研究者が多様な研究情報を効率良く管理できるようにする新しいソフトウエア「DNASIS ReportPad」(DNASISレポートパッド)を開発、12月6日から販売開始すると発表した。ウェブや実験などを通して集めた大量の情報を取り込み・整理して、自身の研究成果をまとめることに役立てることができる。研究者間での情報共有を促進するコミュニケーションツールとしての側面も持つ。出荷開始は来年3月。価格は45万円で、5年間で5,000本の販売を見込む。
  • アドバンスソフトがAdvance/バイオステーション2.0、マルチレイヤーFMO
     2006.12.06−アドバンスソフトは、たん白質と医薬分子(リガンド)との相互作用を解析する「Advance/バイオステーション」を機能強化し、最新バージョン2.0をリリースした。古典力学に基づいた一般的な解析システムと異なり、フラグメント分子軌道法(FMO)の採用によって電子状態を考慮できることが特徴だが、今回の最新版では新しい多層化計算手法を導入し、計算精度と計算速度のバランスを最適化することができるようになった。ソフトの価格は、年間ライセンスで一般向け100万円、教育機関は50万円。
  • ニイウスが東北大学金属材料研究所からスパコンを受注、材料設計向け
     2006.12.09−ニイウスは、IBMの世界最速スーパーコンピューター「BlueGene/L」を小型商用化した「NIWS Gene/S Turbo」を東北大学金属材料研究所から受注した。720ギガFLOPS(毎秒7,200億回の浮動小数点演算)の性能を持つ空冷型で、材料設計シミュレーションに活用されるという。
  • 富士通がXMLデータベース専用機、遺伝子DBなど広範な用途に展開
     2006.12.15−富士通は、遺伝子データベース(DB)など、データ自体が可変長で正規化ができないため、一般的なリレーショナル型DB(RDB)に適していない情報を高速・大量に扱うことができる専用計算機を開発、「ShunsakuEngine」(Shunsakuエンジン)の名称で、きょう15日から販売・出荷開始する。同社独自のDBエンジンである「Shunsaku」があらかじめ内蔵されており、並列処理方式によって高速度な検索を実現する。すでに、来年3月に予定されている国立遺伝学研究所の日本DNAデータバンク(DDBJ)のシステム入れ替えにともなって正式採用されることが決まっている。バイオ分野以外にも幅広い用途開拓を目指し、3年間で900台の販売を見込んでいる。
  • 米ケンブリッジソフト:トマッシク会長兼CEOインタビュー、対日戦略強化
     2006.12.23−米ケンブリッジソフトは、化学構造式作図ツール「ChemDraw」で、化学に携わる研究者や学生に抜群の知名度を持つ。同様の機能を持つフリーのソフトも存在するが、それらを抑えて根強い人気を集めている。これら個人向けソフトに加えて、近年は企業向けの統合ソリューションでも存在感を高めつつあり、今年から日本事務所の体制を強化して専任の日本人スタッフを置くなど、さらなる飛躍を目指している。同社のマイケル・トマッシク会長兼CEOに今後の戦略を聞いた。

 

**************<一般ITニュース>***************

 

  • 米セールスフォースのジム・スティール社長、ライバルの追撃をバッサリ
     2006.10.11−米セールスフォース・ドットコムのジム・スティール社長が来日し、記者会見した。同社は、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)機能をオンデマンドで提供する“SaaS”(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)分野の大手ベンダーで、最近になってSAPやオラクル、マイクロソフトなどのライバルが相次いでオンデマンドサービス事業に乗り出すなど、激しく追撃される立場にある。しかし、スティール社長は余裕でこれらの挑戦を受け止める構えだ。
  • 米インテルのジョンソンCIOが会見、IT能力で競争優位性を向上
     2006.10.24−米インテルのCIO(最高情報責任者)を務めるジョン・ジョンソン副社長が来日し、23日に記者会見した。インテル社内における情報システム部門の役割や位置づけ、CIOの任務などについて説明した。国内では、CIOがなかなか根付かないことに加え、日本版SOX法対応など、IT(情報技術)投資が肥大化するなかで、投資対効果を厳しく評価しようという考え方が高まりつつある。ジョンソンCIOは、会見において「ベンチマークがカギだ」と強調した。
  • マイクロソフトがVistaおよび2007オフィスのパッケージ構成と価格を決定
     2006.10.27−マイクロソフトは26日、来年1月発売予定のWindowsVistaおよび2007オフィスのパッケージラインアップと販売価格、また年末商戦での買い控えを防ぐために展開するアップグレードキャンペーンについて発表した。商品構成が一部変わるが、現行のWindowsXPおよびオフィス2003とほぼ同等の価格となっている。日本法人のウィンドウズ本部長であるジェイ・ジェイミソン氏は、「先日のWPC Tokyoでも、8割以上の来場者が好意的な反応をしてくれており、自信を深めている。今回の最新版で新しいプレミアム体験をユーザーに提供したい」と述べた。
  • 新生CTCの奥田陽一社長が会見、段階的にシナジー追求
     2006.11.09−10月に合併した伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の奥田陽一社長が6日、記者会見し、統合後の中期ビジョンを明らかにした。ユニークさを持つ一方で総合力を兼ね備えたソリューションベンダーを目指し、バランスのとれた収益構造を築いていく。事業目標としては、2008年度に売り上げ4,000億円(2006年度見込み2,950億円)、純利益200億円(同138億円)を達成する。
  • インテルがデジタルヘルスケア事業に本腰、病院・機器メーカーと提携
     2006.11.14−インテルは、国内におけるデジタルヘルスケア事業を本格的に拡大することとし、13日に一連の記者発表を行った。米インテルのデイビッド・ウィットリンガー氏が代表を務める業界団体「コンティニュア・ヘルス・アライアンス」の日本地域委員会が設立されたとともに、インテル日本法人の事業展開として、亀田総合病院(千葉県鴨川市、亀田信介院長)および医療端末メーカーのヴァイタス(本社・東京都文京区、曽根伸二社長)と提携した。在宅から病院まで、IT(情報技術)による基盤を通して、患者中心の安全な医療の実現に向けた貢献を行っていく。
  • ターボリナックスが手のひらサイズの携帯型Linuxマシンを製品化
     2006.11.22−ターボリナックスは21日、手のひらサイズのデジタルメディアプレーヤーのフラッシュメモリー内にLinuxを格納しておき、任意のパソコンに接続することで、自分だけのパソコン環境をいつでも呼び出すことができる新発想のデバイス「wizpy」(ウイズピー)を開発、来年2月に発売すると発表した。オフィスソフトやブラウザー、メーラーなどひと通りのアプリケーションが入っており、環境とデータをそっくり持ち歩くことが可能。低スペックのパソコンでも実用に耐えることから、肥大化するWindowsに代わる新しい選択肢として、広くコンシューマー用途に訴求していきたいとしている。価格は3万円未満となる予定。
  • マイクロソフトが企業向けセキュリティソフトに本格参入、サーバー用2製品
     2006.11.27−マイクロソフトは24日、企業向けのセキュリティソフトウエアに本格的に参入し、新ブランド「Microsoft Forefront」(マイクロソフトフォアフロント)を立ち上げ、アプリケーションサーバーを保護する「フォアフロントセキュリティ・フォア・エクスチェンジサーバー」と「フォアフロントセキュリティ・フォア・シェアポイント」の2製品を12月1日から提供開始すると発表した。アクティブディレクトリーなどの管理製品群と連動することで、一貫したセキュリティライフサイクルをサポートできることが特徴。来年半ばにはクライアント向けのセキュリティソフトも提供する予定であり、「エッジ、サーバー、クライアントの3点におけるソリューションが完成する」としている。
  • IPAが不正アクセスなどのセキュリティ被害額を調査、1億円超える事例も
     2006.11.30−情報処理推進機構(IPA)は、コンピューターウイルスや不正アクセス、情報漏えいにおける企業の被害状況を調査し、報告書をまとめた。具体的に被害額を明確にすることで、コンピューターユーザーに注意を促し、セキュリティに対する取り組みを前進させることを目的にしたもの。
  • マイクロソフトがVista/2007オフィスのボリュームライセンス出荷を開始
    2006.12.01−マイクロソフトは11月30日、WindowsVistaおよび2007オフィスシステム、エクスチェンジサーバー2007を企業向けにボリュームライセンス出荷開始したと世界同時発表し、8ヵ国での発表イベントを順次開催した。新OS(基本ソフト)とオフィスソフトを同時に発売するのは、Windows95とオフィス95のとき以来11年ぶり。また新製品を世界同時に提供できるのは同社として初めてのことだという。一般向けのパッケージ販売やパソコンへのプリインストール提供は来年1月30日から行われる。
  • オラクルのCRM戦略を聞く:米オラクルのエドワード・アボ上級副社長
     2006.12.04−ソフトウエア業界で今年もっとも話題になった大型合併は、オラクルとシーベルによるものだろう。CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の最大手であるシーベルが、データベース、ミドルウエアからアプリケーションまで幅広い事業領域を網羅するオラクルの傘下に入った。同社のCRM担当上級副社長であるエドワード・アボ氏は「オラクルとの統合により、ソリューションのスタックがフロントオフィスからバックオフィス系にまで広がったことが大きい。企業の基幹アプリケーションを包括的に提供できるので、ユーザーにとってもIT(情報技術)投資に対するTCO(総所有コスト)が下がるというメリットがある」と話す。業種別戦略や話題のオンデマンド型サービスへの展開を含め、今後の戦略を聞いた。
  • マイクロソフトがOfficeLiveの日本語版ベータサービスを開始
     2006.12.12−マイクロソフトは11日、小規模のビジネスユーザーを支援するオンデマンド型サービス「OfficeLive」(オフィスライブ)日本語版ベータサービスを開始したと発表した。ワードやエクセルなどのオフィスソフトをオンデマンドで提供するわけではなく、これらのデスクトップを補完するサービスをインターネット経由で提供しようというのが狙い。来年半ばまで無償で提供し、フィードバックを得てチューニングを実施したあと、6月末をめどに正式版サービスに移行する。
  • マイクロソフトがアプリケーション仮想化ソフト、企業のVistaへの移行促進
     2006.12.19−マイクロソフトは、企業ユーザーのWindowsVista導入を促進するため、アプリケーション互換性の問題を解決できる新しいツール群「マイクロソフトデスクトップオプティマイゼーションパック」(MDOP)を来年1月1日から提供開始する。この中にはアプリケーション仮想化ソフトが含まれており、アプリケーションをサーバー側から配信して、個々のクライアントPCにインストールすることなく利用させることができる。Vista導入時の既存アプリケーションの展開にかかる負荷をなくし、互換性の問題も解消できる。WindowsXPのときは、企業ユーザーの50%がメインOS(基本ソフト)として切り替えるのに3年強かかったが、Vistaではそれを1年半で達成したいとしている。
  • PTCジャパンが製薬業向けシステム戦略を強化、XMLで文書作成・管理
     2006.12.28−設計ソリューションベンダーのPTCジャパンは、新規事業の一環として製薬業向けシステム分野を強化する。米本社が10月に「ストラテジックインダストリー部門」を新たに組織し、製薬業を重点業種に位置づけたことを受け、製品戦略・パートナー戦略を充実させる。主力製品は、昨年7月に買収したアーバーテキスト社の動的電子出版システム。XMLをベースにしているため、法規制への準拠が求められ、定型的なスタイルが多い製薬関連の文書作成に適している。文書を構成する“部品”を管理する新製品も販売開始しており、ソリューションの価値が大幅に高まった。

 

 


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